2017年1月9日月曜日

議員連合政党という考え方

今の国会の勢力分布を鑑みると、野党間で国家像の違いうんぬんを言っている状況ではないように思えます。
“多数決は究極の民主主義だ”そうは思いませんし、“民主主義とはすなわち多数決である”とも思いません。しかし今の日本の国会は一つの政党だけで過半数となっており、自民党はその数にものをいわせていると感じます。
 それは議会のあり方としてみると、芳しいことではないと思います。
 議会のあり方として芳しいことでないのならば、改善する必要があると思います。
 ではどうすれば改善できるのか? 野党が議席を増やすしかないと思います。
 ではどうすれば野党の議席が増えるのか? 選挙で野党の候補者が当選するしかないと思います。
 そうなると今のすべての野党は「与党の議席を減らすこと」当面そこに目標を定める必要があると思います。
「与党の議席を減らす」、それは今のすべての野党に共通する目標だと思うのです。
 自民党一党が両院で過半をもっているのですから、この状況では野党間における国家像の違いなど、あろうとなかろうと、なにも変わらないと思います。
 違いがあろうとなかろうとなにも変わらないということは、そんな違いにかまけている場合ではないということになると思います。

 民主主義は数ではないと思います。しかし数がものいうのが今の時代の民主主義の実情だと思います。
 ただ人数を集めるには必然的に意見の相違があると思います。政党でいえば、人数が多ければ多いほど、属する議員の主義主張に違いがみられるものだと思います。
 このところ「かつての自民党には様々な意見があった」などと耳にすることがあります。大抵は肯定的な意味合いを帯びています。
今の自民党には様々な意見がないのかというと、そうではないと思います。所属議員の間には主義主張に相違があると思います。あるべきだと思います。しかし今の自民党ではそれが表れないのだと思います。
今の日本の政治は俗に“安倍一強”といわれることがあります。そんななかで“かつて自民党”を肯定的に捉えているということは、今の自民党の状況、すなわち“安倍一強”を否定的に捉えているのだと思います。

 政党政治の原則に照らせば、与党内で政策に隔たりがあるのは好ましいことではないと思います。原則として、主義主張が一致する者の集まりが政党であるべきだと思います。
また政党の中に派閥があることも政党政治の原則には沿っていないと思います。実際、かつては派閥政治を批判する声が少なからずあり、それは派閥の力を弱める要因の一つになったと思います。
しかし派閥の力が弱まっていたことが、“安倍一強”体制を作りやすくしたとみられます。
“安倍一強体制は国にとっていいことではない”という考えが、“派閥の弱体化は国にとっていいことではなかった”という意識に繋がっている人もいるようにみえます。

大きな政党には内部で政策の対立があるのはやむを得ないという側面は確かにあると思います。そしてその側面をなくすことは出来ないと思います。今の自民党も内部での主義主張の相違や対立があると思います。しかし“抑えつけている”ように見えます。
また、大きな政党には内部で意見の相違や主張の対立があるのは、与党だろうと野党だろうと変わらないと思います。今の国会で二番目に議席数がある民進党も、例外ではないと思います。
実際、民主党という名だった時には、野党の時も、与党の時も、内部の対立はあったと思います。殊に与党だった時は、国民がうんざりするほどだったと思います。
それは、意見の相違や主張の対立が党内の権力争いの道具にされていたことが大きいと思います。国民の目には“国益や国民そっちのけで、権力争いに明け暮れている”ようにしかみえなかったと思います。だから国民は“こんな政党など相手にしていられない”という意識を深めたのだと思います。

自民党も過去には内部闘争が表面化したことがあったと思います。それによって国民の目が厳しくなったこともあったと思います。
自民党はその経験が蓄積されているのだろうと思います。それが、今の“安倍一強”の一因なのかもしれません。
今の自民党内には、政党内で権力争いをしても、それが批判されて自民党のイメージが低下したのでは、党所属議員みなにとってマイナスなるという共通認識があるため、“安倍一強”に皆が従っているようにみえます。

民主党は、野党時代も与党時代も、そういう共通認識がゼロだったような気がします。
何度も書きますが、与党時代は内部の権力争いによって政党のイメージが悪くなっても、そのなかで自分だけはよく見られようとする議員が少なかった気がします。そういう浅はかさな考えによってさらに政争がはげしくなり、政党のイメージはさらに悪化したように思います。

個人的に、政策が一致する議員だけで構成された少数政党による多党制が、これからの民主主義体制には適していると思います。
しかしそんな多党制の議会にするには、選挙制度を含めていくつかの事柄を大きく変えなければならないと思います。それは容易ではないことは確かだと思います。
当面、現在の体制で“安倍一強”という“国にとって決していいとはいえない状況”を改善する手立てを考える必要があると思います。
そうなると野党の政党を大きくすることと、次の国政選挙で野党が議席を増やすことの二つが挙げられると思います。
一つ目は、政党が意見や主張に隔たりがある者を受けいれることと、そのための規律つくりが必要だと思います。
二つ目は、選挙における野党共闘と、それを国民に受け入れてもらうための取り組みが必要だと思います。

最大野党である民進党は、所属議員間の主張の相違を最大限受けいれる必要があると思います。そしてそれを権力闘争の道具にしないための規律や雰囲気作りが必要だと思います。
“寄せ集め”になりますが、自民党も、昔も今もそういう政党だと感じます。“寄せ集め”でも党運営が上手くいけばいいのだと思います。
自民党の場合、大きな政党としての経験が豊富であることと、“与党であることのうまみ”があるため党運営が上手くいきやすいのかもしれません。
民進党はその両方がないため、党運営が上手くいかないのかもしれません。
 
民進党が政党を大きくするために、もうひとつ求められるのは、国民に“寄せ集め”であることの理解を得ることだと思います。
 主義主張に隔たりがあるものの、大局的な方向性は同じであり、それを実現するために“寄せ集め”が必要なのだと堂々と説明し、国民に納得してもらうことが必要だと思うのです。
 また“寄せ集め”であるからには、党議拘束はなるべくかけないほうがいいと思います。今の国会は自民だけで過半数を占めていますので、反対票が多少多くても議決結果は変わりにくいと思います。

“寄せ集め政党”は“大局的見地のためにある程度の主義主張の隔たりを受け入れる政党”であるべきだと思います。
“議員連合政党”というようなイメージです。
 規律と雰囲気作りが上手くいけば、政党の多様性が高まり、それは国政にとってプラスになり得ると思います。プラスになれば、“寄せ集め”を受け入れる国民も増えてくるのではないかと思います。
 
 また野党間における選挙協力は、“野党連合体制で選挙に臨む”ことだと思います。
 今の国会にはそれが必要だと思います。