2014年7月24日木曜日

権力者の憂鬱


江戸時代の徳川将軍は、絶大な権力をもっていたと思います。

僕は歴史が嫌いではないのですが、あまり詳しい知識はありません。そのため理解不足や、認識不足や、勘違いや間違いがあるかもしれませんが、江戸時代は将軍という一人の人物が、非常に強い権力を有していたと思うのです。

そしてそれは、江戸幕府のはじまりから最後まで続いたような気がします。

 江戸時代、将軍は“絶対的権力者”という印象があります。

 

 しかし将軍が、すべて権限を実質的に有していたかというと、そうではないような気がします。

 何から何まで将軍が決めていたというわけではないと思うのです。形式はそうなっていたとしても、事柄によっては別の人物が実質的権限を持っていたような気がします。

ただ実質的に持っていた権限の多さは、将軍個人によって違っていたような気がします。

まつりごとに強い関心を持っていた将軍もいたと思いますし、そうとはいえない人物もいたと思いますし、一つの事柄にはこだわりながらも、別の件では他者にまかせっきりだった将軍もいたと思います。

 

 それにしても、権力者が、実質的に、絶対的な権限をもっているとは限らないと思います。

そして、“権力の強さ”と“権限の多さ”に差があるのは、世襲による権力者に見られる傾向だと思います。

“絶対的権力者”は、存在すること自体が、統治に役立てられている側面があると思います。

江戸時代の場合、徳川将軍が君臨していることそのものが、国を治めるうえで重要だったと感じられるのです。

 

“絶対的権力者”を君臨させる場合、世襲されていくことで、国民に“決まっていること”であり、“逆らえることではない”という観念をあたえやすいと思います。

その観念は、将軍の権威を強めることに繋がると思います。

しかし世襲では、必ずしも有為な人物が権力者になるとは限らないと思います。

そうなると、強い権力を持ちながら、実質的な権限はあまりもっていないこともあると思います。

 

ただ、権力者が君臨していることを統治に利用しているのですから、国民にも他国にも“お飾り”に見えることは、出来るだけ避けたほうがいいと思います。

“絶対的権力者”は“絶対的な権限の所持者”ではない、それが実態だとしても、国民や外国には権力者がすべての権限を有しているように見せようとするものだと思います。

また権力者を祀り上げるには、当人にも“お飾り”だと感じさせないほうが、やりやすいと思います。

“絶対的権力者”には、自分が“絶対的な権限の所持者”であると思い込ませておくということです。

 色々な形があると思いますが、実質的な権限の多くを側近がもっている場合があると思います。

 

 そのような体制では、“絶対的権力者”の下で、権力争いがあるものだと思います。“絶対的権力者”が君臨していることを統治に役立てているのですから、権力を欲する者は、権力者を倒すのではなく、そのふところで権力を得ようとするものだと思います。

 つまり側近が争うということです。

ただ、どの側近が争いに勝っても、“絶対的権力者”を君臨させ、それが“絶対的な権限の所持者”であるように見せるものだと思います。

 

 側近同士が争っているときは、外から見ると“ちぐはぐ”なことをしているようにみえると思います。

 側近が実質的な権限を持っていて、それが争っているのですから、側近の意見が分かれている場合、それが表れると思います。

側近の権力闘争が終わると、方向性が定まることがあると思います。強硬志向の強い人物が権力闘争に勝ったのなら、何をするにしてのそれが根底にあると思います。

 

 では権力者が世襲ではない場合について考えてみます。

 権力者は、その座につくために争わなければならないと思います。

 権力者は、権力をめぐって争いをしなければならないと思います。

権力者は、自分に反する者が力をつけることを防がなければならないと思います。

権力者は、闘争相手を蹴落とそうとすることもあると思います。

権力者は、その座を奪おうとするものに対して、謀ることもあると思います。

 

そのようなことをするには、他者から協力を得る場合もあると思います。

そうなると、権力者の味方には、絶対服従している手下ばかりではないこともあると思います。

権力者にとって今は味方でも、決して従順ではない人物もいるということです。権力者になるには、そういう人物と繋がりを持つことが必要だと思います。

世界中から非難されるようなことした勢力の中に、そんな“味方”がいる場合もあると思います。

権力者は世界的に非難されても、そんな“味方”を離すわけにはいかない場合もあると思います。

そんな“味方”は、絶対服従している手下ではないので、切り捨てることなど出来ない場合もあると思います。

それが権力者を追い込むことになる場合もあると思います。

権力者には、なだめて引かせることが出来る時機があったかもしれません。それを逃がしたことが、これから重くのしかかってくるかもしれません。権力を失うきっかけになるかもしれません。