2015年12月10日木曜日

見下げ果てたものです

2015年11月27日金曜日

トルコが撃墜した理由

 先日、トルコ空軍のF16がロシア空軍のスホイ24を撃墜しました。ロシアの戦闘爆撃機はシリア領内で空爆を行うために飛行していたものと思われます。空爆を実施する前だったのか、後だったのか、あるいは最中なのか報道では伝えられていませんが、トルコ側の主張ではロシア空軍機が領空侵犯をしたそうです。
 そこで5分間に10回の警告を行ったものの、ロシア機が無視したため空対空ミサイルで撃墜したと言います。
 ロシア側は全面的に否定しています。領空侵犯などしておらず、警告も一切なかったと主張しています。
 両国の言い分は大きく違っており、真っ向から対立している感があります。ただ両国とも、深刻な対立に発展させるつもりはないとも言っています。
しかしこの状況では、双方とも非を認めることは絶対にないといえると思います。ロシア側が領空侵犯を認めることも、トルコ側が領空侵犯はなかったと認めることも出来ないと思います。
 そのため、双方が非難するしかないと思います。お互いが決定的な対立には発展させたくないものの、非難しなければならない状況だと思います。それの状況は当分の間、変わらないと思います。状況を変える手立てが、ほぼ皆無に見えるからです。
 この先しばらくの間、ロシアとトルコは出来るだけ対立を激化しないように、抑制しつつ叩きあう関係を続けるしかないと思います。
ロシアとしては、自軍機が撃墜されたのですから、何もしないわけにはいかないと思います。それでは非を認めたと見なされかねないと思います。
 何かしら報復をしなければならないと思います。実際ロシアはトルコに対して経済制裁を行うと発表しました。しかあしそれはロシア経済にとってもマイナスに働くと思います。そのため経済制裁は行うには行うと思いますが、実質的には言葉通りの厳しいものにはならないと思われます。

 トルコにしてみれば、ロシア機を撃墜すれば面倒なことになることは十分に承知していたと思います。
 それでいながら空対空ミサイルを撃ったのですから、ロシア機の領空侵犯があった可能性が高いと思われます。
 ただロシアの戦闘爆撃機は、以前からトルコ領空内や、そのすぐ近くを飛行していたと聞きます。
 またロシアはイスラム国に対する攻撃といいながら、トルクメン人の反体制派にも空爆をしていると見られます。トルコはトルクメン人のシリア反体制派を支援しています。
 シリア反体制派に対する空爆も、領空侵犯や領空ぎりぎりの飛行も、トルコは不快感を示しており、ロシアに対して様々な形で講義や牽制をしていたと思います。
 そもそもロシアとトルコでは、シリア問題に関する方向性に大きな違いがあると思います。
 ロシアはアサド大統領を支援していますが、トルコは退陣を強く求めています。立場の違いは、はじめから大きかったということです。
 そこでロシアがシリア反体派を空爆し、トルコ領空を戦闘爆撃機が飛行していたのですから、トルコがロシアに対して反感を強めるのは想像に難くないと思います。
 
 しかし今までトルコはロシアに対して不快感を強めながらも、ことを荒立てることを避けていたように見えます。
 それが先日、ロシア空軍機を撃墜しました。そうする理由があったのだと思います。
 トルコ空軍のパイロットによる独断だったのかもしれせんがその可能性は低いと思います。やはりトルコの思惑があったと思います。
 それは『ロシアの思惑を砕く』というものだったと感じます。

 ロシアは、イスラム国を壊滅させシリア内戦を停戦するには、アサド政権を存続させるべきだと主張しています。最近は停戦後の政権交代もやむなしという見方をしているようですが、それは次の政権ではロシアの影響力をより強めるという思惑があると思います。
 欧米はアサド政権の退陣を強く求めてきましたが、少し前から欧州では違った意見が発せられ始めているようです。大量に押し寄せる難民に対応できないこともあって、『当面はアサド政権を存続させて、内戦を停戦するべき』という意見です。
 
 そんななかパリで大規模なテロがあり、多くの犠牲者がでました。国際社会が犠牲者を悼み、『ともかくイスラム国を壊滅させるために国際社会は連携するべきだ』という機運が高まっていると思います。
 その機運に『当面はアサド政権を存続させる。他に政権を担える勢力がないことは事実であり、政権の引き受け手がない状況では内戦を終わらせることはできない。またイスラム国を壊滅させることも出来ない』という見方が含まれていると思います。
 それはアサド政権を支援し、存続を訴えるロシアにとっては都合のいいことだと思います。

