2014年2月20日木曜日

思いもしないことが起きたとき


今、窓から外を見ると積雪がありません。ここ新潟市平野部は、県内でも雪の多い地域ではないので、雪の見えない冬もそれほどめずらしい光景ではないと感じます。

 ただ子供のころは、冬は雪が積もっているのが“当たり前の冬”だった気がします。ただそれは記録などを調べてのではなく、あくまで個人的な“印象”です。

 子供のころ雪で大変な思いをしたり、雪で遊んだりしたことが、強く記憶に残っているため、“雪のない冬”の記憶を押しのけているのかもしれません。

 

それを踏まえて思い起こすと、僕が成人になったころから暖冬傾向が強まったと感じます。あのころからこの地域にも“雪のない冬”が見られるようになった気がします。

ただあのころは“雪のない冬”が“特別な冬”だと感じていた覚えがあります。

しかし“特別な冬”が何年も続いたような感があります。

何年も続くことで“特別”とは感じられなくなったようは気がします。

もしかしたらそれは感覚だけでなく、記録にも表れているのかもしれません。雪の少ない冬が何回もあれば、積雪の平均値が小さくなるものだと思います。

 

“暖冬小雪傾向”が定着し、それが“いつもの冬”になったと感じます。そして、県内の積雪が多い地域でも同じように感じていた人が少なくなかったような気がします。この辺りに比べれば雪がずっと多いものの、その地域なりに“今年は雪が少ないな”と感じる冬があり、次の冬も“また暖冬小雪か”となり、それが“普通の冬”だと感じるようになったような印象があります。

 

 それが数年前の冬、県内の多くの地域で大雪だった覚えがあります。このあたりでも積雪がありましたし、雪の多い地域でも例年を大きく上回る雪が積もった覚えがあります。

“雪は多いけど、昔ほどではない”という感覚が根付いていたころに、久しぶりの大雪で、なにかと大変だったような気がします。

 除雪体制や車両などが、降雪の勢いについていけなかった感がありますが、“もう昔ほど雪は積もらないさ。すぐやむだろう”という意識が、自覚されないもののどこかにあったのかもしれません。

ところが記憶的な大雪になったため、気持ちがついていけなかったのかもしれません。

 

その後、県内の雪深い地域では、雪が “昔なみ”に積もるようになった感があります。そこで暮らす人たちにも、かつての感覚が戻ってきたような印象があります。

今冬も県内では大雪に見舞われ大変だと聞きます。また“今冬は大雪というほどではないかな”と感じられる地域もあるようです。

ここ新潟市平野部では、冒頭に書いたように雪がありません。ただ近年久しぶりの大雪だった冬があります。

交通機関が大きく乱れ、市民生活への影響も大きかったことが思い出されます。積雪も多かったのですが、各地で強い地吹雪があり、それが交通を麻痺状態にさせたような気がします。

 

今、思い起こしてみると、あの冬は雪で大混乱しましたが、昔は毎年このくらい雪が積もっていたような気がしますし、地吹雪もあったように感じます。

 大雪も地吹雪も“当たり前の冬”だったなら対応は的確で迅速になると思いますが、やはり何年とか何十年ぶりとなると、物理的な面でも、心理的な面でも、ついていけないような印象があります。

 

 雪道を運転していると“慣れ”が必要だと思うことがあります。このあたりはそれほど雪が多くはありませんが、それでも人生でみると、雪道を運転する機会は数え切れないほどあります。

 経験している回数が多いのですから、慣れているはずだという考えも浮かんできます。

 しかし、実際に雪道を運転するとその“慣れ”は、人生累計経験回数はあまり大きくかかわらないような気がします。

 積雪が多い冬、毎日雪道を運転していると、“慣れ”を感じますが、翌冬、雪が降りはじめたころになると、その“慣れ”はすっかりなくなっていると感じます。

 

雪道運転の“慣れ”は翌年に持ち越すことは出来ないような気がします。毎年、雪が積もった時、ゼロから“慣れ”を積み上げるものだと感じます。

それは雪道の運転だけでなく、雪のある生活のなかにもあるような気がします。

また、“慣れ”が大きくなるに伴って“油断”が大きくなることもあると思います。雪道の運転では色々なことがありますが、そのなかには“油断”があったと感じられることもあります。

 

豪雪地域でも、昔ほど雪が多くないと感じられる冬が何年も続いた後、久しぶりに大雪になると対応しきれないことがあるだろうと思います。

そう考えると、普段からあまり雪が降らず、過去に雪が積もっていた時期もなかった地域で急に雪が積もったのなら、あらゆる事柄で不具合が起こり得ると思います。しかも十分に対応することは難しいような気がします。

また、“油断”は“慣れ”に伴うことがある一方、“未経験”や“経験不足”や“未知”にくっついていることもあると思います。『雪が降るっていうけど、このあたりじゃ、高がしれているさ』と思った人もいたかもしれません。

 

ただそれにしても、“こんなことが起こるなんて思いもしなかった”人も少なくないだろうと思います。

“思いもしなかった”のですから、備えがないものだと思います。対策も作られていないのだと思います。

 そう考えると“思いもしなかった”ことは、起きてしまった後で、いかにして迅速かつ的確、ときに臨機応変に対応するかがとても大切だと思います。それは人間の力によるところが大きいような気がします。