2014年9月29日月曜日

都市を消し去るほどの力と速さ

“わずか一昼夜で、一つの都市が完全に消滅した”
 こうして書くと、SF小説に一節のようです。そんなことが現実に起こり得るとは考えにくいと思います。
 しかしかつて実際に起こったことだと考えられています。
 イタリアの古代都市ポンペイです。
 
ポンペイの街から数キロの位置にビスビオ火山があります。その噴火により大量の火山灰がポンペイに降り注ぎ、都市は一夜にして壊滅状態になったといわれています。
そして火砕流が発生し、あったという間に街を飲み込んだそうです。
火砕流の速度は時速100kmほどだったと聞きます。
その速さでは、ポンペイで暮らしていた多くの人は、なすすべがなかったのではないかと思います。
 そしてポンペイの街は、完全に埋まってしまったそうです。
 
 それから1000年以上という長い年月の後に、ポンペイは発掘されました。
 発掘の際、地面に複雑な形状の空洞が、いくつも見つかったそうです。
 そこでその空洞に石膏を流し込み、固まったあと周囲の土を取り除くと、そこには人間の体の形があったといわれています。
 
 つまり人間が埋まっていたということです。一瞬にして火砕流に飲み込まれた人たちです。
その遺体は長い年月によって自然分解されたため、人間の形の空洞が出来たようです。
体は完全に朽ち果てたものの、その形だけは千数百年後まで残ったといえるかもしれません
その人の形から、本当に短い時間で町全体が飲み込まれたことが窺えます。
それに、まさになすすべがなかった様子が見て取れます。
火山という自然災害の圧倒的な破壊力やその怖さが発散されているような気がします。
破壊力が強いというだけでも恐怖ですが、それを防ぐすべがないことが怖さを何倍にも増幅していると感じられます。

この世界には、あらゆる自然災害が起こり得ると思います。
そして実際に人類は多くの自然災害に見舞われてきただろうと思います。
それにしても、都市が一つ消えてなくなるような災害はそう多くはないような気がします。
火山による災害は、そのようなことが起こり得るのだと思います。

一昨日、御嶽山が噴火し、人的被害が出ています。
多くの登山者がいたことからも、予測できない噴火だったのだろうと思います。
登山者は、予測しておらず経験したこともない事態に直面したのだと思います。
自然災害とは、多くの場合そうだと思いますが、登山をしている最中にその山が噴火したとなると、とるべき行動も、とられる行動も限られると思います。
危険が迫っていると感じながら、出来ることが限られている状況は、言いようのない恐怖に襲われることもあると思います。

多くの自然災害は予測が難しいものだと思います。
現在、台風や大雨はある程度予測が出来ていると思います。それによって被害を未然に防げたことも多いと思います。
台風や大雨の予想は、多くの人が感じている以上に、その被害を少なくすることに役立っているのかもしれません。
そのようなことは、なかなか気づかないものだと思います。

ただ予想はあくまでも予想であり、絶対に当たるとは言えないと思います。
また、予想の範囲は広くならざるを得ないと思います。局地的な気象状況を予想することは難しいと思います。
しかし局地的な気象状況によって、災害がおこることもあると思います。竜巻などは、その典型といえるかもしれません。

そして、雨が降ることは予想できても、それがどんな影響を及ぼし、どんな災害に結びつくのか、実際に起こってみるまで思いもしないこともあると思います。
過去に大雨で氾濫したことがある川なら、警戒することも出来ると思います。事前に非難することも出来ると思います。
しかし、かつて大雨が降ったときにはなにも異常がなかった斜面が、崩れることもあると思います。
局地的な大雨の降り方や、降った場所の違いなどによって、災害の起きる場所や、有様が違ってくることがあると思います。

ただそれにしても、日常の生活圏で起こる災害に対しては、物質的な備えも、心構えも、ある程度はしておけるような気がします。
近年、自然災害が増えていると感じている人も多いのではないかと思います。備えや心構えをしている人も、かつてより増えているのではないかと思います。
しかし登山をしている最中、災害に見舞われることに備えや心構えをしている人は少ないと思います。
ましてや、いざという時の行動が限られると思います。

現在、御嶽山噴火の対策に関わっている人は、色々と大変だと思います。救助活動をされている方は、とても苦労されていると思います。

被害にあわれた方が、長い間、埋まったままにならないように努力されていることと思います。