 ロシアはパリのテロを期に、『イスラム国壊滅』を掲げてフランスなど欧州と協調を進めていたと思います。そして日本を含めた世界では、それを好意的にみる者が少なくないと感じます。
国際社会が、アサド政権の存命を容認してイスラム国を殲滅する方向性が強まりつつあるといえるような気がします。
トルコは容認できないと思います。反アサドの急先鋒であり、アサド大統領の退陣を強く求めているのですから尤もだと思います。
ロシアがフランスと他の応酬国を取り込んで、『アサド政権存続を容認し、イスラム国壊滅を目指す連合体』を形成させることを阻もうとすると思います。

NATO加盟国であるトルコによるロシア軍機の撃墜は、そのためだというように見えます。

2015年11月16日月曜日

東京が狙われる時

 先日パリで起きた同時多発テロの状況が連日報じられています。それによって詳細が知られるようになってきていると感じます。 
 多くの日本人が『大変な事態だ』と認識しているように見えますし、真剣に付け止めているように感じます。ただやはり『遠い国で起きたこと』という心理があると感じます。
 それは当たり前というか、日本で地下鉄サリン事件が起きたときの、アメリカや欧州の国民にも、アメリカの9.11が起きた時の、欧州や日本の国民にも同じような心理があったと思います。
つまり思考では重く受け止めるものの、心理では『我がこと』と同じように認識するものではないと思います。国籍や人種を問わず、人間はそういうものだと思います。
しかしそれでも世界中で多くの人たちが、被害者を悼み、テロリストに対して怒りを感じていると思います。
また思考では事態の重さを認識し、状況を理解しようとしているものと思います。
 
日本では『決して他人事ではない』という考えを抱き、今回の事態を軽んじることのないように自らに言い聞かせているような風潮があると感じます。
それは『日本でイスラム過激派によるテロが起こる可能性は低いだろう』という意識があることの裏返しといえるかもしれません。
『高をくくっていると痛い目にあう』それを警戒する心理が働いていると感じます。
 報道機関や政治家から、日本も警戒を怠ってはならないという趣旨の声が聞かれます。
 その声には、『自ら気を引き締めようとしている』という意思が感じられます。
 それはともすれば油断してしまうと感じており、その油断に乗じてテロが起こってしまった時のことに不安を抱いているのだと思います。
『まあ日本は大丈夫でしょう。イスラム過激派によるテロが日本で起きる可能性は低いでしょう』などと論じておきながら、もしテロが起きたら大変な批判にさらされる恐れがあると思います。
 そのリスクを負わないためにも、『日本も他人ごとではない』『日本も警戒を怠ってはならない』と論じていると感じます。ただそれは、意図的の場合もあれば、無意識の時もあると思います。 

現実的に日本でイスラム過激派のテロが起こる可能性は、現時点では高くないと思われます。
 日本はアラブ諸国とは距離があることもあって、欧州諸国に比べると歴史的にもあまり深い関係とはいえないと思います。 
 石油を輸入しているなど、経済的なつながりはありますし、中東諸国の人たちも日本に対して何かしらの知識をもち、感情を抱いていると思います。
 しかし欧州諸国に対するそれらほど強くはないと思います。現在、イスラム過激派が日本に対して大規模なテロを行おうとする強い感情は抱いていないと思います。
また日本では移民の受けいれに消極的で、外国人や外国出身と思しき人を目にする機会が、フランスなどと比べると格段に低いと思います。またイスラム教を信仰する日本人も、決して多いとはいえないと思います。

先日のパリテロはフランス国内で組織的に行われたと見られます。フランスは、かねてから移民が多く、イスラム教徒も社会に浸透していたと思います。その大多数はテロとは無関係であり、テロを非難する穏健で平和的な人達だと思います。
 ただイスラム過激派が潜り込み、活動する素地ではあると思います。
 この点を見ても、日本とフランスは大きな違いがあると思います。

 しかし日本が安泰かというとそうではないと思います。世界から見ると、日本は治安がいい国だと言われますが、それだけにテロに対する警戒が手薄ではないかという声を聞きます。
 ここ数日耳にする『日本も警戒が必要』という意見は、『日本はテロ対策が緩い』ということが根拠になっているものが多いようです。
 つまり日本がイスラム過激派のテロの対象になるというより、テロを行う場として日本を選ぶことを危惧しているのだと思います。
 無差別に人を殺す場として、また外国の要人や高官や観光客を狙う場として、日本が狙われる可能性があると思います。
 そうなると、サミットやオリンピックなど多くの国から人が集まる場が狙われる可能性があると思います。

