2017年10月25日水曜日

野党が一本化して選挙に臨んだら、むしろ野党の議席は減ったかもしれない

『政権交代可能な受け皿を作る。そのためには野党の統一が必要だ』
10月22日に投開票された衆院選の後、そのような発言が多いようです。
個人的に、その考え方は現在の国民の意識に適していないように思います。
今、国民は二大政党制を求める意識が薄らいでいるように感じるのです。
それなのに“二大政党制をめざす”発言をされても、関心が持てないのではないかと思うのです。

ではなぜ、国民は二大政党制を求めなくなったのか。やはり上手くいかないからだと思います。
現実的に旧民主党が政権をとったことがあります。しかしその時の政治を高評価する国民は非常に少ないだろうと思います。
“あの時の政権交代は失敗だった”
 そういう考えをもつ国民や、そういう印象を抱いている国民は多いと思います。
 その失敗も大きな理由の一つが、民主党は“まとまりを欠いている政党だ”ということだと思います。
 ではなぜまとまりを欠いた政党なのか。政権を取るために寄り集まった政党だから、ということが挙げられると思います。

 二大政党制は二つの大きな政党が必要です。日本には自民党という大きな政党がずっと前からありました。それに匹敵する大きな政党をもう一つ作らなければなりません。
“大きな政党をつくる”それ自体が目的とならざるを得ないということです。
 しかしそれは本末転倒であり、議会政治の原理にそわないと思います。
 実際せっかく与党になれたのに、政党内のうちわもめばかりだったと思います。それにつき合わされた国民が得られたものは少なかったと感じます。

 民進党になってからも一致団結できない政党に見えます。
『一丸となって代表を支えて難題を乗り越える』
逆立ちしても、そんなことない政党に見えます。なにかあれば戦犯をつるし上げ、それに乗じて権力を手にしようとするだけ、多くの国民はそういうふうに見ている、あるいはそういう印象を抱いているのではないかと思います。

それは“とにかく大きな政党を作らなければ、二大政党制にはならない”という考え方の弊害といえるかもしれません。
 それを国民が感じれば、二大政党制への期待感は薄らぐと思います。実際にそうなっていると思います。

 また、現在の“一強体制”も『二大政党制をめざしたことによる弊害』という見方もできると思います。
 先日の選挙による議会勢力図はまさにそうだと思います。
 現在の選挙制度は、二大政党制になりやすいといわれています。二大政党制をめざして導入されたという意味合いがあったと思います。
 しかし実際には二大政党制にはなっていません。
 それどころか死票が多く、結果的に自民党に支持率以上の議席数を獲得したように思います。
 今の選挙制度は二大政党制どころか、一強体制を作ることに貢献していると思います。
 それは国民が二大政党制の期待を薄める理由の一つになっているように感じます。
 ただ意識のなかで二大政党制に期待してないものの、それを自覚していない人も多いように見えます。
 
“国民の意識は二大政党制を求めていない”
 では何をもとめているのか。
“政党の選択肢がもっと欲しい”
 立憲民主党が野党第一党になりましたが、希望の党の議席もそれに近かったようです。
 野党の選択肢が増えた。だから野党第一党と第二党の獲得議席は近くなったと感じるのです。
 もしこの二つの政党が、一本化して選挙に臨んでいたら、二つを合わせた議席数を確保できただろうか。
 出来たかもしれません。個人的に大きく議席を減らしたのではないかと思います。
『民主党の二の舞だ。また性懲りもなく寄り合い所帯か。どうせまた内輪もめばかりするんだろ』
そういう印象を抱く有権者が少なくないように思います。
希望の党と立件民主党が近い票数を獲得したのは、一強体制に批判的な有権者や、反自民の有権者の政党選択肢が増えたことの表れだと思います。国民は増えた選択肢から選択した結果だと思います。 
民進党の分裂は時代が求めた必然だったといえるかもしれません。
数を集めただけの政党など国民は求めていない、それが今の日本だと思います。

しかし今の選挙制度では、政党選択肢を増やすほど、大きな政党に有利になってしまうと思います。
それは民意を反映しているとは言えないと思います。
自民党も党勢が弱まっている時は、内輪もめが目立ちますし、誰か一人をつるし上げ、それによじ登って権力をつかもうとするようなことが起きてきたように見えます。
ただそれでも与党経験が豊富なこともあって、ここしばらくはあまりにもひどい状況にはなっていないと感じます。
何よりも“安倍一強”という形で安定しているため、あえてこの安定を崩すことは得策ではないと、党所属議員の多くが認識していると感じます。

しかし国民は今の“一強体制”を支持しているわけではないと思います。
保守的思考の高まりは、世界的な風潮だと感じます。安倍一強もその表れの一つといえるかもしれません。
ただ“そろそろ安倍政権に飽きてきた”といった雰囲気が漂い始めていると感じます。
それが見える形であらわれた時、内部闘争が顕在化するかもしれません。

国民は二大政党制をもとめていない。
 国民は政党選択肢が増えて欲しいと思っている。
これからの時代の民主主義に求められるのは、安定的な多党制議会だと思います。
それを実現するには。議会のあり方と選挙制度を適したものに改めること必要だと思います。
それは非常に難しいことであり、一度の改正ではなしえないだろうと思います。
思考錯誤しながら複数回の、制度変更が必要だろうと思います。
時間と手間と金を要すると思います。
時間が掛るということは、早急に手を付けなければならないということだと思います。
しかし政治家は、先々のこの国ことよりも、今の自分のことしか考えないように見えます。

そしてまた、離合集散と、一強体制の維持に興じるのではないかと思います。