2014年8月21日木曜日

予想、警戒、空振り、慣れ

 経験したことがなく、事前に予測することも難しい。そんな事態に直面することがあると思います。
 自然災害はその一つだと思います。
 
今の技術では、地震を高い精度で予測することは出来ないようです。数年前から緊急地震速報という取り組みが行われていますが、まだまだ精度が高いとはいえないと感じます。
この取り組みが始まった当初は話題になりましたし、気にかけていた人も少なくなかったという印象があります。
それが次第に慣れてきて、緊急地震速報を見聞きしても、あまり重く受け止めない人もいるのではないかと思います。

 甚大な被害をもたらす大地震の予測は、科学的・技術的に難しいと聞きます。
 そして、大地震の予測を公表することは、社会的に難しいことだと思います。
 個人が研究を基にして大地震を予想し、インターネットなどで広く発信することがあるかもしれません。
 しかしそれは、公的な機関から発せられる予想とは、社会的な影響が大きく違っていると思います。

 公的な機関が大地震を予想し、国民に警戒を呼びかけたなら、それだけでも非常に大きな影響があると思います。
 パニックに近い状況も起こり得ると思います。官も民もあらゆる活動をとめなければならないと思います。

 大地震があると公的機関が公表し警戒を呼び掛けると、その地域の鉄道を運行することは出来ないと思います。
もし鉄道を動かし、実際に大地震が起きて人的被害があったら、鉄道会社は大きな責任を負うことも考えられます。
そうなると、“念のため”警戒が呼びかけられているよりも広い範囲で、早い時点から、運休することになると思います。

また病院や高齢者施設では、患者や入居者を別の地域に移動させなければならないと思います。
そのような対応をとらず大地震が起き、もし犠牲者がでたら、病院や施設は責任を問われかねないと思います。
そしてやはり“念のため”警戒が呼びかけられた地域からは外れている病院や施設の中にも、患者を移動したり、避難したりするところがあると思います。
しかし、多くの病院や施設から、人を移動させるとなると、受け入れ先をみつけることも、搬送する手立てを見つけることも、相当に難しいと思います。

学校については、すべて休校になると思います。避難所として必要なものを運び込み、準備しておく必要があると思います。
それ以前に、大地震が起きたときに、学校に生徒・児童がいて、もし人的被害があった場合、責任を追及されることもあり得ると思います。
大地震が起きた時の生徒・児童に対する責任を負わないために、“念のため”警戒が呼びかけられている地域の外にある学校でも、休校にするところがあると思います。
それに子供を疎開させる親も少なくないと思います。
ただ公共交通機関が止まっているため、自家用車で移動するしかないと思います。

しかしその地域の高速道は全線閉鎖されると思います。大地震によって高架が落ちたり、道路が陥没したりして事故が発生した場合、責任を問われかねないと思います。
“念のため”に、警戒が呼びかけられている地域より、少し広い範囲が通行止めにすると思います。
また、民間の運送業も地震に巻きこまれることを避けるため、警戒が呼びかけられている地域へ行くことを避けると思います。
 地震が発生する前から、物資が不足し、大渋滞が起きると思います。
 それでは、あらゆる経済活動が行われなくなると思います。

 商品がなければ商売は出来ませんし、原材料が届かなければ工場は生産することが出来ませんし、人が動かなければ交渉や契約は出来ないと思います。
 また、大地震が予測されているにも関わらず営業している事業所があり、もし地震によって人的被害があったら、その会社や経営者が責任を追及されることもあると思います。
警戒が呼びかけられている地域から外れていても、“念のため”休業する事業所もあると思いま。
それに警戒地域から外れていても、取引先がその範囲内にあるために、業務が滞り、休業を余儀なくされる会社もあると思います。

 そんな大混乱の中、大地震が起きてしまうこともあり得ると思います。
 早めに警戒を呼びかけたとしても、あまりにも混乱が大きくなり、それが収まらないうちに大地震が起こるということです。
 そうなると、政府に対する批判は大きいと思います。またあらゆる官民の機関や施設の責任が追及されることもあると思います。
 
 また、もし大地震が起きなかったら、あるいは地震があったものの、「大地震」や「巨大地震」ではなかったら、公的機関に対する非難は非常に大きくなると思います。
あらゆる機関や施設に対して、損害賠償請求が行われることもあると思います。
“念のため”に備えるように警戒を呼びかけたものの、社会生活が麻痺するような状況になったのでは、その地域のみならず、国の損失も大きいと思います。

 大地震の予測を公的に公表するには、数週間から数か月前という、対策を講じる十分な時間をもって行わなければならないと思います。
 また“ほぼ間違いなく大地震がおこる”という100%に近い確率の予想でなければならないと思います。