2014年9月9日火曜日

円環を破壊する者

自然界には、非常によく出来た法則があると感じます。
食物連鎖もその一つだと思います。
捕食される生き物は、それでも種を残していけるだけの個体数を生み出すものだと思います。
肉食動物は命が果てた時、自然分解されることで、ごく小さな生き物を生み出し、また他の生物に栄養を与えるのだと思います。
文字どおり連鎖し、円環の構造になるような気がします。

その仕組みや法則はよく出来ていますが、絶対的とはいえないと感じます。
仕組みや法則は無限にあり、それが相互に関わり合い、絡み合っているような気がします。
人間では全てを認識することなど出来ないほど、この世界は複雑な構造をしていると思います。
食物連鎖の法則も、絶対にゆるぎなくあり続けることはないと思います。

自然界のいくつかの法則の影響を受け、生き物が十分な個体数が生まれないこともあると思います。そして種が絶滅してしまうこともあると思います。
そして、その生き物を食べていた動物が激減することもあると思います。
それもまた自然の法則の一つといえるかもしれません。
おそらく人類が地球に現れる前から、色々な生き物が滅んでいったと思います。

世界には、現在も狩猟と採集によって食べ物を得ている人たちがいると聞きます。そのなかに、決して乱獲をしないというルールを決め、それを守っている人たちもいるようです。
必要以上に採ってしまうと、後で食べるものがなくなってしまいます。
また採りつくしてしまっては、その場所にもう生えていこないかもしれません。
動物や植物がかわいそうだという意識もあるのかもしれませんが、それよりも自分たちが食べる物を、少しでも安定して確保するための知恵の一つだと思います。
自分たちが生きていくためのルールだということです。

ただ人類は、“文明”を得た後、いくつかの種を乱獲によって絶滅させたといいます。
リョコウバトはその一つです。数十億羽という個戴数が生息していたにも関わらず、人間の手によって絶滅したそうです。
19世紀後半から激減し、20世紀初め地球上からリョコウバトがいなくなったと聞きます。
リョコウバトを食べなければ、人間が生きていけなかったわけではないと思います。それでも人間はリョコウバトを採りつづけ、そのあげくに滅ぼしてしまったのだと思います。

そのリョコウバトをよみがえらせる研究が行われるそうです。遺伝子を調べ、似ている現在生息しているハトを使うことで、復活させることが考えられているようです。
そのように遺伝子によって、絶滅した生物を復活させる計画は、時々見聞きします。 

ふと思い出したことがあります。
少し前に書いたのですが、遺伝子を操作して蚊を絶滅させる研究が行われているということです。

かつて人類は、狩猟や採集によってのみ、食べる物を得ることが出来たと思います。
それから農耕を始めるようになったのだと思います。そこには『自分たちが食べるものを自分たちで作ろう』という発想があったのではないかと思います。
そうすれば、自然にあるものと採ってくるより、安定して食べものを得られるだろうと思います。
やがてその発想は、動物や魚類も対象になったように見られます。
畜産や養殖も“食べるために生き物を育てる”のだと思います。

 この先、その発想はより強く意識する必要があるのかもしれません。
 人口の増加、気象の変動など、地球規模で食糧不足が起こる可能性が指摘されています。
 人類が農耕を始めたように、食べるために動物や植物を人間の手で生産することが求められるかもしれません。

 気象の変動を受けないように、食べるための植物は工場で生産することが増えるかもしれません。
 あるいは遺伝子を操作して、気象が変動しても露地栽培できる作物を作り出すかもしれません。

 魚介類は、現在でも自然に存在しているものを捕獲することが多いと思います。
 養殖されている魚も多いようですが、そのなかには稚魚を自然界から捕獲しているものをあると聞きます。
 そのような魚は完全養殖が難しいと聞きます。
 しかし絶滅が危惧されるため、完全養殖の研究が進められているそうです。

 いつか人間は遺伝子を操作して、完全養殖しやすい魚を作り出すかもしれません。
 味は変わらないものの、ほとんど泳がないため、室内プールで養殖できるマグロや、味はクジラと同じものの体長が30センチほどしかないため、室内ブールで養殖できる食専用クジラなどが、遺伝子操作によって作り出されるかもしれません。

 そのような取り組みによって、人類は安定して食料を手に入れられるかもしれません。
 発想は農耕を始めた時と、変わらないのかもしれません。

 ただこの世界には、実際に起きてみるまで、『まさかこんなことが起こるなんて思っても見なかった』ということがあるものだと思います。

 数十億羽もいるリョコウバトが、まさか絶滅するなんて思ってもみなかったのかもしれません。