2014年9月4日木曜日

磁気テープの逆襲

 僕は音楽にはあまり関心がないのですが、今までの人生を振り返ると、音楽をよく聴いている時期が何度かあります。
ただ最近はあまり音楽を聴いていません。まったく耳にしないというわけではないのですが、生活に音楽が不可欠だとは感じていないような気がします。

そんななか、日常的に音楽を聴いている人はうつ病になりにくいという話を聞きました。
あまり詳しいことはわかりませんが、音楽は精神や心理に影響を与えるのだと思います。
また、人は悩みを抱えている時に音楽を聴きたくなるようです。
そのため思春期に音楽を聴く人が多いそうです。それが大人になるにつれて、悩みを解決するなり、耐えてやり過ごすなりする術を身に着けるため、音楽に頼らなくなるようです。

言われてみると、思い当たるふしがあります。
高校生のころは毎日、音楽を聴いていた覚えがあります。当時は空前の洋楽ブームでした。
僕ははじめあまり興味がなかったのですが、洋楽好きな友人が何人かいましたので、その影響を受けて聴くようになりました。

思い起こしてみると、僕も友人たちも思春期でしたので、悩みも多かったような気がします。
ただ悩んでいたときだけ音楽を聴いたわけでなかったと思います。嬉しいことがあった時にも聴いていましたし、音楽を聴くことそれ自体を楽しんでいたと思います。
 多感な時期は、心が音楽を求めるのかもしれません。

 その洋楽ブームが落ち着いてきたころ、日本のバンドブームが起きたように思います。
 流行っていたため、自分から積極的に音楽を聴こうとはしなくもて、耳に入ってきていたような覚えがあります。
 そのように聴くともなしに音楽が耳に入ってくることも、精神に“いい効果”をもたらすようです。
 
 僕はバンドブームが始まったことにはあまり興味がなかったのですが、少しずつ積極的に聴くようになりました。
 そして音楽を聴くようになると、また洋楽に関心を持つようになったのです。
 何か一つのことに凝ることを「マイブーム」という言葉で表すことがありますが、僕にとってあのころは「第二次洋楽マイブーム」といった感があります。

 あのころはよくCDを買いました。少し前に書きましたが、邦楽よりも洋楽のほうが多かったと思います。
 そしてほぼ毎日、音楽を聴いていたような気がします。
 今思うと、あの時の心が音楽を求めていたのかもしれません。
 悩んでいたという記憶はありませんが、感性が刺激されるような出来事が多かったのかもしれません。

 その第二次洋楽マイブームも、次第に静まっていきました。
 そして、ほとんど音楽を聴かない時期に入っていたと感じます。音楽が嫌いなわけではないのですが、生活のなかに音楽がなくても一向に差支えないと感じていたように思います。
 あのことはもう十分に大人でしたので、悩みなどを自分で処理することが出来るようになっていたため、音楽に頼ろうとしなかったのかもしれません。

 ただその数年後、また音楽を聴く時期がありました。今から数年前ですが、若いころ録音したカセットテープを聴いていたのです。
 僕はデジタル音楽機器を持っていません。またCDプレーヤーが壊れたままになっているためです。
パソコンを使ってCDを聴くこともあったのですが、カセットテープのほうが多かったと思います。
手軽だと感じましたし、CDよりカセットテープのほうが、ずっと本数が多いのです。

 まだCDが世に広まる前、レコードをカセットテープに録音していました。
 貸しレコードの場合、返却しなければなりませんので、カセットテープに録音して楽しんでいたのです。
また自分で買ったレコードも、大抵はカセットテープに録音していたものです。レコードは丁寧に扱わないと傷がついてしまうことがあります。また振動で針が飛ぶときもありますので、レコードを購入して手元にあったとしても、普段はそれを録音したカセットテープを聴くようにしていました。
多くの人がそうしていたのではないかと思います。
音楽がなくても、生きていけるような気がするのです。

 また僕は、第二次洋楽マイブームの時に買ったCDもカセットテープに録音していました。
 車にオーディオの類がついていないため、携行型のカセットプレーヤーを車内に持ち込み、それで音楽を聴いていたからです。
 そのため、レコードよりも、CDよりも、カセットテープのほうがずっと多く持っているのです。

 最近、デジタルデータ保存に磁気テープが使われることが増えているそうです。
 磁気テープの性能が格段に向上したことが大きな要因のようです。
 そう言えば、音楽用のカセットテープが今でも売られていると聞いたことがあります。
 カセットテープは、すっかり時代遅れの感がありますが、売っているということは、今でも購入する人がいるのだろうと思います。

 買う人がいるということは、その人にとってカセットテープには何かしら利点があるのだろうと思います。