2014年1月24日金曜日

価値あることでも


 時間を必要とすること、体力を要すること、頭を使うこと、人間はそのようなことを“面倒なこと”と捉えるものだと思います。

 ただ社会にはそんな“面倒なこと”があふれていると思います。その“面倒なこと”を毎日こなしていくことが、“日常”なのかもしれません。

 

 たとえば仕事は“面倒なこと”といえる要素を含んでいることが多いような気がします。しかし『面倒からやりたくない」というわけにはいかないものだと思います。

 社会には“面倒なこと”があふれていて、その中にはやらなければならないことも多いだろうと思います。

 それにしても“面倒なこと”はやらなくて済むものなら、したくないものだと思います。

 

 ただ、趣味や娯楽のなかには、興味のない人からみると“面倒なこと”があると思います。

 冬のスポーツはその典型といえるかもしれません。わざわざ雪が降る寒い場所に行くことも、体力と時間を使うことも、“面倒なこと”だと感じる人もいると思います。

 でもスキーやスノーボードが好きな人は、何時間も車を運転して、遠くの寒い所に行くことも、“面倒なこと”という意識はあまり強くないような気がいます。

“面倒なこと”だとまったく思わないわけではないかもしれませんが、それほど苦にならない人もいると思います。

 

また、マラソンを趣味としている芸能人が、テレビ番組で話していた言葉が思い出されます。

『そんなに走るなんてすごいですね』とか『大変ですね』などといわれることが多いそうですが、その言葉に対して、『好きだから走っているんですよ。だから別にすごいわけではないし、大変でもないんですよ』と答えるという趣旨の話をしていたと思います。

それを聞いて、“走ることが好きだなんて信じられない”と思う人もいるかもしれません。“疲れるだけじゃん。なにが楽しいの?”という人もいると思います。

しかし“疲れることも楽しみの一つさ”という人もいると思います。

 

本を読むことも人によっては“面倒なこと”ではないかと思います。 

本と言ってもいろいろありますが、“本を読む”という行為は多くの場合、ある程度の時間がかかると思います。また多くの文章を読んで、内容を理解するには頭を使うものだと思います。

それはまさに冒頭にあげた“面倒なこと”だという気がします。

ただ、興味がない人にとっては“面倒なこと”でも、好きな人にとっては“楽しいこと”だと思います。

 

個人的に、“本を読むこと”は好きです。僕が読むのは小説ばかりですし、驚かれるほど多くの本を読んでいるわけではありません。また置く場所に困るほど多くの本を持っているわけではありませんが、それでも本を読むことは好きです。

その理由を考えるといろいろなことがあげられます。

その一つに達成感のような感覚があります。

 

 本を読むということは、時間を要することが多いと思います。また、頭を使うことが多いと思います。そして、なんとなく知的な行為だという印象があると思います。

“面倒なこと”そして“知的な行為”そのようなことをやることは、なんとなく自意識をくすぐられるものだと思います。

 一冊の本を読み切るということは、“面倒なこと”や“知的な行為”をやり通したというような感覚が得られると思います。

 その感覚は、心地よいものです。その心地よさを感じることも、読書の楽しみの一つだという気がします。

 

 一冊を読み終わったときに達成感を得るということは、途中で進度を感じることも楽しみになり得ると思います。

 読みかけの本にしおりを挟めて閉じたとき、どの程度まで読み進めたのか目で見ることが出来ます。大体何割くらい読み進めているのか視覚で感じられるのです。

 厚い本を読んでいるときは、本を閉じるたびに着実に読み進んでいることが見て取られ、その都度、少しだけいい気分になります。

 

 また本を読んでいる最中にも、進み具合を感じているものだと思います。

 本を読むとき、多くの場合、何かしら本に手で触れているものだと思います。机に本を置いて手でページを抑えていたり、手で本を持ったりして読んでいるということです。

 その手が、読み終わったページの厚みと、残っているそれを感じとっているものだと思います。

 手の感覚で、読書の進度を感じているということです。着実に読み進んでいることを手で感じ取り、すこしいい気持になっているような気がします。

 そんな感覚が得られることも、読書の楽しみのひとつだと思います。

 

僕は電子書籍を利用したことがありませんので、あくまでも先入観によるのですが、上に書いたような楽しみは紙の本ならではのような気がします。

電子書籍にも様々な利点があると思いますし、これから僕も利用することがあるかもしれません。

ただ電子書籍に利点があるように、紙の本にもそれがあると思います。

それは、どちらにも、それぞれの魅力があるといえるような気がします。

魅力があるということは、“価値がある”ということでもあるような気がします。

ただ資本主義経済では、たとえ価値があっても、それが小さいと見なされると存在するのが難しいものだと思います。

それがすこし残念だと感じることがあります。