2014年4月22日火曜日

国民の意識と無意識のなかにあるもの


 このところ「貿易赤字」という言葉を耳にする機会が増えたと感じます。

 外国に何かを売って得たお金よりも、外国から何かを買って支払ったお金のほうが多いということだと思います。

 もらったお金より払ったお金が多いので、「赤字」というのだと思います。

この国は輸出によって経済成長してきたと思います。つまり、外国に多くのものを売って、その代金によって国が潤ってきたといえるかもしれません。

 それがここしばらく、外国から買うほうが多くなっているのだと思います。

 ここしばらく続いているということは、一時的ということではないような気がします。

 産業構造が変わってきていると見るべきだと思います。

 

 この世界は常に変わり続けているものだと思います。

 時にその変化に気づかないこともあると思います。

変化に気づきながらも乗れないときもあると思います。

 変わってから必死で追いすがることもあると思います。

 変わることを見越して先回りすることもあると思います。

 先回りしたつもりが、見当違いだったこともあると思います。

 ただ一般的なものの見方をすれば、変わってから追いすがるよりも、変わることを見越していたほうがいい結果につながることが多いような気がします。

 少なくても、変化に置き去りにされないようにしなければならないと感じます。

 

貿易赤字の理由については、色々な見方があると思います。

細部を分析するのではなく、大きく見ると、二つの点が指摘されているように見られます。

外国から買う燃料の代金が高くなっていること、外国に売った金額が低くなっていることです。

ただこの二つは、決して意外ではないと思います。

金融一本槍の経済政策が施されたのは東日本大震災の後ですので、燃料費が高くつくことは予想できたことだと思います。

 

また、その政策を打つ前から企業は海外での生産を増やしていたと思います。為替変動によって利益が変わってしまうことをやわらげることが目的の一つだと聞きます。

また外国の企業との競争が激しくなっていることも理由だと思います。そのために、生産にかかる費用を抑えなければならないのだと思います。

日本で作ってはそれが高くついてしまうことが多いのだと思います。

そう考えると、日本の企業が外国で作ることはこれからも続くような気がします。工場を建てる国は変わるかもしれません。しかし、『より安上がりに作れる国で作ろう』という考え方はこれからも続くと思います。

国際的な競争の激化によって、その考えは強まるかもしれません。

 

 それにしても、貿易赤字が続いていながらも、日本経済は“雰囲気がいい”と感じます。

 貿易だけでなく、消費税の増税などあらゆる国民負担が増えているにも関わらず、今のところ心配されていたほど、雰囲気が悪くなっていないような気がします。

 景気はその雰囲気が大きく左右するものだと思います。

 そう考えると、雰囲気が悪くならないのは、日本経済にとって“いいこと”だと思います。

 

雰囲気が悪くならないのは、それが景気を左右することを国民が知っているからだと感じることがあります。

『雰囲気が悪くなったら景気が悪くなる』

『長い間、不景気に浸っていて大変だった。いい加減景気がよくなってもらわないと困る』

『そのためには、雰囲気を悪くしてはならない』

多くの国民にそのような意識があると感じます。

それは無意識のなかにもあるように感じられます。

発想自体はありきたりの経済政策に呼び名をつけて印象付けようとしたことが上手く運んだという側面もありますが、それよりも国民の意識と無意識のなかに、景気回復の雰囲気を守ろうというものがあり、それが最近の景気において大きな役割を果たしているような気がします。

 

そして国民の意識と無意識は、政党支持率にも表れているような気がします。

今の与党が前々政権についていたときから、内閣支持率は低くかったような気がします。

政権が交わっても、何度首相が交わっても、支持率は上がらなかったような印象があります。

その間、日本の政治は低迷していたような気がします。日本の国が低迷していと感じていた国民も少なくなかったと思います。

 

 多くの国民が、今の日本は多くの難しい問題に直面していると感じているような気がします。

 そして長く続いた政治の低迷から、『支持率の低い政党では、難局を乗り越えることが出来ない』という観念が、多くの国民のなかにあるような気がします。

 自覚していない人も多いような気がしますが、国民のなかに支持率の高い首相を求める心理があるような気がします。

 その心理が、政策に対する考え方や、政策に対する反応に影響している人もいるかもしれません。つまり『政策には反対だ。だけどこの時代には、支持率が高い政権が必要だ』という思いが、無自覚ながら頭のどこかにあるということです。

 国民が支持率の高い政権を求めているため、支持率が下がりにくいような気がします。

 こうして考えると、今のこの国の経済と政治を支えているのは、国民の意識と無意識といえるかもしれません。

 ただそれは、気づかぬうちに簡単に変わってしまうこともあると思います。