2014年11月23日日曜日

争点を作る者

「今回の選挙では争点になりませんでした」
 そのような言葉を耳にすると、なんとなく他人事のような印象を受けます。
 争点は有権者が作るべきだと思います。
 しかし、なかなかそうはいかないのが現実だったと思います。
争点は、候補者や政治家などの思惑によることが多かったと思います。

“人気のない政策を実施したあとで選挙をしたのでは、与党が不利になる。その前に選挙をやってしまおう”
 今回の衆議院の解散には、そのような思惑があるのではないかと言われています。
 本当にそうだとすれば、国民を軽んじていると思います。

有権者は、選挙で政策に影響を及ぼすことが出来ると思うからです。
これから行われる政策に対して、多くの有権者が反対すれば、与党の議席が大きく減ることもあると思います。
そうなると、与党がやろうとしていた政策をやめざるを得ない、そんなこともあり得ると思います。

そう考えるなら、強い反対がある政策は、選挙をする前にやってしまったほうが、与党にとってはいいはずだと思います。
しかしもし、反対がある政策を実行する前に選挙をした方が与党に有利と判断して解散したのなら、選挙によって政策が影響をうけることなどない、そう考えたのだと思います。
もしそうなら、有権者を軽んじていると思います。

今はインターネットを使って、有権者一人ひとりが手軽に選挙運動に参加することが出来るようになったと思います。
それは、大きな変化といえるような気がします。
有権者は今後行われる政策について、候補者のフェイスブックやツイッターを通して直接、質問をすることが出来るといいます。

ソーシャルネットワーキングサービスを行っていない候補者には、ウェブサイトに表示が義務つけられているメールアドレスに宛てて、政策に対する質問をすることが出来るようです。
そして候補者の返答を、有権者はソーシャルネットワーキングサービスで拡散させたり、ブログで公開したりすることが出来るそうです。

有権者が候補者に対して政策について質し、候補者がそれに応じる、そのやり取りをインターネットで、広く世間に知らしめることが出来る、そういうことなのだと思います。
もし候補者が自分の意見を明確にしなかったり、論点をすり替えたり、明らかに見識のない意見を発したりした場合、有権者はインターネットをつかって、それを広く世間に知らしめることも出来るということです。

政策を質す有権者、それに応じる候補者、双方が論理的に意見を発信しあえば、議論の体になると思います。
有権者の間にも賛否がある政策は、インターネット上で有権者同士活発な議論が起こることもあると思います。
インターネットは、その議論の成り行きを、広く世間に伝えることが出来ると思います。

ただ誹謗中傷は違反になります。
落選運動は違反ではありませんが、感情的に言い争うことは逆効果だと思います。
人間は持論にとって有利な事柄を、実際以上に高く評価するものだと思います。
また、反対意見の論拠を頭から批判してかかるものだと思います。
そして持論に反対する意見には、怒りの感情を抱きやすいもの。
そして人間は、他者から怒りを向けられると、怒りで立ち向かおうとするものだと思います。
そして誹謗中傷合戦になることがあると思います。

ただ、インターネット上でそのようなことが度々あったためか、最近は感情的な物言いを受け入れない雰囲気が出来やすくなっている、と感じる時があります。
そのことからも、有権者も候補者も持論を押し付けようとするのではなく、議論を活発に行うべきだと思います。
なにもやらないよりも、賛同する人が一人でも増えるかもしれません。
それに政策について活発な議論が起こることは、それ自体が投票を促すことにもなると思います。
インターネットで活発な議論が交わされることで、選挙に関心のなかった人が、投票に行く気になるかもしれません。
 
そして選挙結果が、今後の政策に影響を及ぼすかもしれません。
これから国会で決められようとしている政策に対して、何か意見を持っているのなら、インターネットをつかって活動することは有効だと思います。
政策が決まった後で、国会前でデモをやるより効果は高いと思います。

デモにはデモの効果があると思います。平和的に行われるデモならば、否定するつもりはありません。
しかし政策が実行されることを防ぐのであれば、国会で決まった後でデモをしても、今の日本ではそれほど高い効果はないと思います。
選挙で与党の議席を減らすほうが、政策に与える影響は大きいと思います。

“政策を実行する前に選挙をする”
それは、投票によって政策を止めたり変えたりする機会を得たといえるような気がします。
せっかくチャンスを得たのですから、有効に生かすべきだと思います。

原発の再稼働も、集団的自衛権の行使容認も、今回の衆院選でなにかしら変えられることがあり得ると思います。
選挙の後、他人事のように「争点になりませんでした」という時代ではなくなったと思います。

ただそれは有権者次第という面があると思います。