2014年1月20日月曜日

目立たないが大きな失点


 戦略性とは、先を見据えて冷静に判断し、物事を進めていくことだと思います。

 そう考えると、戦略的に物事を進めるには冷静な思考が欠かせないような気がします。

 考え方の方向性が感情に流されないことが求められると思います。

 ただ何回も書いていますが、思考は人間性が主導するものだと感じます。

 

人間性には、価値観や志向性など感情とつながっていることもあると思います。

 また、利害関係や人間関係などの社会性も、感情を呼び起こすことが多いという印象があります。

 人間は思考と感情を切り離すことは難しいものだと思います。

 しかしそれでも戦略的に物事を進めには、個人の価値観や思想を土台にして考えるべきではないと思います。

 

 外交には戦略性が必要だと思います。しかし有史以来、他国との関係には様々な形で感情が関わっているように感じられます。

 もしかしたらそれは有史以前から続いていることかもしれません。

 つまり、外交は冷静さが不可欠でありながら、それを実践することは極めて難しいような気がするのです。関係を持つ国同士が感情に左右されていることも、珍しいことではないように見られます。

 それはどの国にも当てはまると思います。

 そうなると、外交はどの国にとっても難しいことだといえるような気がします

 

この国では数年前、政治家から“外交などにかまけている場合ではない”という意識が感じられました。国内で政治家が権力や利権を争うことで、外交に時間を割くことも、意識を注ぐことも出来なくなっていたという印象があります。

 

 内外でそう感じられたこと自体、外交では不利点になると思います。

 国内の政治が対立するばかりで混乱や停滞していることが世界中に報じられることは、外交的に芳しいことではないと思います。 

それが、景気が低迷しかつて経済大国が凋落したとみられる時期と重なると、国の印象をさらに落とすことになると思います。

 外国の会議に欠席したり、出席してもすぐに帰国したりすることも、外交にとって失点になるような気がします。世界に欠席が伝えられることで、その理由である国内政治の混乱も合わせて報じられます。

 それほど目立つ失点ではないため、あまり気にかけられないのかもしれませんが、目立たなくても“失点”であることに変わりないような気がします。思いのほか大きな“失点”になっている場合があるような気がします。

 しかしそれに気づいていない人が多いような気がします。もっとも気づいていないのは政治家たちかもしれません。

 

 そのようなことは、どこの国でもあると思いますが、数年前の日本は本当に時期が悪かったと思います。

 政治の対立と混乱と停滞が最悪のタイミングだったと感じるのです。

政治家が国内の政治対立にばかりにかまけて“新興国の台頭”に対する意識が希薄だった印象があります。

 

急速な発展に伴って、自国に対する意識も他国に対する感情も変わるものだと思います。そのことに対する注意や目配り気配りが明らかに手薄だったように感じられます。そうでなくても、政治の混乱や景気の低迷が世界中に報じられていたのですから、隣の国の政治家や国民がこの国を見る目にも変化があってもおかしくないと思います。隣国は長年面白くない思いを募らせていたという側面があるように見られます。だから、そこに注意を向けておく必要があったと思います。しかし日本全体に隣国に対して驕りや自惚れに似た感情があり、政治家はみな内政にしか関心を向けられずにいた感があります。外交全般が手薄だったのですから、隣国との適切な対応をさぐることなど、政治家には意識出来るはずかなかったのかもしれません。

 

そんななかでも、経済活動において民間は隣国との関係を強めていたとみられます。政治的な面がその足を大きく引っ張ったのは、“新興国”に対する政治的な対応が、数年前の時点でまるで不十分だったことが大きかったようにも感じられます。

経済面でも民間が主導しており、政治は役割をまるで果たしていなかったように感じられます。

 

そのように、政治家が国の足を引っ張っていたと感じられますが、その政治家の顔ぶれは変わっていないような気がします。変わったのは、勢力争いの道具にされた“頭数の政治家”ばかりのように感じます。主だった顔ぶれは変わらず、混乱が始まった一人目の人が、今も政治の中心のド真ん中にいるようにみられます。

 

本当に地球儀を俯瞰しているのならば、世界経済第二位と第三位の国が近くにあるという利点は一目瞭然だと覆います。それに同盟国が近くにあるという利点も一目瞭然だと思います。隣の同盟国との協調の重要性など、今更いうまでもないことだと思います。

 

東南アジア、アフリカ大陸の国との関係構築も、出遅れている感がありますので、そこに力を注ぐことも必要だと思いますが、出遅れたことも、隣国との関係悪化も、数年前の内政の混乱が大きく響いていると思います。

目立ちにくいものの、大きな失点だったと思います。それならば取り返さなければならないと思います。

 

しかしどの国の政治家も国民も感情に思考をまかせているように見られます。感情による思考を優先することは、冷静な判断ではなく、それは戦略性がないといえるような気がします。

“嫌いだから付き合わないだもん。その代わりにほかの国と仲良くするんだもん。だから地球儀を見ているんだもん”

 幼児の思考回路だと感じます。