2014年1月17日金曜日

最悪のタイミング


大国は国内の政治対立によって、国際的な存在感を弱めたような印象があります。

 ただ政治は対立するのが当たり前だと思います。むしろ対立のない政治は健全とはいえないと思います。

 しかし政治の対立は、主張の相違によるものばかりではないと感じます。それよりも利害の対立や権力闘争の側面が強いように感じられます。また大国の国民はかねてから価値観を重要視する傾向が強く、それはともすると論理や現実性よりも感情を優先することにつながりかねないように見られます。

 それらが対立を激しくする理由の一つになっているような気がします。

 

 国内の政治対立が激化し先鋭化し長期化することは、国にとってよくないことになることが多いと思います。

 政治家が対立するということは、国のことが決まらないことも少なくないと思います。

国のことが決まらないのですから、混乱や停滞が起こることも多いと思います。

 混乱や停滞は国の力を弱めることになると思います。

 混乱や停滞が国の力を強めることなど、滅多にないと思います。

 

 また国内の政治が対立することで、外交は手薄になるものだと思います。

 政治が対立し、国政が混乱し停滞しているような状況では、国のリーダーが『おちおち外国になど行っていられない』と考えていると感じることがあります。

 国際的な会議などに出席しなかったり、参加はするものの、すぐに帰国したりしたことがあるような印象があります。

 それだけでも国際的に存在感が薄くなる理由になると思います。

 それだけではなく、国内の政治対立のために体も頭も時間も費やされるため、外交に注ぎ込む分が残っていないように感じられます。

 

 また、国内の政治が対立し、混乱や停滞が起きていることが世界に報じられることで、それが印象つけられえることがあると思います。

『今、あの国は政治がまとまっていない』

『今、あの国のリーダーは外交なんてやっている場合じゃない』

 そのような印象をもたれることもあると思います。

 

理性的で合理的な判断をしたとしても弱腰だといわれ、有効性が低くなったことで脅すやり方を控えたとしても影響力が弱まったといわれ、それらが合わさって存在感が薄くなったといわれることもあるような気がします。

 

日本は大国より顕著に政治家の争いが“国”の足を引っ張ったと感じます。

何度か書いていますが、政治家が政治対立にかまけるばかりで、内政も外交も停滞したという印象があります。

そしてそのため、世界的に存在感を薄らいだと思います。

その薄まり方が、非常に大きかったように感じるのです。

それはあまりにも時期が悪かったことが一因だと思います。

 

ちょうど新興国が急速に台頭してきた時期だったと思います。

経済面でも、外交面でも、まだ日本は世界第二位の経済を維持している時点でやっておくべきことがあったような気がします。全く何もやっていなかったわけではないのかもしれませんが、“新興国の台頭”に対する意識が低すぎたと思います。

それは自惚れがあったと思いますし、油断があったと思いますし、先見性と洞察力が足りなかったと思いますが、国内の政治対立に神経を使うばかりで、外国に対する意識が低かったことも否めないと思います。

 

また、政治が対立している最中にリーマンショックが起こりました。個人的な印象ですが、日本はこれほどの打撃を受けずに済んだはずだと感じます。

こんな時のために内部留保をしていたのですから、それを使えばそれほど長引かせずに乗り越えることもできたのではないかと思いますが、企業は内部留保をさらに大事に抱え込むようになったため、国全体の経済を必要以上に落ち込ませたような気がします。

 

企業にそうさせたのは、リーマンショック前の長期経済成長の構図がもっとも大きな原因だったと思いますが、国内の政治が対立するばかりだったことも一因になると思います。

 リーマンショックへの対応が政争の道具になっていた面があったと思いますし、なによりも、国の雰囲気がこの苦境を一丸になって乗り切ろうというものにならなかったことがあげられると思います。

 政治家の争いが、国の雰囲気を沈み込ませ、リーマンショックという一事に立ち向かう活力を沸かせなかったと感じるのです。

 

 さらに、政治家が対立ばかりしているときに東日本大震災が起きてしまいました。

 いくらなんでも政治家は対立している場合ではないだろうという声も聞かれましたが、それでも政治家は変わるものではないということを、世間に知らしめたことになったような気がします。

すでに与党では、なにかある度に、ここぞとばかりに身内を公然と批判し、それで自らを目立たせようとすることが頻繁に見られていましたし、野党はねじれていることをいいことに攻めたてるばかりになっていたと感じます。

国が一丸にならなければならない事態に直面しているにも関わらす、政治家が一丸になるどころか対立ばかりしていたのでは、現実的に災害対応の質がよくなるはずはなく、復興が円滑に進むはずはないと思います。

それが国の雰囲気をさらに沈ませるようにも感じられます。

 

あまりにも悪い時期に、懲りない政治対立が起きていたこと感じますが、それはこれほどの状況に直面しながら、政治対立が“国”の足を引っ張っていることに気づかないのか、気づいていても自分の利害や利権や権力のことしか考えられないのか、肝心なことを改められなかった政治家の質の低さを表しているようにも感じられます。