2014年8月11日月曜日

みんながやっているから


 日本人は人の目を気にする傾向が強いなどと耳にします。

 確かに日本人によく見られる心理だと感じます。ただそれは、善し悪しで語ることではないと思います。

 人の目を気にすることは、悪い形で表れることもあれば、良いこととなる場合もあると思います。

 

“他人からどう見られているかを意識して行動した”

誰もがそのようなことに、心当たりがあると思います。

はっきりと意識していなかったとしても、どこかに『自分が他人からどう見られるか』という思いがあった、ということも誰にでも少なからずあるだろうと思います。

 

 他人の目を強く意識している時もあれば、少しだけ気にしている場合もあると思います。

 またその意識を自覚していることもあれば、自分では気づいていないときもあると思います。

 そして、その意識を他者が感じ取ることもあれば、他者が勝手に思い込んでいるときもあると思います。

『人から良く見られようとして必死になってんじゃん。なんか嫌じゃね』

 

『善行のように見せかけているが、実は悪行である』とか『他者に対する思いやりだと見せかけているが、実は自分の利益を得るために行っている』

そのようなことは、偽善だといわれます。

『結局、自己満足でしょ』とか『自分はいい人だって思われたいだけでしょ』などと感じても、偽善だという人もいると思います。

ただその場合、事象だけを見れば、善いことが行われたと思います。

 

自己満足を得ることや、他者からいい人だと思わることが目的だったとしでも、事が善行ならば御の字だという気がします。

他者の目を気にしてやったのだとしても、善行が増えれば社会はよくなると思います。

 

『他者から良く思われたい』それは『褒められたい』という心理に繋がるような気がします。

 日本人は、他者から褒められたり、讃えられたりすると、その点をさらに伸ばそうとする傾向があると感じます。

「日本は治安がいい」と、褒められ、讃えられることで、それを維持しようという意識が強まっていると感じることがあります。

 褒められ、讃えられることは、非常に心地よく、誇らしく感じられることが理由の一つだと思います。

 そして治安の良さが維持されると、それは社会全体にとって、また日本国にとって、とても“いいこと”だと思います。

 

 ただ他人の目を気にするということは、誰も見ていなければ、不道徳な行いも抵抗を感じないということになるような気がします。

 また、多くの他人の目があったとしても、自分以外の大勢が同じことをやっていれば、罪悪感を持たずに、よくないことを行う傾向があると思います。

 それに、多くの他人の目があったとしても、自分が誰なのか特定されない状況では、倫理に背く行為を軽く感じやすいと思います。

 

サッカーワールドカップの会場で、日本人観客は観戦後、ごみを拾っていたことが報じられました。世界から褒められ、讃えられたと耳にします。

それによって、この取り組みは広がりを見せることもあると思います。日本人は国内であれ国外であれ、サッカーを観戦した後は、ごみを拾うということが、これからもずっと続けられるかもしれません。

 

ただ先日インターネットで、「花火大会の後、会場はごみだらけ。ごみを拾うのはワールドカップだけ」という内容の記事を読みました。

画像や映像がありませんでしたので、ごみがどれくらい多かったのかわかりません。

しかし、ひと気のなくなった花火会場に、大量のごみが残されている光景は、容易に思い浮かびます。

 

 そしてそこから連想したのは、道の駅のごみ箱です。僕が時々、利用する道の駅のごみ箱は、いつもあふれているのです。

 その道の駅は、観光客も運送業者も多くが利用しているように見えます。立地のためだと思います。

 ただ、早朝に寄っても、午後に利用しても、いつもごみ箱は満杯になっているような気がします。

 

先日その道の駅のごみ箱に、同じ弁当の空箱が大量に押し込まれていました。それでも収まり切らなかったようで、ごみ箱のとなりには、その弁当の空箱を詰めこんだ段ボール箱が置かれていました。

旅行会社なのか、個人なのかはわかりませんが、団体の観光客が捨てていったのは一目瞭然でした。

観光地のごみは持ち帰るのかもしれません。

しかし、自宅まで持ってかえる人は少ないと感じます。

道の駅で休憩を取る度に、車内のごみをかき集めて捨てていく人もいると思います。

そういえばその道の駅には、有名な山に近かったと思います。そこを登山する人も利用するかもしれません。

『山にごみは捨てません。必ず持ちかえります』

自宅まで持ち帰るとは言っていないのかもしれません。

 

『昨年の花火大会は、ごみだらけでしたが、今年はほとんどありません。こんなにきれいです。やっぱり日本人のマナーは世界一です』

『昨年まで、道の駅のごみ箱はあふれていました。それが今年は、ここの売店で売られているものの空き缶や、空き箱以外は捨てられていません。観光地や道中で出たごみは、みんな自宅まで持ち帰り、分別して捨てているのです。すばらしいことです。他の国では、ありえません。日本人の道徳心と公共心は世界一です』