 イスラム過激派によるテロに限って言えば、地方よりも東京の方が危険だと思います。日本の地方では外国人が少ないですので、準備するにしろ、テロを実行するにしろ、外国人は目立ちやすいと思います。
イスラム過激派のテロに協力する日本人は、全国的に見ても少ないと思いますので、テロをするとなると外国人が行動しなければならないと思います。
それに無差別テロは、人口が密集している都市部で行うことが多いと思います。
 そうなると、東京オリンピックはテロへの警戒が必要だと思います。
 当然、考えられていることと思いますが、競技場やエンブレムなど、何かと問題が発生していることから、『当然すべきこと』が確実に行われているのか、不安感を覚えることがあります。

 東京オリンピックが開かれる時点での、世界情勢もテロの危険性に大きく関わってくると思います。
 中東情勢が現状よりも落ち着いているか悪化しているか、それは東京オリンピックにおけるテロの危険性に関わってくると思います。 

またアジアにもイスラム過激派はいます。日本との距離でみれば、中東よりもずっと近いと思います。これからの世界とアジアの情勢の変化によっては、外国で無差別テロを行うようになるかもしれません。東京オリンピックを『テロの場』として選ぶことがあるかもしれません。

2015年11月15日日曜日

パリが狙われた理由

 パリでイスラム国によると見られる多発テロが起きました。百人以上の人命が奪われるという大きな被害が出ているようです。
 一日にしてこれほどの死者を出すような大規模なテロは、世界的にみても稀だと思います。フランスの大統領も「前例がない」と言っていると聞きます。
 今回の同時多発テロに対して、イスラム国がインターネット上で犯行声明を出しているようです。
 これだけの大規模な同時多発テロですので、組織的であることは間違いないと思います。現時点でイスラム国の中枢部の関与の度合いはわかりませんが、ある程度の人数のテロリストと、テロリストの協力者が動いたものと思われます。

 フランスは昨年からイラクでイスラム国を対象とした空爆を実施していたと思います。
 それが数か月前に、シリア国内でも戦闘機によるイスラム国への攻撃を始めました。
 イスラム国から見れば、フランスは“敵対行為”を増やしたことになると思います。イスラム国の“敵”は多いと思いますが、そのなかでもフランスは『最近敵性が強まった』と受け止められていたのかもしれません。
 それは大規模なテロの標的とする理由の一つになり得ると思います。

 またフランスンには移民が多く、イスラム教を信仰する人も少なくないと聞きます。一部の過激な思想を持つ者が破壊的な活動をしているのであって、イスラム教徒が即ちテロリストというわけではないことは承知していますが、社会にイスラム過激派が入り込む土壌があるという見方もあると思います。
 その土壌が、過激派の思想に感化される人を生み出しやすくしているといえると思います。つまりフランス生まれでフランス育ちのイスラム過激派が表れる土壌があるということです。
 今回のテロでも、そういうテロリストが何かしら関わっていると見られます。国内の協力者なしには、これほど大規模なテロを行うことはないと思われます。
移民が多くイスラム教を信仰する人が多いということが、テロが起きる要因の一つではあると思います。
 ただし、これは今回のテロの状況分析の一つであり、移民やイスラム教徒を批判するのではありません。またここでは、移民の是非について論じているのではありません。

 それと今年一月に起きたシャルリエブド社を襲撃したテロが起きことも、今回の同時多発テロに心理的な影響を及ぼしていると思います。
 テロの理由として見ると、シャルリエブド社襲撃は、同社がイスラム教で預言者とされるムハンマドの風刺画を掲載したことが、イスラム過激派の怒りを買ったのだと聞きます。
 それにくらべて今回の同時多発テロは、フランス軍による空爆に対する報復という意味合が強いと見られます。
 一民間新聞社の風刺画と、国軍による空爆ですので、怒りが向けられている対象が大きく違っていると思います。
 ただシャルリエブド社襲撃が起きたことで、『パリ中心部でテロが起き、人が死んだ』という既成事実が出来たと感じます
 それが今回のテロを計画される段階で、多少なりとも意識されたかもしれません。また無意識的でありながら、心理に影響した可能性があると思います。
 つまり『シャルリエブド社襲撃テロが起きた』という事実が、今回の同時多発テロの遠因になっている可能性があるということです。

