2014年9月3日水曜日

何のために何をやるか

 物事には色々と理由があるものだと思います。それを見極めることが出来ないと、一生懸命やっていることが逆効果になることもあると思います。

「領土が狭く、資源に乏しい日本が、その知的水準の高さを今後も保ちつづけるために、新聞を中心とする文字文化への格段の配慮は国家戦略そのものと考えます」
 日本新聞販売協会は、このような理由で新聞を軽減税率の対象にすることを求めているようです。
“衆参両院議員先生”と、“日本の指導的立場におられる各位”が、複数税率を実現することを願っているそうです。

僕個人も、国として活字文化を維持することは、国にとっても国民にとっても“いいこと”だと思います。
ただ消費税の軽減税率は、国にとっても国民にとっても“よくないこと”だと思います。

軽減税率を導入する理由は、消費税の逆進性をやわらげることと、国民の税負担感を軽くすることだと思います。
そのために生活必需品の税率を低くするという考え方だと思います。
そこで“なにを生活必需品とするか”、ということで、意見が分かれるのだと思います。

日本新聞販売協会は、軽減税率の対象品目の選び方は国家戦略だという考えのようです。
すでに軽減税率を導入している国を見ると、特定の業界を優遇するために、消費税の税率を低くしていると見られるそうです。
優遇する特定の業界の選び方が、国の戦略だということです。

確かにそういう一面はあると思います。
ただそうなると、あらゆる業界が優遇されることを求めると思います。
そしてそうなると“生活必需品の税率を低くする”という軽減税率の本来の理念は、建て前に過ぎないということになると思います。
逆進性をやわらげることや、税負担感を軽くするためではなく、自分たちの業界が優遇されるため、ということです。
それが現実だと思います。

だから軽減税率は、国にとっても国民にとっても“よくない税制度”だと思うのです。
しかし軽減税率は、一度導入すると廃止することが難しいと思います。
すでに導入している国は、国のためにも国民のためにもならない制度を、慣例的に続けているように見えます。
日本がそうならないためには、ここで食い止めるべきだと思います。

 文字文化の維持を、国として取り組むことは必要だと思います。
 軽減税率という制度ありきで考えると、新聞や書籍を対象にすることが、その取り組みのひとつだという考え方も出来ると思います。
しかし軽減税率は、制度そのものについては一切論じられないまま法律が決まったように見えます。導入した場合の問題点が取り上げられただけだと思います。
 特定の業界や大先生さまの思惑が働いたのかもしれません。なんであれ、論じられずに決まった法律など変えるべきだと思います。

 文字文化を保つには、必ずしも紙媒体を必要としないと思います。
 パソコンでも文字や文章によって表現することは出来ます。紙よりもパソコンを使う人は増えいくと思います。
 しかし個人的に、紙媒体による文字文化、つまり活字文化を残していくことは、国と国民のためになると思います。

 活字文化を維持するには、紙媒体の利点に目を向けるべきだと思います。
 形あるものとして存在すること。他の機器やそれを動かす電力を必要としないこと。残こそうと思えば、長く残すことが出来ること。情緒的であることなどが紙媒体の利点だと思います。
 書籍、雑誌、パンフレット、カタログ、新聞、紙媒体にもいろいろあります。
人によって愛着の強さや感じ方が違うと思いますが、読まれる期間が短いほど、上に書いた利点が小さくなるような気がします。

 報道は早く広く伝えることが求められると思います。そのため紙媒体のなかでも、新聞は読まれる期間が短いものだと思います。
 そうなると新聞は、上に書いた紙媒体の利点が小さいと思います。
 新聞を活字文化の一つとして残していくには、紙媒体の利点をいかにして新聞に取り込むか考える必要があると思います。
 それともに、紙媒体の利点を広く知らしめることも必要だと思います。

 新聞の購読者が減っているのは、人口減少など様々な理由があると思います。
 ただやはり、インターネットの普及は大きいと思います。
 他のメディアが増えたのですから、新聞の利用者が減るのは仕方ないことだと思います。
ただ積極的に選択肢から除外する人もいると思います。

 他のメディが少ない昔でしたら、多少反感を覚えたとしても、結局、新聞を読んでいた人が多かったと思います。 
 新聞社も『なんだかんだいっても、購読者は減らないじゃないか』と高を括っていた感があります。
 しかし現在、その驕りは新聞の購読者が減っている理由の一つだと感じます。

 また新聞は自分たちが世論を主導できるという観念をもっており、それに反撥して購読をやめる人もいると思います。 
 仮に軽減税率が導入され、新聞に適用されれば、その時の購読者の減少を抑えることが出来ると思います。
 
しかしそれが購読者を減らす理由になることもあるような気がします。
『軽減税率は新聞業界のエゴだ。新聞は、さも軽減税率の導入が国民のためになるように書いているが、みんな自分たちのためじゃないか。もう新聞を取るのを、やめてしまおう。ネットがあるから、別に困らないし』

 理由を冷静に見極めることが出来ないと、逆効果になることに懸命になることがあると思います。