2014年1月28日火曜日

公平な政策対決


「民主主義は数だから」

 この言葉をよく使う政治家がいるように思います。確かに民主主義は原則的に多数派の意見が採用される仕組みだと思います。

 ただそれゆえに、数が力になることがあると思います。政治の場合、議員数が権力になることがあるということです。


民主主義は、本来意思決定の仕組みだという気がします。

人間は“社会”という“集団”を作って、そこで暮らしているのですから、集団全体としての意思決定を下さなければならないと思います。

そのための方法が多数決であり、それを含んだ仕組みが民主主義といえるかもしれません。


しかしとかく政治家は、意思決定を置き去りにして権力争いに、民主主義を使うものだと思います。政策を政争の道具にしていると感じます。

それは仕方ないのかもしれません。それをなくすことは出来ないと思われます。

それにしても近年、日本の政治家が政争するばかりで、日本を良くないほうに引きずり落としたと感じることがあります。


“数が多いということは、力が強いということだ。政策に違いがあっても数を増やさなければならない。しかし集団が大きくなれば、その内部で争いが起こる。争いが起こると政策の違いが持ち出される。そしてバラバラになる。そして意思決定が出来なくなる。それが国にとって不利益を呼び込む”

近年の政治は、そのように見られました。


しかもまた同じことをしようとしているように見られます。政権交代可能な政党をつくっても、寄せ集めでは結局バラバラになったように見られます。所詮寄せ集めであるため、立て直すことも来ないように見られます。それにしても、せっかく作った一大勢力を立て直すのではなく、また別に作ろうとしているように見られます。同じようなことをしても、同じような結果になることが多いものだと思います。

なんとなく“だめだから、いっぺんチャラにしてやり直そう”という意識を感じます。それは、何度もリーダーを変えていたときの意識と重なるような印象があります。


また、選挙目あてで人気者が手を組んだものの、結局政策を理由に党を割ってもかまわないなどということになっている政党があるように見られます。

また、以前の選挙で与党が負けそうだとみるや抜け出して新党を作り、次の選挙で圧倒的な議席を獲得して与党に返り咲いたとみるや、与党にすり寄っている政治家もいるように見られます。


今の政治に対する国民の意識は、何年も混乱した政治を見せられたことによる反動だと感じることがあります。

“寄せ集めの大きな政党は、結局バラバラになる。政策を議論すれば、誰も引かずに結論がでない。結局、強い一人の人物が決めたほうが結論を下すことが出来る。むしろ、複雑になった社会では、そうでもしなければ結論が出せない”

 そのように思考しているわけでなないかもしれませんが、意識として人々の心理にあるような気がします。


 それはつまり“独裁的な政治でも安定しているほうがいい”ということになるような気がします。そのような意識は他の国でも見られるような気がします。

個人的に、思考の方向性としては安易だと思います。

 それはやはり政策が軽んじられていると思われるためです。

政策を重視し、最後には決定を下す政治体制を作るべきだという気がします。


政策を重視するとなると、政党の人数は多くならないものだと思います。政党の数が多くなるものだと思います。

しかしなかなかそうはなりません。数が多いほうが勢力は大きいのですから、結局政策を軽んじてでも人数を膨らませようとするばかりに見られます。


そんななかで、野党でも与党の政策に賛成する動きは、一見すると政策を重視しているようにもみられます。国会がねじれているときには、そういう見方が出来る場合もあると思います。

しかし、今の日本の国会では、民主主義の原則から離れることになりかねないと感じます。


連立政権を組んでいる政党が、与党の政策に反対だとしても、その政党は“連立与党”にしがみつくため、結局最後は賛成に回るかもしれません。

与党は、連立解消をちらつかせて賛成を迫ると思います。

また、大きな与党の政治家のなかに、与党案に反対している政治家がいたとしても、その政治家が“与党議員”にしがみつくため、結局賛成に回るかもしれません。

与党は、党議拘束をかけて賛成を迫ると思います。


また、与党案に賛成する野党のなかに、反対する政治家がいたとしても、バラバラの野党では、与党にすり寄る代表や、暴れるように走る高齢者に従うしかないかもしれません。

それでは、“与党の思うまま”になるかもしれません。

国会全体からみれば、“一部の政治家の思うまま”になるといえるかもしれません。

それは民主主義を掲げる国家として芳しいことではないような気がします。


政策を重視するなら、多党化するのは当然のことだと思います。しかしそれを制度化することは難しく、実際今の国会はそうではありません。

一党だけが多くの議席をもっている現状で、与党が野党に“政策重視”を呼びかけるのであれば、与党所属議員や連立する政党の拘束をなくさなければ、“政策対決”が公平にならないような気がします。

そうなると野党も党議拘束をなくすべきだと思います。

そして、与野党にかかわらず、政策の近い政治家同士が連携するべきだと思います。

今の政治体制では、そうでもしなければ民意が政治に反映していないことになりかねないような気がします。