 表現の自由に対する卑劣な行為であり、フランスでは多くの国民がシャルリエブド社を擁護したと思います。ただ“タブーの大きさ”は、人によって感じ方が違うと思います。
シャルリエブド社も、擁護する人たちにも『ムハンマドを描くこと』の“タブーの大きさ”を認識出来ていないような印象を受けます。
しかも風刺画という描き方をしたとなると、やはりあまりにも配慮に欠け、いくら何でも思慮が浅かったのではないかと感じます。
そういう意味でシャルリエブド社の責任は、多くのフランス国民が思っている以上に重いような気がします。

また最近フランスを含めた欧州では、アサド政権の継続を容認する意見が強まっているようです。大量の難民が押し寄せ、対処できる規模を超えていることで、『とにかく内戦を終わらせてくれ』『内戦を終わらせるには、アサド政権を存続させるしかない。アサドを倒しても、その後に統治することが出来る政治勢力がない』という考え方に基づいているのだと思います。
 ロシアはかねてからアサド大統領の存続を支持してきたと思います。少し前に内戦終結後の退陣はやむなしという趣旨の発言を、プーチン大統領がしているようですが、それは欧州の多くの国にとっては受け入れやすい方向性だと思います。
 あくまでも終戦のためであり、その後に退陣するという方向性とはいえ、ここでアサド政権が国際社会から認められるのは、反体制組織にもイスラム国にも状況を不利にさせる可能性が高いと思います。

 そこでアサド大統領を認める意見が高まってきた欧州に対して、怒りの感情を掻き立てられ、テロを企てる理由の一つになったように見えます。 

2015年11月1日日曜日

日韓関係

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2015年11月 1日「日韓関係」


概要
日韓関係が友好的になるのは、まだ当分の間難しいと感じます。日本は、長い間、韓国を含めた東洋の国を見下す心理があったと思います。それはプライドの高い韓国の国民にとって、屈辱的な印象を強く受けてきたように感じます。しかも韓国は戦後から今日に至るまで、国を挙げて日本に対する対抗心を植え付けてきたように見えます。
『日本に勝ちたい』という意識は『日本の位置を落としたい』となり、『日本を貶めたい』となり、近年はそれが目的になっていると感じます。そのため、欺瞞が加えられているように見られます。
韓国の政府が日本に対する対抗心を国民に植え付け、その国民の票を得るために、政治家は日本と対立する姿勢を示し、それによって国民が日本に対する敵愾心を強めるという循環ができていると思います。
 そういう環を断つことは相当に難しいと思います。アメリカとしては、日韓連携にはあまり期待しないほうがいいと思います。
 朝鮮半島有事となれば、日韓両国の利害に共通する点が多々あるでしょうから、国民感情に関わらず連携すると思います。ただ中国が関わる問題では、韓国の協力はあまり望めないと思います。韓国経済は中国との結びつきが強く、それが大きく変わることはまだ当分ないと思います。
日韓の連携を促すよりも、日米、米韓、それぞれの関係強化を進めたほうがいいように思います。
また日本からすると、日韓関係がある程度友好的になっても、大きなメリットがあるというわけではないかもしれません。
新興国の産業がさらに発展してくると、それに対抗するために日韓の企業が事業提携することがあるかもしれません。ただ現状では、日本企業と韓国企業は競合相手となることが多いように思います。日本国内市場においても、世界市場においても、です。
 韓国は経済においても日本を強く意識していますので、日本から市場を奪うことに力を注ぐことと思います。

