2014年2月23日日曜日

テレプレゼンス


 未来を描いた物語は無数にあると思います。映画やアニメ、マンガなど、視覚に訴える媒体もあれば、言葉だけで表現される小説もあると思います。

 また、高度な科学考証をもとにしている物語もあれば、実現性を度外視した作品もあると思います。

 ただやはり物語ですので、多くのものは“少し大げさ”に描かれているように感じます。

 未来の雰囲気を出すためには、“少し未来過ぎる”表現が必要な場合があると思います。

 

 それでもマンガやアニメや映画で描かれた“未来”が、現実になっているものも少なくないと思います。

 ただ少し“こじつけ”めいていると感じるものもあります。現代にあるものと、昔のマンガで描かれた未来のものの共通点を見つけ出し、物語が現実になったという取り上げられ方をすることがあるような気がします。

『確かにそういえなくもないと思うけど、ちょっと強引というか、多少無理やり結びつけているような感があるなあ』

 そのように感じることがあります。

 

 そうではなく、まさに未来を描いた物語に登場したものが、現実のものになったものもあると思います。

 それどころか、未来の物語を現実の技術が追い越したと感じることもあります。

 あくまで例えですが、自動車が空を飛ぶ未来を舞台にした物語でも、その物語の世界には携帯電話がなく、通信は公衆電話を使っているなどです。

ただその公衆電話はテレビ電話で、料金は指紋認証によって本人の口座から自動的に引き落とされるようになっています。

 

現在、自動車は空を飛びませんし、公衆電話はテレビ電話ではありませんし、指紋認証によって料金を支払う仕組みもありません。多くの人が携帯電話やスマートフォンを持っています。

 これは何かの物語ではなく、僕が勝手に想像した“例え”ですが、時々耳にするのは、携帯電話は昔のSFで似たようなものがよく登場していということです。

 

 ただこうして考えているだけでは、発想点はわかりません。

 多少無理やりこじつけていてように感じられるものが、実は昔のSF映画から発想を得て開発が始まったのかもしれません。

 また、昔のSFにそっくりなものが現代で実用化されているものの、それは物語とはまったく無関係なものもあるだろうと思います。既存の機器の機能を高めていくことで、図らずも昔のSF映画にそっくりになったものもあるような気がするのです。

 

 具体的な作品は思いつきませんが未来を描いた物語で、顔の部分がテレビやパソコンの画面になっているロボットが登場するものがあります。

 その画面に人間の顔が映しだされ、ロボットがその人物の代わりに何かを行うというものです。

 例えば、遠隔地にいる人物が本人の代わりにそのロボットを使っているとか、他界した人物が自分の記憶を詰め込んだロボットを残しておいたという展開です。

 どちらも、自分がその場にいられないため、その代わりにロボットを使っています。

 

 ロボットでなくても、機械にモニターが備えてあり、そこに人間の顔が映しだされるものも、SFでは頻繁に描かれていると思います。

 案内や説明や教育をする機械などが多いような気がします。

 

「テレプレゼンス」

 先日インターネットで、はじめてこの言葉を目にしました。そこには(遠隔存在感)と括弧書きがありました。

 前後の文脈と括弧書きから、モニターなどの画面を利用して、実際にその場にいなくても存在しているような感覚を抱かせるとともに、これまで対面して行っていたことを、離れた状態で実施する仕組みのことだろうと思います。

 インターネットで調べてみると、テレビ会議などはテレプレゼンスを用いた仕組みのようです。

 

 僕が目にしたインターネットの記事には、「テレプレゼンス・ロボット」と書かれていました。

 アメリカでは「テレプレゼンス・ロボット」が医療において実用されているという内容でした。画像はなかったのですが、医師の顔を映しだすスクリーンを備えた機械のようです。

 深夜など、医師が自宅にいるときに担当している患者の容体が変わった場合など、そのテレプレゼンス・ロボットを介して、医師は自宅に居ながらにして、患者とやり取りをするようです。

患者に対する処置は看護師やその場にいる医師が行うようですが、血圧や心拍数など医療に必要な情報は、自宅にいる医師のパソコンで見られるようです。

 

正確には思い出せませんが、そのような取り組みが開発されているとか、構想があるなどと聞いた覚えがあります。

 しかし、すでに実用化されているとは思っていませんでした。

 技術は思いのほか急速に発展しているのかもしれません。人の命を守る現場だけでなく、命を奪う用途でも技術は進んでいるのかもしれません。