衝撃をやわらげるために段階を踏む、それはあらゆる事柄で見られることだと思います。
大きな変更を行うときや、大きな影響があると見込まれることを行う場合、何段階にわけることあると思います。
根っこから植え替えるような大きな変更を行う場合、それを一回でやってしまうと、実務的にも心理的にも変化についていけず、戸惑ってしまうことがあると思います。
国の制度を根本から変える場合などです。それはいろいろと混乱がみられることもあると思います。
その混乱がよくない影響を与えることもあると思います。
そうならないようにするために、何段階かにわけることは有効だと思います。
また、根っこから植え替えるような大きな変更でなくても、影響が大きいと予想されることもあります。
税制度を変えるのではなく、税率をかえる場合などです。税に関することは国民の暮しに直接関わってくると思います。
そのため、制度そのものを変えるような大きなことでなくても、影響が大きく混乱もあるのではないかと予想されます。
そこで何段階かに分けて変えることは有効なやり方だと思います。
4月1日から消費税の税率が変わりました。
それ以前から、どのような影響があるのか多くの予想がありました。消費税の税率は以前3%から5%にあげられていますので、その時のことも踏まえて予想されていたと見られます。
消費税の制度そのものが大きく変わるのではなく、率が変わるのですが、何かしら影響があるのは当たり前だと思います。
思い返してみれば、消費税を10%にあげるという考えが先にあったと思います。
しかし5%から10%に一回であげたのでは、影響が大きすぎるため、二段階に分けようという発想だったと思います。たしか10%にあげることは国会で決まっているような気がします。
そう考えると、5%から8%に税率があがるのは、“経過措置”に近い考え方といえるような気がします。
当初の考え方は、あくまでも5%から10%にあげるのであって、8%にあがるのはその途中の段階だということです。
しかし今回、“途中の段階”という雰囲気はあまり感じられません。5%から8%、そして10%という、一連の流れで考えていることは少ないという印象があります。
それは決まっているとおりに10%に上げられるのか、現時点で確かではないためだと感じます。
8%にあげることも、国会で決まった後も確定ではなかったような気がします。
この先10%にあげることも、まだ確定ではないように見られます。
もしこの先10%に引き上げられなかったなら、二段階で増税するという決まったことが実現しなかったということになると思います。
もしこの先10%に引き上げられたなら、当初の考え方どおり、二段階に増税されたことになると思います。
ただもしこの先10%に引き上げられたとしても、8%にあげられた時点で10%に引き上げられることが確定していたなら、いろいろなことが違っていたと思います。
10%に上がることが確定していた場合、今回の8%にあがることはあくまでも第一段階というか、前の段階という認識になりやすいと思います。
つまり、次に10%にあがることを前提としているということです。
そうなると企業も消費者も、10%にあがることを見据えた対応をしていたような気がします。
価格を設定や表示など、10%に税率があがることを前提にした対応があったような気がします。
また消費者としても、このさき10%にあがることを意識していると、消費に関する雰囲気や消費活動は、今のそれらとは違っていたような気がします。
企業も消費者も、現状ではとにかく8%にあげることだけを意識しているように感じられます。
10%まで上げることが確定していたら、8%から10%まで一連の増税として受けとめられていたような気がするのです。
ただそれがよかったのか、よくなかったのか、一概には言えないと思います。
人それぞれだと思いますし、企業それぞれによると思います。
では国としてよかったのか、よくなかったのか、それはわかりません。その判断も立場や考え方によって違ってくると思いますし、しかも常に結果論でしか語れないと思います。
ただ個人的に感じることは、今回8%に引き上げる時点で、10%まで引き上げることが決まっていて、それを見据えて対応していたほうが、国全体としてみるといい面が多かったような気がします。