2014年3月28日金曜日

人類初の調味料


味覚は多くの生き物に備わっている感覚だと思います。

 少しまえに“味”について書きました。ゴキブリが甘味に引き寄せられなくなっているという話題を取り上げたのです。

 その話題を耳にしたとき、ゴキブリも味覚があるということに、改めて気づいたように感じました。

 考えてみれば、ゴキブリが甘味を好むことはそれほど意外ではないのですが、今まで特に考えることがなかったような気がします。

 そのため、『ゴキブリも味覚があって、しかも好き嫌いがあるんだな』と感じたのです。

 詳しいことは忘れてしまいましたが、ゴキブリは触覚で味を感知しているようです。

 

 昆虫も味覚を持っているのだと考えていると、ミツバチも花の蜜の味を感じ取っているのではないかということが浮かんできました。

ただ昆虫も味を感じると思うと、当たり前だと思いながらも、少し意外な気がします。

 人間の味覚は感情に繋がりやすい感覚だからかもしれません。“美味しい”とか“まずい”とか“好きな味”とか“嫌いな味”というのは、感情といえるような気がします。

 そして、人間は“甘い”とか“辛い”を感知すると、すぐに“美味しい”とか“まずい”という感情を抱くような気がします。

 そう考えると、味覚は感情と直結している感覚といえるかもしれません。

 

 人間の感情に直結した感覚が、昆虫にもあると聞いたため少し意外に感じたのではないかと思います。

視覚や嗅覚は、昆虫や魚類、爬虫類、哺乳類あらゆる生き物に備わっていると聞きます。味覚もその一つなのかもしれません。

“美味しい”とか“まずい”とか“好き”とか“嫌い”などと感じる前に、生き物として生き延びていくために必要な感覚なのかもしれません。

 

 考えてみれば、味覚は栄養摂取とつながっている感覚だという気がします。

 多くの生き物は、栄養を取り入れなければ生きていけないと思います。そして多くの生き物は、食べることで生きるための栄養素を取り入れていると思います。

 味覚は、生きるために必要な栄養素を判断する感覚といえるかもしれません。

 また毒を食べてしまっては生きていけません。そのため味覚は、食べてはいけないものを判断するための感覚でもあるのかもしれません。

 そう考えると、味覚は生物にとって非常に重要な感覚といえるような気がします。

 

 人間も例外ではないような気がします。味覚は本来、生物として生き延びていくため、人間に備わっている感覚だったと思います。

 それが次第に“美味しい”と“好き”などの感情を呼び起こすことを重要視するようになったのかもしれません。

 詳しい知識はありませんが、僕の知る範囲では、食べ物に自分で味をつけるのは人間だけだと思います。

 味覚が生物と生きていくために判断する感覚だとすれば、味はそのままでなければならないと思います。

 味を変えてしまったのでは、それが必要な栄養素を含んでいるのか、毒になる成分がないか、味覚で判断することはやりにくくなると思います。

 

 それでも人間は食べ物に味をつけるようになったのだと思います。

 それは味をつけて“美味しい”と感じることで、より多くの食べ物を摂取したくなるためかもしれません。つまり味付けすることで、食べたいという意欲を強めたということです。

 それならば、味付けも“生き物として生きるため”の行為といえるかもしれません。

 しかしそれよりも、味をつけることで“美味しい”という心地よい感情を抱いたことが大きいような気がします。

人間は、その心地よい感情を求めるようになったような気がします。

 

 人間の知能が発達することで、生き物として生き延びていけるようになってきたためかもしれません。

生きていくために味覚を使う必要性が低くなったということです。

それで人間は味覚を、感情を満足させることに振り向けるようになったのかもしれません。

 

人類はいつごろから、自ら味付けするようになったのかわかりませんが、こうして考えていると、ヒトという生物にとって随分大きな出来事だったような気がします。

人類が初めて作った調味料は酢だと聞いたことがあります。酒など発酵させる技術を得たことで、酢をつくり、それを調味料として使っていたようです。

そのように人間の手によって調味料を作り出すまえに、自然界に存在するもので味付けしていたのだろうと聞きます。

そうなるとそれは塩だと考えられているようです。

 

塩や酢を得ることで、人類は“味覚”という感覚の使いかたが変わりはじめたのかもしれません。

ただ、塩や酢は食べ物の保存に効果的だと聞きます。またどちらも、殺菌効果があるものです。

人類はじめての調味料は、生き物として生きていくためにも、役立ったのかもしれません。