2014年6月8日日曜日

ルーク・スカイウォーカーとシッド・ハレー

 映画「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」で、主人公のルーク・スカイウォーカーが、ダースベーダ―のライトセイバーによって手首を切断される場面があります。
 初めてあの場面を見たときには、『主人公がこんなにひどくやれるなんて。これからどうなるんだろう』という思いが湧きました。
 その後ルークには機械の手が付けられます。本人の手と同じように動かすことが出来、また見た目も人間の手そのものでした。
『SF映画なんだから、これくらいの技術はあるんだよな』
 なんとなくほっとした覚えがあります。
                                                                                                  
 少し前に、思い通りに動かすことが出来る義手が開発されたという話題を目にしました。
 その義手は、筋肉を動かすときに発生する微弱な電気信号をとらえて、モーターを動かす仕組みのようです。
 しかも触覚センサーが取り付けられているので、“つかんだ”と感じることも出来るようです。

 インターネットでその義手について検索してみました。そして三つのサイトを開いてみると、どのサイトにも動画がありました。
 生卵を割らずにパックからつまみあげ、隣のパックに移している様子を撮ったものです。
 また動画はなかったのですが、ペットボトルの水を飲んでいたり、ブドウの一粒やコインをつまんでいたりする写真が掲載されているサイトもありました。
 
 一つのサイトには、冒頭に書いた「スター・ウォーズ」にちなんで、この義手は「ルーク」と呼ばれているとあります。
 そのサイトは、インターネットで報じられた記事の見出しや、本文の一部を転載しているようです。
そのなかに、鍵を差し込み回す動作や、ジッパーを開閉すること、髪の毛をとかすことなどは、今までの義手では、それを使っている人の9割が出来なかったとあります。

また「ロボット義手」という言葉をつかっているサイトもありました。
 この義手はアメリカの企業が開発したもので、同国の食料医療品局の承認を取得したそうです。それは神経に連動する義手では初めてのことだと書かれています。
 このサイトではその承認がどういうものなのか、神経連動型でない義肢に承認されているものがあるのかなどわかりません。
ただこの義手は、将来性があり革新的であると判断されたという印象を受けました。

それらのサイトをみていると、「利腕」という小説を思い出します。
元騎手であるディック・フランシスのミステリーです。彼はその経験を生かして、競馬に関連する推理小説を数多く発表したのですが、冒険小説やハードボイルドな趣がある作品が多いようです。
僕は今までに三作品を読んでいて、「利腕」はその一つです。
ただ随分若いころに読んだ小説ですので、勘違いや記憶違いがあるかもしれません。しかし借りて読んだので、いま本は手元にありません。そこで今回は読み返さずに、記憶だけに頼って書きます。

この作品の主人公であるシッド・ハレーが使っている義手は、筋肉の微弱電気信号を捉えてモーターを動かすものだったと思います。
ただ動かすには“コツ”というか“勘”というか“動かし方”があるようで、思うように動かずに苦労する場面が描かれていたような気がします。
また、作中ではラジオに例えていたと思いますが、ある程度高額な電気製品と同じくらいの値段がするようです。

随分前に読んだ小説ですが、モーターを内蔵し、筋肉の電気信号を捉えて動かす義手が描かれています。
数日前に話題になった義手と似ているような気がします。
そこでインターネットで検索すると「筋電義手」という言葉が目に入りました。その言葉で検索して、二つのサイトを見てみました。
その一つに、日本ではあまり普及していないとあります。交付金や労災に制約があり金銭的な負担が大きいことが一因のようです。
別のサイトを見ると、筋電義手は重く、見た目が義手だとすぐわかるようですし、モーター音などから目立ってしまうことなども、普及していない理由にあげられています。
ただ大分前から筋電義手はあるようです。

今回話題になっている義手は、かねてからある筋電義手の違いはなんだろうという疑問が湧きました。
そこであらためてサイトをみると、今までは電気信号をとられて動かす仕組みやバッテリーなどがかさばるだめ、義手のなかに収めることが難しかったようです。
また思い起こしてみると、シッド・ハレーの義手には接触センサーはなかったような気がします。
 それがついていることや、義手の中に機構が収まっていることや、既存の筋電義手よりも複雑な動きが出来ることなどが、新しく開発された義手の評価される点なのかもしれません。

 その義手の開発は、国防に関する機関から多額の資金援助を受けているようです。
 ロボットに関する技術には、世界中で多くの企業が関心を示していると聞きます。あらゆる分野において将来性があると目されているのだと思います。

 もっとも力とお金を注いでいるのは軍かもしれません。