2015年10月31日土曜日

TPPを期に

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2015年10月 23日「TPPを期に」


概要
日本の農業政策の最大の問題は、政治家の意識の低さだと感じます。次の選挙の票のことしか考えていないため、「猫の目」と揶揄されるように一貫性がない政策ばかり打ち出し続けてきたように見えます。
長年そんなやり方を続けてきたことで、日本の農業は産業として衰退してきた感があります。農業を産業として安定させるには何をするべきか、長期的な視点に基づいた計画性が必要だったと思います。
 それがないまま時間が過ぎ、もうすぐ切羽詰ってしまうような状況にあるように見えます。
 そんななか環太平洋経済連携協定が大筋合意されました。TPPが発効すると、国ごとに産業が特化される可能性があると思います。
輸入品に勝てない業界が結果的に切りすてられることになり、国内の産業が国際的に競争力をもつ業種ばかりになりなかねないと思います。
 それは参加国すべて起こり得ることだと思います。日本の場合、農業が急速に衰退することも、あり得ないことではないと思います。
しかしこれから、世界人口が急速に増え続け、新興国の需要の高まりや、大規模な天候不順などによって、世界的な食糧不足がおこることという懸念があります。
そのような懸念があるからには、国は食糧を安定して確保する体制を確立しておくことが求められると思います。そのためには、食糧は自国で生産できるに越したことはないと思います。
世界的な食糧危機を懸念する声が聞こえてくる時に、食料自給率を下げるのは、国力を低下させることに等しいという見方もあると思います。
TPPが大筋合意されたことを期に、先々を見据え、農業を産業として継続させるべく方向を定めるべきだと思います。それに向かって、継続性と一貫性がある農業政策をうちだす必要があると思います。
ただ最大の問題は、政治家にそれが出来る資質があるように見えないことかもしれません。

2015年10月30日金曜日

影響予測と具体的対策

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2015年10月 30日「影響予測と具体的対策」


概要

環太平洋経済連携協定は、国内産業を厳しい環境に晒す可能性がある仕組みだと思います。ただそれは、参加するすべてに国に当てはまることだと思います。また、はじめからわかっていたことだと思います。『わかった上で、TPPに参加した』というより、『国内産業が打撃を受ける可能性があることは承知した上で参加を決めた』と見なされるべきだと思います。
それだけの利点があると判断されたのだと思います。つまり『国内産業が打撃を受ける可能性』と『輸出産業が大きな利益を得ることで国内の景気が良くなる可能性』を秤にかけて、後者をとったということだと思います。
 TPPに参加するには『国内産業が打撃を受ける可能性がある』ということを受けいれることが前提だと思います。受け入れるからには、対策を講じることが不可欠だと思います。
 しかし実際はどの参加国も、それほど強い覚悟が政治家と国民にはなかったと感じることがあります。ただ今さら及び腰になること、それ自体がマイナスに作用することもあり得ると思います。
大筋合意は極めて難しいことだったと思います。それが批准出来なくなるようでは、TPPを実効性がある協定とすることは、ほぼ無理だと思います。
 大筋合意が成ったからには、TPPは次の段階に進んだといえると思います。批准にむけた取り組みと、国内産業への打撃を抑える具体的な対策を立てる段階だと思います。
TPPの詳細がわからない状態では、対策が必要だという認識があったとしても、具体的な対策は立てられなかったと思います。
ただ日本の場合は、詳細がわかっても対策を立てることは相当に難しいと思います。打撃を受ける分野が、食料に関わってくる農業分野だからだと思います。またこの分野は、大分前から改革の必要性があると目されながら、長らく出来ずにいるように見えます。

2015年10月29日木曜日

経済制裁と軍事的行動

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2015年10月 29日「経済制裁と軍事的行動」

概要 
近代以降、大国同士が直接戦争をしたことはないと思います。二つの世界大戦も、大国と大国が真っ向から戦争したという構図ではなかったと思います。
 ただ俗にいう『代理戦争』という状況は何度もあり、『冷戦』といわれる状況が長く続いたと思います。その間に一食触発の事態が起きていますが、大国同士の戦争は避けられたと思います。
今日まで、アメリカとロシアが直接戦争をすることがないのは、二つの大国による直接戦争は世界中に大きなマイナスをもたらすと、当の両大国を含めて世界中で認識されていることが要因の一つだと思います。
そう考えると、中国が大国となったことで軍事的な衝突は回避されているといえると思います。
 もし20年前に、中国が南沙諸島を埋めたて軍事拠点を作りはじめたら、アメリカはあまり時間を掛けずに軍事行動を起こしていたかもしれません。ただそれ以前に経済制裁を課していたかもしれません。
南沙諸島の埋立地が軍事利用されることは誰の目にも明らかであり、中国がそれを否定すること自体、無理があると思います。
現在の国際社会において、国に打撃を与えるのは経済制裁だと思います。しかし現在の国際社会は、中国に経済制裁を課すことなど出来ないと思います。
それは中国経済が、世界経済に大きな影響力を持っているからです。中国経済が落ち込んだのでは、アメリカや日本を始め、世界中の経済にマイナスに作用すると思います。
中国経済のマイナスを表す数字が発表されること、それ自体が世界経済におけるリスクとなっていると感じます。
中国に経済制裁を課すことが出来ないこともあって、言葉による批判を続けてきたものの中国は聞く耳をもなかったことで、アメリカとしては軍事的に牽制するしかないという状況に見えます。

