2014年11月15日土曜日

17%

 消費税の税率を10%に引き上げることが決まったら、その後で書こうと思っていたことがあります。
 それは、消費税を10%以上にあげることが、極めて難しくなったということです。
 今回、消費税の税率を5%から10%に二段階で税率を上げる政策の進め方は、首相の大失敗だったと思います。
しかしそのおかげで、さらなる消費税の増税は、当分の間出来なくなるだろうと思いました。

 これからの日本の消費税は、10%でも到底足りないと目されています。
「17%は必要だ」などという声を聞くこともあります。
 そうなると消費税はまだ上がる可能性があると思います。
 しかし首相の増税政策の進め方によって、消費税をあげることが格段に難しくなったと感じます。
そのため、10%より上げられる可能性が、かなり低くなったと思います。
 そうなると、10%には上げておく必要があると思います。
 
 しかしそれは一年半先送りされるようです。
 先送りですので、消費税を10%にあげることに変わりはないようです。
ただ先送りすることで、10%に引き上げることの難しさが、さらに格段に増すと思います。
10%よりも消費税を上げるとなると、さらに格段に極めて難しくなると思います。

日本は過去の流れによって、政治的に消費税をあげるのが非常に難しい国になった感があります。
そんな中で、5%から10%に二段階で引きがあげることが国会で決まったのだと思います。
しかし首相が「私が決断します」としたことで、実質的にその決定が無くなり、改めて決めなければならなくなったように見られます。
その進め方によって、消費税の税率引き上げは難しくなったと感じます。

さらに先送りすることで、格段に難しさが増したと思います。
今の時点で聞こえてくる話ですと、一年半先送りし、その時には景気条項を入れない考えのようです。
つまり『景気が良かろうが悪かろうが、増税をする』ということだと思います。
しかしやはり景気が悪ければ、増税することは難しいと思います。

 一年半先送りし、その半年前のGDPの数字が今年の7~9月と同じだったら、増税に反対する声があがると思います。
先送りした根拠の一つである数字と同じ数字ならば、増税反対理由として説得力があると思います。
 もし、0.1%でも低かったら、増税に反対する機運は高くなり、そんななかで税率をあげると、消費者心理に影響を及ぼし、景気が一層悪くなる可能性があると思います。
 先送りして増税するには、景気条項があろうがなかろうが、その半年前のGDPが今年の7~9月のそれより、0.01%でも高くなければならないと思います。

 ただ確実にGDPの数字を上げる方法はないと思います。
 間違いなく景気を良くする方法もないと思います。
 それがあれば、今年の7~9月の数字を上げればよかったと思います。
 むしろ一年半先のほうが、今よりも日本の経済成長率は低くなるという予測もあると聞きます。
 数字だけでなく、“先送りする”そのこと自体によって、増税する景気判断はより難しくなると思います。

景気条項があろうとなかろうと、景気によって増税の判断を下さなければならないと思います。
景気の判断によって先送りされたからです。「景気に関わらず、絶対に増税します」というわけにはいかないと思います。

 今回は、景気条項があったから増税が難しくなったのではなく、その条項の使い方に問題があると思います。
 首相一人が総合的に勘案するのではなく、リーマンショックや東日本大震災のような事態が起きたときは、国会で実施時期を審議するような形にするべきだったと思います。
 そのような事態が起きなければ、速やかに増税を実施する、という形にするべきだったと思います。
 そうしておけば、半年前のGDPの数字が多少悪くても、マイナスでなければ今ほど気にされなかったと思います。その数字が基準でないからです。

 また何事も、一度先送りすると「もう一度」と考えるものですし、そういう声が上がるものだと思います。
 しかも上に書いたように、先送りすることで増税を実施する景気判断が難しくなります。
景気判断が難しくなることで、「もう一度先送り」や「無期限凍結」という意見が出やすくなると思います。
それにいつの世も、増税には反対する声が、必ず少なからず上がるものです。
先送りした後でも、増税に反対する声が少なからずあがると思います。

 増税は、それを受け入れる雰囲気が相当に低いときにやってしまうと、景気を大幅に悪くすることがあり得ると思います。
 そのために受け入れる雰囲気つくりが必要だと思います。
 今はそんな雰囲気ではなくなったと感じます。
ただ“首相が景気を総合的に勘案する”それが増税を受け入れる雰囲気つくりの妨げになったと感じます。

 それにしても今回は事態が急に大きく動いた感があります。当初はGDPの速報値ではなく、確定してから年末までに判断する意向だったと思います。
 増税という国民の生活に深く関わる重要な政策が、解散総選挙という政治的思惑に左右されていると感じます。

 またこれだけ急に事態が動いたこということは、GDPの速報値が想定していたよりもずっと悪ことが伝えられたためにあわてたのかもしれませんし、裏で動くものが動いたからかもしれません。