2014年8月16日土曜日

いまのうちにやれるだけやっておけ

「もうその手は通用しないぞ」
 そのようなことはよくあることです。

 カラスが農作物を食い荒らさないように、案山子を立てると一定期間は効果があるものです。しかしいずれカラスは、案山子は立っているだけで、自分たちの食事を邪魔するものではないことに気づくものです。
 そこで人間は、カラスが嫌うという、大きな目のような模様がある風船を配置します。
 カラスは警戒して寄ってこなくなりますが、その効果も一時的なものです。

 カラスはとても利口だといわれています。ただカラスに限らず、人間はあらゆる動物とイタチごっこを続けていきたと聞きます。
 近年は農作物の動物対策だけでなく、人間の生活圏に野生動物が来るようになり、何かと困ったことが起きているようです。
 
 そのように動物に対する事柄だけでなく、人間対人間でも何度も同じ手が通用するものではないと思います。
 将棋やチェスには、様々な戦法や戦略があると聞きます。その中には、人によって得意な“手”があるようです。
 またスポーツ競技でも、試合では様々な“”を繰り出すものだと思います。
 経済活動においても、他社と競合していることは多々あるものです。
どちらの会社も、色々な戦略や戦法をつかって、ライバル社に勝とうとすると思います。

しかし有効な“手”も、何度も使っていると、いずれ通じなくなるものだと思います。
戦争や武力衝突においても、そのようなことは多いと感じます。
だからこそ、通用するうちに、やれるだけやっておこうと考えることがあると思います。
「いずれ対抗措置を打ってくるはずだ。今のうちに叩けるだけ叩いておけ」
 
 戦闘行為において、目標を絞り込み、それを的確にとらえるには、離れているほど難しいものだと思います。
 周囲を破壊せず、狙った相手だけを破壊するには、近づくほうが確実だと思うのです。
 しかし敵に近づくほど、危険度が増すと思います。
 
近年、航空機による爆撃の精度が高くなっていると聞きます。正確に狙った目標を攻撃することが出来るようです。
そうなると、目標を設定することが重要になってきます。
精度が高いがゆえに、目標自体が間違っていたのでは、敵に打撃を与えることは出来ないと思います。
 それどころか、偽りの情報によって敵の策にはめられることもあると思います。武装勢力を狙ったのに、そこに民間人がいたなどということです。

 今は情報を得られ、的確な空爆が出来ているように見られます。もうしばらくはその状況を維持できるだろうと思います。
 ただ相手側も、いつまでも黙ってやられているわけにはいきませんので、何かしら対抗手段を講じるものだと思います。
 時に単純で原始的なやり方で対抗することもあると思います。ただそういうやり方が有効な場合もあるものだと思います。
 そうなると、空爆が効果をあげられているうちに、やれるだけやっておきたいという考えが浮かぶものだと思います。

 しかし状況はあまりにも混沌としていると思います。もはや「泥沼」と言っても過言ではないような印象があります。
“敵の敵は味方である”
 しかし国境を超えると、“敵の敵”と“敵の敵”が敵対しているような状況になっているように見えます。
 
 テロリストを殲滅することは、非常に難しいものだと思います。大きなテロ組織は、多方面から人が集まっており、全員を殺害することなど、ほぼ不可能だと思います。
 それに国境を跨いで戦闘行為をしているテロリストは、一つの国で大国から激しい空爆を受けて大きな打撃を受けると、戦闘力を隣の国にそそぐかもしれません。
 その国で独裁者とテロリストが戦闘をしているので、大国はどちらかを叩くわけにはいかないと思います。

 テロリストを叩けば独裁者が力を強めますし、独裁者をつぶせばテロリストが台頭すると思います。
 仮に双方を壊滅させることが出来たとしても、その後にその国を統治する勢力がないのでは、別の戦闘が起こるだけだと思います。
 後釜を狙う勢力同士の戦闘がおこるかもしれません。また、ここぞとばかりに別のテロリストが流入してくるかもしれません。
 争いの構図はより複雑になると思います。
 それは戦闘が長期化する原因になるものだと思います。そしてまた多くの血が流れると思います。

 大国がテロリストを殲滅することは、現実的に不可能に近いと思います。
また大国が本格的に軍事介入しても、現実的に利点がないと思います。周辺の国に敵味方が入り乱れていて、だれもが『どうすればいいかわからない。だが絶対に引かない』と考えているように見えます。

それは、大国が深入り出来る状況ではないと思います。現状では必要最小限の攻撃を、適時行うしか、やりようがないと思います。