ただ中国もアメリカも、直接戦争をするつもりはないと思います。双方とも、マイナスがあまりにも大きいことを認識していると思います。

2015年10月27日火曜日

人間の責任と、浅はかで身勝手な批判

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2015年10月 27日「人間の責任と、浅はかで身勝手な批判」


概要
オーストラリアが2020年までに、200万匹の野良猫を駆除する計画を発表したそうです。それに対して世界中から批判が寄せられているそうです。しかしそれは間違っていると思います。
今回オーストラリアが猫の殺処分をきめたのは、人間がペットとして持ち込んだ猫が野良猫となり、それが増えすぎて固有種が減少するなど生態系に影響を及ぼしているためだと聞きます。
 人間が持ち込んだ生物のせいで、他の生物の生命が脅かされているといえるかもしれません。
 そうなると人間の手で、野良猫を減らさなければならないと思います。それが人間の果たすべき責任だと思います。オーストラリアはその責任を果たそうとしているのだと思います。
 猫が可哀想だという理由でオーストラリアを批判するべきではないと思います。
 それはとても浅はかな、『人間さまの身勝手』だと思います。
 またオーストラリアは、コアラやカンガルーも殺処分していると聞きます。それに対する批判もあるようです。それも間違いだと思います。
 人間がコアラやカンガルーを保護することで増えすぎてしますと、えさとなる植物はそれと共存している微生物が減少するなど、生態系を破壊することになりかねないと思います。
 人間によって増えすぎてしまったからには、人間によって減らさなければならないとおみます。それは人間が果たすべき責任だと思います。
 その責任を果たしているオーストラリアを非難するべきではないと思います。それは浅はかで身勝手だと思います。
 また、オーストラリアがクジラを神聖な生物に仕立て上げ、捕鯨に反対することもまた、浅はかであり、『人間さまの身勝手』だと思います。これに関しては、オーストラリは批判されるべきだと思います。

2015年10月26日月曜日

中国への依存度を下げるためにTPPを

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2015年10月 26日「中国への依存度を下げるためにTPPを」


概要
今の日本経済は、中国経済に頼っている部分が少なくないと思います。また、日本との経済的な繋がりは、中国経済にとっても重要だと思います。しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いだった中国経済も減速が顕著だと思います。
中国が発表する経済に関する数字が作られたものであることは、世界的な共通認識になっていると思います。しかし世界各国に、中国経済は『多少数字を盛られた』ほうがいいという見方があると思います。
経済はお金の動きですので多くの事柄が数字で表されます。その数字の動きが、経済を動かすことがあると思います。近年は金融関係が先鋭化し、経済全般が数字による影響が大きくなっていると感じます。『数字至上経済』といった様相があると思います。
 ここで中国経済を示す数字がよくないと、それが世界経済に小さからぬ影響を及ぼすものと思われます。そのため仮に実態と違っていたとしても、中国当局から『悪い数字』を発表されては困るという国が少なくないと思います。
 しかしそれは、中国経済がより不透明になるということでもあると思います。いずれ『多少、数字を盛る』では済まなくなることがあり得ると思います。
中国経済の不透明感が強まるばかりで、中国経済はどんどん健全化できなくなり、軟着陸が難しくなるばかりになるということです。
そうなると、いつか急降下、あるいは墜落するのではないかという懸念が生まれます。中国は何としても、それを防ごうとするでしょうが、経済は思惑通りに運ばないことが多いものだと思います。
環太平洋経済連携協定が発効されたら、参加国との貿易が促進されることが期待されると思います。
それによって、日本経済の中国依存度が下げられたなら、それはリスク回避にもなると思います。

