2014年7月18日金曜日

危険な時期


『内戦の責任を過剰に押し付けようとしている』

 かつて東側といわれていた大国のリーダーが、そのような趣旨の発言をしていると聞きます。

 もっともな言い分に聞こえます。確かにその通りだと感じます。

 

『事態の沈静化に対して積極性が欠ける』

 かつて西側といわれていた大国のリーダーが、そのような趣旨の発言をしていると聞きます。

 もっともな言い分に聞こえます。確かにその通りだと感じます。

 

 元東側の大国は、何か月か前から、半島がある国に関して「内戦」という言い方をしていたと思います。

その時点で、大国に親しい武装勢力が、大国では手におえなくなっていたのだと思います。

 つまり武装勢力は、大国では抑えることは出来ない状況になっているということだと思います。

武装勢力の主張としては“親大国”であるものの、その大国による戦闘行為への関与は小さかったのだと思います。

だから大国のリーダーは、武力衝突は半島がある国の“内戦”だと訴えていたのだと思います。

 

つまり武装勢力は大国が停戦を勧めても、もはやそれに従う集団ではなくなっていたということだと思います。

 それなのに、まるで大国が戦闘をけしかけているように言われたのでは、心外であり、反撥するだろうと思います。

『大国がなんとかしろ。大国の責任において、親しい武装勢力に停戦させろ』

『もう、こっちの言うことを聞かねえんだ。やめろつってもやめねえんだから、仕方ねえだろ。なんでもかんでもこっちのせいにして、叩く口実にしやがって』

 

『過剰に責任を押し付けられている』

大国がそういうのも無理はないと感じます。

 しかしそういう状況になる前に、大国は親しい武装勢力の後ろで何かと手を貸していたように見られます。

 それ以前に、半島で起きた混乱に対する大国の対応は、歴史的大失敗だったと思います。政治的戦略性からみれば、静観していることが最も益があったと思います。

何もしなければ、批判されることもなく、商売の損失も少なく、また何もしなくても味方を得られたと思います。

それなのに、感情に流された判断で軍を動かしたことで、引っ込みがつかなくなり、収まりがつかなくなったと感じます。

 

そして大国はさらなる大失敗を重ねたように見られます。

それは大国に親しい武装勢力を抑える時機をのがしたことです。

戦闘行為が激化すると、戦っている者たちは止まらなくなることが、往々にしてあると思います。

そうなる前に抑えなければならないと思います。

“今、大国によって武装勢力を宥めて、戦闘行為をやめさせなればならない。このタイミングを逃すと、武装勢力は大国の手におえなくなる”

 そんな時期があったと思います。

 大国はそれを逃がしたと思います。その責任は重いと思います。

 

『大国はこの事態を収束させるために、もっと積極的に関与するべきだ』

そう言われても仕方ないと思います。実際にそうしなければならないと思います。

 元西側と対立が深まったため、他の国と結びつきを強めようとしているように見られます。

 ただ今の世界は、広く繋がることが利益になり、対立は損失を生むだけだと思います。

 かつてのように、世界を二つに分けるような対立構造にはなりにくいと思います。

 もう“西側”と“東側”という概念など、完全に捨て去る時だと思います。

 今、東アジアで国と国がいがみ合っていることで、お互いにどれほど多くの損をしているか、その国の人間はわかっていないと感じます。

 

 それなのに現代は、対立が激化する傾向が強まっているような気がします。

 情報技術の進化もあって、大衆の影響力が大きくなっていることが一因だと思います。

 元東側の大国のリーダーも、元西側の大国のリーダーも、半島がある国のリーダーも、大衆から発せられる声を意識していると感じます。

意識せざるを得ないと感じます。

 

しかし現代は、多くの人が気づかないうちに、大衆の危険度が高まっているような気がします。

『あくまでも強く出るべきだ。一切妥協するべきではない。こちらが全面的に正義だ。やつらが全面的に悪だ。歩み寄るだと? なに弱腰なこと言ってんだ。停戦すべきだと? 腰抜けめ。徹底抗戦するって? そうだ。やれやれ。あくまでも強硬姿勢にでるって? いいぞ、いいそ、よっ大統領』

 

 そんな大衆の声に押されて、争いを激化させても、それぞれの国にとっても、世界全体にとってもいいことはないと思います。

 現状がそうだと思います。早い段階で大衆に媚びていなかったら、状況は大きく違っていた可能性があると思います。

 

 そして今、大衆に媚びずに事態を収めなければならない時期にあると思います。

 大きなことが起きたので、大衆の強硬志向は強まると思います。

 だからこそ、ここで抑えられなければ、事態が一気に悲惨な方に向かう可能性があると思います。

 大きなことがきっかけになり、状況が急激に動くかもしれません。

 それは間違いなく悪い方向に動くと思います。

 半島がある国も、元東側の大国も、元西側の大国も、もと西側の連合も、このタイミングで大衆の強硬志向に媚びてはならないと思います。