2015年7月19日日曜日

イラク戦争と『アラブの春』

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2015年7月 19日「イラク戦争と『アラブの春』」

概要
中東には、宗教、宗派、民族など、国内に対立が起こる要因が潜在していたと感じます。アメリカがイラクの独裁政権を倒したことで、それが顕在化したと感じます。アメリカはイラク戦争を始める前から、終わったあとの状況を予測し、対応策を練っていたと思います。しかし戦争が終わった後の状況をみると、あくまでも結果論ですが、認識が甘かったといわざるを得ない気がします。
 また、フセイン政権時代の政治と軍事の高官が、過激派組織に加わることで、テロ組織を肥大化させたと感じます。しかもそれは見えないところで進行したため、アメリカは詳細な状況を把握できなかったような気がします。
 そしてこの点についてもアメリカは、事前の認識が不十分だったような気がします。そのように“読み”が甘くなったのは、『悪者をやっつける』という意識が政治家や軍人や国民の心理にあったからかもしれません。
また数面前、北アフリカから中東で「アラブの春」と呼ばれる民主化運動がありました。インターネットでデモを呼びかけられ、それが大勢の人を動員させのだと思います。個人的な印象では、勢いに任せたお祭り騒ぎだったと感じます。実効性や計画性に乏しく、その時は高揚感に包まれるでしょうが、それだけに先のことに意識が向かいにくかったと感じます。つまり独裁政権を倒すことが目的として大きくなるばかりで、その後にどうやって民主的な政治体制を確立するかという点になると、何も戦略がなかったということです。
 それでは内政を大きく混乱させると思います。実際に、そうなった国が多いと感じます。

こうして考えると、イラク戦争とアラブの春には、共通することがあるような気がします。先の読みが不十分な状況で独裁者を倒したため、埋もれていた対立と争いが掘り起こされ、混乱が深まったということです。