2015年11月16日月曜日

東京が狙われる時

 先日パリで起きた同時多発テロの状況が連日報じられています。それによって詳細が知られるようになってきていると感じます。 
 多くの日本人が『大変な事態だ』と認識しているように見えますし、真剣に付け止めているように感じます。ただやはり『遠い国で起きたこと』という心理があると感じます。
 それは当たり前というか、日本で地下鉄サリン事件が起きたときの、アメリカや欧州の国民にも、アメリカの9.11が起きた時の、欧州や日本の国民にも同じような心理があったと思います。
つまり思考では重く受け止めるものの、心理では『我がこと』と同じように認識するものではないと思います。国籍や人種を問わず、人間はそういうものだと思います。
しかしそれでも世界中で多くの人たちが、被害者を悼み、テロリストに対して怒りを感じていると思います。
また思考では事態の重さを認識し、状況を理解しようとしているものと思います。
 
日本では『決して他人事ではない』という考えを抱き、今回の事態を軽んじることのないように自らに言い聞かせているような風潮があると感じます。
それは『日本でイスラム過激派によるテロが起こる可能性は低いだろう』という意識があることの裏返しといえるかもしれません。
『高をくくっていると痛い目にあう』それを警戒する心理が働いていると感じます。
 報道機関や政治家から、日本も警戒を怠ってはならないという趣旨の声が聞かれます。
 その声には、『自ら気を引き締めようとしている』という意思が感じられます。
 それはともすれば油断してしまうと感じており、その油断に乗じてテロが起こってしまった時のことに不安を抱いているのだと思います。
『まあ日本は大丈夫でしょう。イスラム過激派によるテロが日本で起きる可能性は低いでしょう』などと論じておきながら、もしテロが起きたら大変な批判にさらされる恐れがあると思います。
 そのリスクを負わないためにも、『日本も他人ごとではない』『日本も警戒を怠ってはならない』と論じていると感じます。ただそれは、意図的の場合もあれば、無意識の時もあると思います。 

現実的に日本でイスラム過激派のテロが起こる可能性は、現時点では高くないと思われます。
 日本はアラブ諸国とは距離があることもあって、欧州諸国に比べると歴史的にもあまり深い関係とはいえないと思います。 
 石油を輸入しているなど、経済的なつながりはありますし、中東諸国の人たちも日本に対して何かしらの知識をもち、感情を抱いていると思います。
 しかし欧州諸国に対するそれらほど強くはないと思います。現在、イスラム過激派が日本に対して大規模なテロを行おうとする強い感情は抱いていないと思います。
また日本では移民の受けいれに消極的で、外国人や外国出身と思しき人を目にする機会が、フランスなどと比べると格段に低いと思います。またイスラム教を信仰する日本人も、決して多いとはいえないと思います。

先日のパリテロはフランス国内で組織的に行われたと見られます。フランスは、かねてから移民が多く、イスラム教徒も社会に浸透していたと思います。その大多数はテロとは無関係であり、テロを非難する穏健で平和的な人達だと思います。
 ただイスラム過激派が潜り込み、活動する素地ではあると思います。
 この点を見ても、日本とフランスは大きな違いがあると思います。

 しかし日本が安泰かというとそうではないと思います。世界から見ると、日本は治安がいい国だと言われますが、それだけにテロに対する警戒が手薄ではないかという声を聞きます。
 ここ数日耳にする『日本も警戒が必要』という意見は、『日本はテロ対策が緩い』ということが根拠になっているものが多いようです。
 つまり日本がイスラム過激派のテロの対象になるというより、テロを行う場として日本を選ぶことを危惧しているのだと思います。
 無差別に人を殺す場として、また外国の要人や高官や観光客を狙う場として、日本が狙われる可能性があると思います。
 そうなると、サミットやオリンピックなど多くの国から人が集まる場が狙われる可能性があると思います。

 イスラム過激派によるテロに限って言えば、地方よりも東京の方が危険だと思います。日本の地方では外国人が少ないですので、準備するにしろ、テロを実行するにしろ、外国人は目立ちやすいと思います。
イスラム過激派のテロに協力する日本人は、全国的に見ても少ないと思いますので、テロをするとなると外国人が行動しなければならないと思います。
それに無差別テロは、人口が密集している都市部で行うことが多いと思います。
 そうなると、東京オリンピックはテロへの警戒が必要だと思います。
 当然、考えられていることと思いますが、競技場やエンブレムなど、何かと問題が発生していることから、『当然すべきこと』が確実に行われているのか、不安感を覚えることがあります。

 東京オリンピックが開かれる時点での、世界情勢もテロの危険性に大きく関わってくると思います。
 中東情勢が現状よりも落ち着いているか悪化しているか、それは東京オリンピックにおけるテロの危険性に関わってくると思います。 

またアジアにもイスラム過激派はいます。日本との距離でみれば、中東よりもずっと近いと思います。これからの世界とアジアの情勢の変化によっては、外国で無差別テロを行うようになるかもしれません。東京オリンピックを『テロの場』として選ぶことがあるかもしれません。