2014年8月8日金曜日

袋小路の大国


今、世界中の大衆が、強硬志向を強めていると感じます。

他の国の大衆が強硬になっていることは、はっきりと見て取れるものだと思います。そしてそれが、その国にとってマイナスになっていることも、良く見えるものだと思います。

しかし自国をみると、それが見えないものだと思います。大衆は、自分たちはあくまでも正しく、正しいのだから強く主張し、正しいのだから強い行動に出るのだ、と考えているように見られます。

それは世界各国で見られる傾向だと思います。

 

今の世界は、膨大な情報が飛び交い、誰もが気軽に情報を発信することが出来ると思います。

そうなると主張は多様性を帯びるのではないか、かつてそう考えたものです。しかし実際は、そうなりにくいと感じます。

色々な意見が飛び交うのではなく、ひとつの考え方に集中しやすいと感じるのです。それが、あまりにも短時間で広がると感じます。そのため、多くの人は自分で意見を構築しなくなっていると感じます。

 

自分で考えるのではなく、インターネットで他人の考えを取り込むばかりになっているように見えることがあります。

それによって自分なりに意見を組み立てる能力が落ちているような気がします。能力が落ちることと、多くの情報が飛び交っていることで、さらに自分で考えることをしなくなっているような気がします。

そして誰もがそれを自覚していないと思います。

人は自分の頭で、自分なりに考えることをしなくなり、インターネットで見つけた考えに賛同するか、反撥するかのどちらかになっていると感じます。

 

また、インターネットは自我を強めさせる傾向があると思います。パソコンやスマートフォンの画面は、人間を自分一人の空間に囲う性質があるような気がします。

人はその自分一人の空間のなかで、画面の中の大勢と接していると感じます。それは自我を強めさせるような気がします。誰もが自我を守ろうとしていると感じます。

自我を守るためには、素早く敵を認識しなければならず、敵と認識したら徹底的に攻撃しなければならない、自覚せずにそういう意識を強めているように感じます。

それが、あらゆることに対して過剰に反応させているように見られます。

 

政治家は大衆に媚びるものだと思います。大衆に強硬志向が強まるなら、政治家は強硬的な姿勢をとるものだと思います。

そうしなければ統治が難しくなりますし、政治家ではいられなくなると思います。

ただ、政治家も大衆の一人である場合も少なくないと感じます。

政治家も、大衆と同じように強硬志向を強めているということです。

 

軍事兵器で民間の航空機を撃ち落としたのですから、非難されて当たり前だと思います。この件では、どう考えても大国が引かなければ収まりがつかないと思います。どの国も、大国を味方することなど出来ないと思います。

しかし大国の大衆も、“現在の世界の大衆”の例にもれず、自己正当性と強硬志向を強めていると感じます。政治家やマスコミも大衆の一人であり、強硬的主張を強めさせていると見られます。

大国の大衆は引くことを是としないように感じます。

 

また、大国に親しい武力勢力は、統率がとれておらず、また兵器の扱い方も満足に調練されていないという声を聞きます。

それに勝手に「共和国」を名のっているものの、実態はほど遠く、統治能力など皆無だという声も耳にします。

練度が低く、統率のとれていない荒くれ者の集まりは、もはや大国では手におえないという声もあるようです。

そして大国の国内にも手におえない者がいるのだと思います。

 

大国に制裁を課しても、いいことはなかったと思います。

しかし仮に制裁を課せられなかったとしても、大国は事態を収めることが出来なかったと思います。

この事態を収めるには、大国が引かなければならないと思います。しかし、大国の大衆も国内にいる手におえない者もそれを許さないと思います。

結局、大国は事態を収めるために、なにも出来ない状況だと思います。

他の国からは“大国はなにもしてない”と見えると思います。

それどころか強硬姿勢を強めていると見えたので、さらに制裁を強めたのだと思います。大衆が、それを求めたのだと思います。

 

大国は制裁を強められても、何もできないと思います。大衆と国内にいる手におえない者が強硬的であるかぎり、大国は引くわけにいかないからです。

引くどころか黙って制裁を受けているわけにもいかず、対抗措置をとるしかない状況に見えます。

そんな状況では、これからも大国が引くことは出来ないと思います。

しかしこの件では、大国が引かずに事態を収束する手立てなど、なにもないと思います。

 

そう考えると、今の大国は袋小路にあると感じます。

そこから抜け出すには、国内にいる手におえない者に気取られぬように、大衆の強硬的志向を静めることから始めなければならないような気がします。

それ自体非常に難しいと思いますが、大国が引く姿勢を示せば、仲裁役をかってでる国もあるかもしれません。
 今の状況では、どの国も味方になれないし、仲裁のしようがないと思います。