2015年7月25日土曜日

隣国感情

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2015年7月 25日「隣国感情」


概要
国民の隣国に対する感情は、往々にして強いものだと思います。
少し前、アジアインフラ投資銀行の創設時に、日本が参加することの是非が取りざたされました。日本にとって参加する利点の大きさや不利点は、今でも未知数だと思います。この件については、結果論で語られるしかないと思います。
5年後、「やっぱり創設時に、参加しておくべきだった」といわれるかもしれませんし、その3年後に「やっぱり参加しなくて正解だった」といわれるかもしれません。
 しかし『中国が主導する』それ自体に、心理的な影響を受けている日本人が少なくなかった感があります。
 またギリシャの首相が中国に接近したことを、少し重く見過ぎる傾向も、日本人には見られた気がします。中国がギリシャ債務を肩代わりしてくれるなら、欧州連合にしても国際通貨基金にとっても結構なことだと思います。しかし中国も何の見返りもなくそんなことはしないと思います。
中国にとってギリシャは経済的に重要な地点ですが、『通過点や拠点として』であり、ギリシャという国に対する経済的な価値はそれほど高く見積もってはいないと思います。 
しかしギリシャは、中国と軍事的、政治的同盟を結ぶ意思など、端からさらさらなく、それどころがEUにもユーロ圏に残りたいことが明白だったと思います。
それでは、ギリシャが中国に近づいても、欧州連合には揺さぶりにならないと思います。
中国はギリシャがユーロ圏に残ろうが、債務不履行になろうが、ギリシャを構想する経済圏に取り込もうとすると思います。そして欧州諸国は、警戒しつつも、自国の経済成長につなげることを考えていると思います。
日本にとって中国による東シナ海のガス田開発は、警戒すべき事案だと思います。しかし現時点では、日本には打てる手が少ないと感じます。そんな状況で、心理的に過剰に反応すると、あらゆる方向から足元をすくわれることになりかねないと感じます。