2015年6月30日火曜日

イメージによる戦争

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2015年6月 30日「イメージによる戦争」


概要
『イスラム国を壊滅させなければならない』
 今までに数え切れないほど、そのような言葉を見聞きしてきた感があります。ただ多くの人が「壊滅させなければならない」とイメージしているものの、では“壊滅した状態”とは、どのような状態なのか、具体的に思い描くことが出来ていないと感じます。
“壊滅させるべき”というイメージは、漠然としていて現実的な思考に繋がっていないような印象があります。
多くの人が抱いている“イスラム国壊滅のイメージ”は、『幹部が全員殺害すれば、組織として機能しなくなる』とか、『ほとんどの戦闘員を殺害すれば、組織の戦闘力がなくなる』などだと思います。
『それを実現することが出来るのか?』『実現できるのならば、どのような手段を用いるべきか?』『それ以前にそれで本当に壊滅したといえるのか?』
『幹部全員を殺害すること』も、『ほとんどの戦闘員を殺害すること』、もしそれが出来たとすれば、イスラム国は「壊滅した」といえるような気がします。しかし極めて難しいと思います。現実的ではないと思います。
 それにもしイスラム国が壊滅したとしても、テロがなくなるわけではなく、テロリストがいなくなるわけでもないと思います。別の過激派組織が台頭するか、残党が組織を再編することになると思います。
 そう考えると現在一般的にイメージされている“イスラム国が壊滅した状態”が現実になることは、まずないといえるような気がします。
 つまり現実的ではないイメージを、多くの人が求めているということになると思います。イラク戦争が始まった経緯には、イメージが大きく関わっていた感があります。ただそれを自覚している人は少ないと感じます。
 イスラム国も、ほかの過激派組織も、時間を掛け、多角的な手を尽くし、弱体化させていくしかないと思います。