2015年10月25日日曜日

TPPとAIIB

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2015年10月 25日「TPPとAIIB」


概要
 アメリカ大統領は公然と『中国に貿易のルールを作らせないために、環太平洋系税連携協定が必要だ』という趣旨の発言をしているようです。中国は政府としてTPPを強く批判をすることはないようです。当面は『様子見』といったところなのかもしれません。
 ふと、アジアインフラ投資銀行の発足時の参加申請期限がせまった時のことを思い出します。
『はやく参加しろ』と、強く主張する声がいつくも上がっていたように思います。しかし現在、『日本もAIIBに参加するべきだ』という意見は、とんと聞かなくなった感があります。
『期限が迫っている』という状況を過ぎたことで、『乗り遅れるな症候群』ともいえる心理が弱まったのだと思います。
 ところでTPPは、確かに中国経済に対抗する意味合いがあると思います。またAIIBは、確かにアメリカを中心とした経済に対抗する思わくがあると思います。
どちらも世界の経済に大きな影響を及ぼし得ると思いますし、外交や安全保障にも関わってくると見られています。
ただ『経済、主に貿易に関するルールを共通化する取り組み』と『投資銀行』では、違いも大きいと思います。
TPPの大筋合意が議会で承認されないとなると、再度の合意は相当に難しいと思います。頓挫することになるかもしれません。貿易のルールの共通化がいかに難しいことか、改めて突き付けられている感があります。
AIIBは、中国の判断次第で迅速な投資が行われることがあり得ると思います。それは、投資を求める国にとっては大きな利点だと思います。
 ただそれはAIIB参加国のリスクを高めるということになると思います。中国経済の減速が顕著になってきた感がありますが、アジアの国には中国経済に対する依存度が高い国もあると思います。

2015年10月24日土曜日

習近平国家主席の英国訪問

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2015年10月 24日「習近平国家主席の英国訪問」


概要
少なくない日本人は中国に対して、対立心や対抗心と共に、嫉妬心や敗北感に近い感情を抱いているように見えます。そして、そのような感情を表に出さないようにしていると感じます。意識している人もいれば、無意識的な時もあると思いますが、『負け惜しみ』のようになってしまい、それは即ち負けを認めたことになり、それが悔しいから表に出さない人がいるように見えます。
『中国が世界経済を引っ張っていることは確かであり、それを認めることも紳士的であり、先進国の国民たる態度だ』という意識があると思います。そのような意識が湧くこと、それ自体『悔しさの表れの一つ』だと思います。
ただその意識は欧州人の方が強いと思います。『自分たちは先進国の国民である。文明人であり、文化的な人間である』という意識が根付いていると感じます。
 そのためかつて日本経済が世界を席巻した時も、『負け惜しみ』だと受け取れかねない言動は控えられていた感があります。
近年の中国に対しても、そのような接し方が感じられていました。
それが数日前、中国の習近平国家主席が英国を訪れたときは、随分と違った印象を受けました。『英国は金のためにプライドを売った』という印象を受けた人が、世界的に少なくなかったようです。
 当事国である英国内では、そのような意見が目立っているようですが、次に多いのは日本かもしれません。中国に対する対抗心があるため、西洋の国が媚びているように見えると、中国に対する敗北感や嫉妬心に近い感情が刺激されることがあるように見えます。 
ただ日本は中国と何かと対立し、お互いに批判し合いながらも、経済面では相互依存的であると思います。
『対立している問題もあるけれど、それはそれ。経済は経済。お互いの利益になるようにしましょう』
 日本と中国の間には、そういう空気があると思います。英国もそのような関係を作りたいのだろうと思います。

2015年10月23日金曜日

日本人と韓国人の感情

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2015年10月 23日「日本人と韓国人の感情」

概要
『日本は先進国ぶって、ずっと韓国を見下してきた』そのような思いを抱いている韓国国民は少なくないように見られます。
 実際日本人には、西洋の先進国に対してはへりくだり、東洋の国を見下す心理があると思います。韓国の国民の多くが、『日本から見下されている』と感じているのは、日本人の多くに韓国を格下に見ている心理があり、それを感じ取っていることが要因の一つだと思います。
『西洋の国は日本より格上であり、東洋の国は日本より格下である』そういうイメージを抱いていることを、自覚している日本人も少なくないと思います。
ただそのようなイメージを抱いているのは、日本に限ったことではないと思います。
韓国人は自民族に対するプライドが高く、それによって先進国には卑屈になりやすいと共に、何かにつけて他国を下に見たがる心理が働く傾向があると思います。
殊に日本に関しては、過去に感じた屈辱が根強く、それが劣等感になり、また隣国ということで対抗心があるため『日本を貶めよう』とする傾向があると感じます。しかし『貶める』ことが目的となっているため、欺瞞が介在していることは確かだと思います。ただ人間は自己の行動を正当化するため、無意識に欺瞞を真実だと思いこんでしまうことが、非常に多いものだと思います。
先の大戦では、『日本は“悪”だった』というイメージを持っている日本国民も多いと思います。しかし近年、中国と韓国から批判されることで、無意識にそれに反撥し、自己弁護する心理が強まることで、イメージが薄らいできている感があります。
東京裁判が公正とは言えなかったこともあって、日本国民は自分たちで戦争犯罪を裁こうという意識がほぼゼロに近くなり、『国民すべてが戦争の被害者だ』という意識が強くなり、それは今日まで続いていると感じます。

