2014年4月6日日曜日

まったく疑っていなかった


“「おれおれ詐欺」という言葉を、初めて耳にしたのはいつごろだっただろう”

 思い返してみると、もう随分前だったような気がします。

 あのころは『そんな詐欺があるのか』とか『色々な手口を思いつくものだな』などと思ったものです。

 そして『もし自分だったら、こんな詐欺には引っかからない』と考えたものです。

 それは僕だけではありませんでした。老若男女に関わらず周囲の人のほとんどが、『俺はこんな詐欺には引っかからない』とか『私だったこう言って撃退してやる』などと言っていました。

 

 おそらく僕の周囲だけでなく、多くの人が同じような考えを持っていたのではないかと思います。しかし電話を使った詐欺による被害は、急増した印象があります。

『自分は絶対に騙されない』と思っていても、いざ詐欺の電話がかかってくると信用してしまうという声を何度となく耳にします。

 それに詐欺の手口は次第に巧妙になり、話の内容も状況に応じて変えられていると聞きます。

詐欺だと薄々気づいているもの、少しでも取り返したい思いや、騙されたことを恥じる想いなどから、それを認めない心理が働くことがあるのかもしれません。

また一度詐欺にあうと、それを取り返そうとしてさらにお金をとられてしまうこともあるようです。

 

しかし、詐欺の被害を金融機関などが防いだ話や、詐欺にかからなかったという話題も聞かれるようになってきました。

 少し前にインターネットで見たのですが、息子を名乗る電話を受けた女性が、その子が好きなアニメのキャラクターの名前を質すことで偽りだと見抜いたそうです。

 そんなことがある一方で、相変わらず電話を使った詐欺は、連日のように報じられている感があります。

 

 他者が詐欺にあった話を聞いて、『自分ならこう言って撃退してやる』などと思い描くことがありますが、現実ではなかなか想像通りにはいかないものだろうと思います。

 それにしてもこうして毎日のように詐欺の被害が報じられると、今までに聞いたことがある手口なら詐欺だと気づくかもしれません。

しかし詐欺の手口や話の内容が変わってくるというのですから、新しい手口で狙われることもあり得ると思います。その場合、防げるだろうかと考えると、自信がありません。

 

数か月前、電力会社か、その関連企業を名乗る電話がありました。中年と思しき女性の声でした。言葉使いはしっかりしているというか、企業に属する人が顧客に対して用いる言葉使いだと感じました。

すでに時間が経過していますし、その時は特に怪しんでいませんでしたので記憶が薄れているのですが、その女性は電力会社でなければ知りえないことを言った覚えがあります。ただ別の点で、間違っていることを言いました。

その時は言葉使いなどの印象から、電力会社か、その関連企業からの電話だと疑うことはありませんでした。何かの手違いで間違ったのだろうと思ったのです。

 

それからしばらくして、電力会社を名乗る電話がありました。若い男性の声だったのですが、言葉使いは企業に属する人間が顧客に対して用いるものではありませんでした。話の内容も、明らかに嘘だとわかるものでした。

そうなると、中年女性からの電話も嘘だったのだろうかと疑われます。

そこでインターネットで検索してみました。電力会社や関連企業を名乗る不審な電話が相次いでいると書かれているサイトがありました。

電力会社のウェブサイトでは注意を促していました。どうやら、ちゃんとした言葉使いをする中年女性からの電話も、明らかに怪しい若い男性からの電話も、電力会社を騙った電話だったようです。

 

ただ記憶が定かでないのですが、中年女性は電力会社でなければ知りえないことを言っていたような気がします。

もしそれが僕の記憶違いだとしても、このような電話が、ここにかかってきている、そのこと自体、電力会社かそれに関連する企業から、顧客情報が漏れたと見るのが自然な考え方だと思います。

電力会社による顧客情報流出について、インターネットで検索すると、時期が合うものは見つけられませんでした。

 

企業や自治体のコンピューターから情報が流出したという報道を時々見聞きします。そのなかにはウィルスなどのサイバー攻撃によるものもあるようです。

詳しいことはわかりませんが、サイバー攻撃を完全に防ぐことは難しいと聞きます。それによって情報が盗み出されたのなら、盗まれた側を責めるのは酷だと感じます。

 

そういえばあと数日で、広く使われてきたパソコン用基本ソフトのサポートが終了します。その基本ソフトをまだ使用している人もいるようです。

企業や自治体でも使っているところがあると聞いたことがあります。

もしこれから、サポート期間が終了した基本ソフトがはいったパソコンを使い続ける自治体や企業があり、そこから個人情報や顧客情報が流出し、それが詐欺などに使われ金銭を奪われるような被害があった場合、その企業や自治体はなんらかの責めを負うべきだという気がします。