2014年10月12日日曜日

実体なきものに頼ると

 予測が難しいということは、それ自体、危険度が高いといえるような気がします。
危険度が高いということは、それ自体、不利な要素になるような気がします。
今の世界経済はとても予測が難しいと思います。
 一昔前と比べて、難しさの度合いは格段に高まっていると感じます。
 それは危険度が、格段に高まっているといえるかもしれません。
 
 予測が難しくなった要因の一つに、金融システムに依存しすぎていることがあげられるような気がします。
今の世界経済は“金融至上主義”といえるような状況になっていると感じることがあります。

経済における金融の仕組みは、随分昔からあったと思います。
それが情報伝達技術の急速な発展に伴うように、金融の仕組みも急速に先鋭化してきた感があります。
情報伝達技術は、金融市場を大きく変えたと感じるのです。
情報技術の進歩によって金融市場は、短時間で大きな金額を動かすようになったと感じます。
また、多くの人を金融の仕組みに取り込むことにもなったと見られます。
多くの人が取引に加わることで、動く金額がさらに大きくなり、金額を動かす時間はさらに短くなったと感じます。

動く金額が大きくなり、関わる人が多くなることで、金融が経済に与える影響が急速に大きくなったような気がします。
あまりにも急速であるがゆえに、人間の感覚が追いついていないような感があります。
“金融こそが経済である”
 そんな観念を持っている人が少なくないような気がします。
 ただ口に出す人はそう多くないような気がします。それは当たり前のことと認識しているからかもしれません。

また、実体経済が世界中で繋がっていることが、金融経済にも大きな影響を及ぼしていると感じます。
“安いものなら外国からどんどん買ってくる”
“売れるものなら外国にどんどん売る”
“とにかく外国に売らなければ、国の経済は成長しない”
“とにかく外国に売りこまなければならない”
 多くの国にそのような意識があり、それが実践されていると感じます。

それが間違いだとは思わないのですが、何事も広げることには“不安定さ”という危うさが潜んでいると感じます。
多くの国が繋がっていることで、個々の国で起こる様々な事柄が、世界経済全体に影響を及ぼすようになっていると感じます。
また世界という広さで繋がっているということは、利害の繋がり方が複雑ということでもあると思います。
そうなると、色々な国で起きたことが世界の経済にどのような影響をもたらすのか、予想することが難しいことになっていると感じます。

実体経済の影響も予想が難しいと思いますが、金融市場となるとさらに難易度が高くなるような気がします。
金融市場は実体経済の影響を増幅させることがあると感じます。
今の経済は、あらゆる事柄から受ける影響が大きく、しかもその予測が非常に難しいような気がします。

金融が短時間で大きく動くということは、大きく落ち込むことは常にあり得ると思います。
それは危険性の一つといえるような気がします。
しかし、大きく伸びることも常にあり得ると思います。それはとても“オイシイ”と感じられると思います。人々はそれに味を占めていると感じます。
その“うまみ”を得ることに、心血を注いでいる人も少なくないような気がします。
危険性が高く、それがデメリットであるという認識は、端からとても薄いように感じられます。

“まずは企業を儲からせる。そうすればいずれ給料が上がり、景気がよくなる”
リーマンショック前、日本の経済政策はそのような考え方を土台にしていると思います。
そのため、企業は大いに儲かったように見られます。
しかし、給料は下がるばかりだったような気がします。
そのため、企業は大いに潤っているものの、国民の多くは不景気の真っ只中だと感じていたような気がします。
その最中にリーマンショックが起きたため、日本経済は深く長い不況に陥ったと感じます。

今の首相の名をもじった経済政策も、“まずは企業を儲からせる。そうすればいずれ給料が上がり、景気がよくなる”という考え方を土台にしていると思います。
今回は、金融の仕組みを駆使して株価を上げ、企業を喜ばせて給料をあげさせる、そんなやり方といえるような気がします。
リーマンショック前は給料が上がらなかったことから、今回は政治家が多少強引に賃金を上げさせた感があります。

ただ金融の仕組みを使って物価も上げています。金融は狙い通りの幅で動くわけではないと思います。
現状では、多少給料があがっても、物価の上がり方に、追いつけないように見られます。
ただ考えてみれば、土台になっている考え方がリーマンショック前と同じなのですから、同じような現象になるのは当然といえるかもしれません。

むしろ金融の仕組みに頼っていることで、危うさが増しているという気がします。