2014年11月16日日曜日

論理的に破たんしている主張

何事も、リスクは先送りするほど大きくなると思います。
 当面のリスクを回避するために、先に延ばしにすることはよくあることです。
 しかし多くの場合、“時間が経つ”それ自体がリスクを大きくする原因になると思います。
 先延ばしたことでその間に、リスクが大きくなり続けるということです。
 そしてリスクが大きくなることで、先送りした後の対処が難しくなることが多いと思います。
 大きくなったリスクに対処できず、再び先送りし、さらにリスクを膨らませ、さらに対処を難しくしていくことが、この社会ではあまりにも多いと思います。

 消費税の税率を上げるのは、一年半先送りされるようです。
 経済状況を総合的に勘案して判断されたようです。
“景気が悪くはない。しかし弱い”という理由だと感じます。
 そうなると、先送りした後も同じ理由があり得ると思います。
 景気条項があろうとなかろうと、先送りした後で増税する時には、景気によって再度判断することにならざるを得ないと思います。
『どんなに景気が悪くても、絶対増税する』そんなことは出来ないと思います。
 そうなると、先送りしたあと増税するのは、格段に難しくなったと思います。
 
 今回先送りすることで、消費税をあげることの政治的な難しさが、非常に高くなったと思います。
 10%にあげることも、難しさが相当に増したのですから、それ以上の税率にすることは、ずっとずっと先まで無理だと思います。

 しかし社会保障費は、その間も上がり続けると見られます。
 消費税は、国民が広く浅く税金を負担する税制度だと思います。
 その消費税による財源が予定通りにならないとなると、個々人の負担が重くなるものだと思います。
 また国の借金で賄わなければならないと思います。しかし国の借金は、すでに手が付けられないほど膨んでいると感じます。

『すでに兆を超える借金があるんだから、いまさらケチることはない。選挙に勝つために、どんどん借金して、どんどんばら撒いてしまえばいい』
オフレコであろうとそのようなことを言う政治家がいると国はだめになると思います。選挙によってその政治家を、政治家でなくすることが、国のためになると思います。

 消費税を10%より上げるのは、これから随分と先まで出来ないと思います。
そうなると10%の財源は確保しなければならないと思います。
軽減税率を導入すると、消費税の税収が減ります。
他の国では、そのために標準税率をあげているという側面があるように見えます。

しかし日本では、軽減税率を導入したからと言って、消費税を10%より上げることは相当に難しいと思います。
今回の先送りによって、ほぼ不可能になった感があります。
そうなると別の税制度によって、賄う必要があると思います。
結局、現役世代の税負担が増え、高齢者の社会保障が削られることになると思います。
少子高齢化が進んでいる状況では、それらは消費を冷え込ませる理由になると思います。
それは景気を悪くする原因になりかねないと思います。

そう考えると、消費税の増税を先送りしたことで、軽減税率を導入してはならない理由が大きくなったと思います。
しかしそれ以前に、軽減税率は国民のためにはならないと思います。
殊に、人口減少と少子高齢化が進み続け、社会保障費が膨らみ続けるこれから日本では、明らかに国民を苦しめる制度だと思います。
『国民のため軽減税率が必要だ』
それは論理的に破たんしていると思います。

最大与党に属する政治家のなかには、自身のウェブサイトで軽減税率の導入に反対を表している人もいます。
その理由が、とても論理的で冷静に書かれていると思います。

 新聞や他のマスコミは、『国民のため軽減税率が必要だ』と、長いあいだ国民を欺き続けてきたのだと思います。
 それは報道機関としても、言論機関としても、恥ずべきことだと思います。
 報道機関として、言論機関として、軽蔑されるべきことだと思います。
 それ以前に、人として恥ずべきことであり、軽蔑されるべきことだと思います。

 ただそうはいうものの、固定観念に縛られ、思考が硬直し、それが状況認識を誤らせているようにも感じます。
 軽減税率は国民のためにならないだけでなく、特定の業界などのためにもならないと思います。その認識が出来ていなかったように見られます。
 軽減税率を導入することが、消費を冷え込ませる要因になるのなら、モノを売るすべての業界にとってマイナスになると思います。
新聞も雑誌も書籍も、モノを売っている業界だと思います。

それと、硬直しているのは思考だけではないと思います。
社会性が硬直しているのだと思います。
人間と人間のつながり、集団と集団の繋がり、個人と集団の繋がり、そのような社会における繋がりが硬直しているのだと思います。
政治家、政党、宗教団体、企業などの繋がりが硬直しているのだと思います。
そのため『軽減税率は国民のためになる』、それが論理的に破たんしているにも関わらず、軽減税率の導入を強引に進めているように見えます。
それは社会性が硬直しているのだろうと思います。

また裏で動くものが動いているのだろうと思います。