それを韓国の国民は感じ取っているため、被害者として反感を抱き、反日意識を高める要因の一つになっていると思います。

2015年10月22日木曜日

アサド大統領のロシア訪問

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2015年10月 22日「アサド大統領のロシア訪問」


概要
対応できないほどの大量の難民が押し寄せたことから、アサド体制の容認論が欧州を中心に高まっているようです。
 とにかく内戦を終わらせたいものの、状況は依然として混沌としており、停戦の道筋をつけることすら手立てがないのが実情だと思います。
 内戦終結のあらゆる状況を想定すると、どれも可能性が低いと思います。あえて最も可能性が高い想定状況を上げるなら、アサド大統領側による勝利といえるかもしれません。ロシアが軍事介入することで、その可能性がわずかでも高まると思います。
 ただそれでも容易ではないことは確かだと思います。アサド大統領には停戦協定を結ぼうという意図はなく、反体制派もそれを知っているため、ロシアが介入しても徹底抗戦の構えを崩さない可能性が高いように見えます。
 またイスラム国は過激派組織ですので、迂闊に停戦協定を結ぶわけにはいかないと思います。国とは言えないまでも、交渉をする勢力として認めることになるからです。
 そうなるとロシアが相当に大きな軍事力をシリア内戦に投入しても、内戦はまだ当分の間終わらない可能性があると思われます。
欧米はあくまでもロシアの軍事介入を認めない姿勢を取り続けるべきだと思います。ただ“手詰まり感”をみせ、表向きは非難しながらも実質的に黙認し、とにかく内戦を終わらせることも、一つの“手”だと思います。
 それは過激派の反感をロシアに向けさせることにもなるかもしれません。過激派を壊滅させることはほぼ不可能で、時間を掛けて弱体化させるしかないと思います。過激派にとって敵が増えることは、弱体化につながる要素の一つになり得ると思います。
ただし不確定要素と未知の要素が多く、展開を予想することは極めて難しいと思います。そんな状況で最も避けるべきなのは、性急に強硬的な行動をとることだと思います。アサド大統領の訪ロが報じられ、慌てたようにアメリカ、ロシア、トルコ、サウジアラビアの4か国外相会談が行われることになったようです。

2015年10月20日火曜日

ロビー活動の害

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全文はそちらで。


2015年10月 20日「ロビー活動の害」


概要
ロビー活動は、人目に付く活動もあれば、“裏で”行われる活動もあると思います。
 表であれ裏であれ、相応のお金が必要だと思います。すべてのロビー活動がそうではないと思いますが、多くの場合『正々堂々としたやり方』とはいえないと思います。『汚いやり方』である場合も少なくないと思います。
しかし世界では、ロビー活動が公然と行われているように見えます。時に「ロビー活動の勝利」などと称賛されることもあります。日本でも、『負けずにロビー活動をやらなければならない』という意識が高まっていると感じます。実際にこのところの日本は、国内外でロビー活動やそれに類する活動を行っていると思います。東京オリンピックの招致や軽減税率の導入を求める活動などです。
 ところで、反捕鯨論や慰安婦問題を出来るだけ多角的に客観視すると、『日本叩き』や『日本に対する反感や、プライドと劣等感からくる対抗心から、日本を貶めようという意図』などが介在していることは確かだと思います。
 しかしそれに対抗するロビー活動を行っても、印象操作された大衆の意識を覆すのは非常に難しいと思います。むしろ大衆は反発し、日本に対する批判を強めることもあると思います。ロビー活動によって植え付けられたイメージを払拭するには、冷静で論理的な主張を続けることのほうか効果的だと感じます。
『だからそれをずっとやってきた』と思っている人がいるかもしれません。しかし人は『不当に貶められた』と感じると、どうしても感情的になるものだと思います。
 事実であろうと言いがかりであろうと、批判や中傷を受けると、人はどうしても自己弁護しようとするものだと思います。
 しかし、相手は『言い返される』と、反感を強めることが多いと思います。つまり、大抵は逆効果になると思います。
自己弁護の論調で闇雲に反論するのではなく、非があるなら認めて改め、冷静に論理を重ねることが必要だと思います。