2014年10月19日日曜日

新聞業界優遇税

“新聞はすばらしいものだ。役立つものだ。必要なものだ。だからこれからもずっと供給され続けるべきだ”
それは消費税に軽減税率を導入する根拠としては、とても弱いと思います。
 新聞を軽減税率の対象とする根拠としても、決して強いとはいえないと思います。
 
“新聞が売れなくなっている。売れなくなったら、新聞を供給することが出来なくなってしまう。つまり新聞が社会からなくなってしまう”
 軽減税率はその対策として、あまり有効ではないと思います。
 何事も、原因に対して働きかけなければ有効な対策とは言えないと思います。
 売れなくなっていることに対処するには、売れなくなっている原因に対して働きかけなければならないと思います。

 この国では多くの人が、必要なものはお金を払って買っています。
 何に対していくらのお金を払うか、それは人それぞれだと思います。
 欲しいものには、高くてもいとわない人もいると思います。
消耗品など毎日使うものは、安いにこしたことはないという人も多いと思います。
 それでも、ただ単に一番安いものを買う人ばかりではないと思います。
 歯ブラシやシャンプー、トイレットペーパーなど、毎回同じものを買っている人もいると思います。
値段が安いという理由だけで選んでいるわけではない人も少なくないと思います。
 消耗品であっても値段が高いものを買っている人もいると思います。
 その人にとっては、高い値段を払う価値があるからだと思います。

 新聞を“もの”としてみると、毎日消費しているといえるかもしれません。
 そうなるとやはり、安いに越したことはないと考える人も多いだろうと思います。
 そうなると値段が高くなることは、売れなくなる理由の一つだと思います。
 ただそれは、“新聞にはその値段を支払って手にする価値がない”多くの人がそう判断したということでもあると思います。

 増税によって、それに気づく人もいるかもしれません。
『お金を払ってまで、新聞をとらなくてもいいや』
 増税を機に購読をやめる人がいるかもしれないということです。
 新聞に軽減税率が適用されれば、そういう人を少しでも減らせるかもしれません。
 
 しかしそれは、購読者の減少を食い止めることにはならないと思います。
 一時的な減少を抑制することは出来るかもしれません。
 しかしそれだけだと思います。
軽減税率が導入され、新聞に適用されても、新聞の発行部数は下がり続ける可能性が高いと思います。
購読者が減少している本質的な理由に対処しているわけではないと思います。

インターネット、スマートフォンなどの急速な普及は、新聞が売れなくなる大きな要因だと思います。
情報を無料で、早く、手軽に手に入れられるからだと思います。
本当は無料ではないと思います。スマートフォンやパソコンを購入しなければなりませんし、毎月通信費用を支払っています。
しかしそれは、ニュースや情報を得るためだけのお金ではありません。
せっかく通信料を支払っているのだから、報道を知ることにも活用しよう、それは当たり前の考え方だという気がします。
『ネットでこと足りるから、新聞なんていらないや』

新聞の売り上げを落とさないためには、新聞にしかない価値を多くの人が感じ取らなければならないと思います。
“新聞はお金を払って買う価値があるものだ”
そう思われなければならないと思います。
ただそれが自画自賛の押し付けになったのでは反感を買い、逆効果になると思います。
インターネットは、その“逆効果”を相当に高めることがあると思います。

それにしても、人口減少や世帯数の減少という、新聞が売れなくなる大きな理由に対しては、新聞だけで手におえることではないと思います。
言論機関ですから、言論で訴えることは出来ると思いますが、どの程度効果があるのか、わかりません。それほど高くはないような気がします。

そう考えると、新聞の発行部数の減少は避けられないと思います。
資本主義経済の下では、売れる数が減ったものを売り続けていくには、値段を上げなければならない場合が多いと思います。
つまりこれから先、新聞を供給し続けていくには、価格が上がることは宿命だといえるような気がします。

そうなると、誰かがお金を負担しなければ、いずれ新聞はなくなる、それが宿命だということになると思います。
では誰が、そのお金を負担するのか、それを考えなければならないと思います。
軽減税率は、ほんの一時だけ売り上げの減少を抑える効果しかないと思います。
継続して新聞を供給し続ける、継続してお金が必要だと思います。

現実的に考えれば、そのお金を負担するのは二者しかないと思います。
国民全体か、新聞の購入者か、だと思います。

新聞が供給され続けることが、国や国民全体にとって必要であると、多くの人が理解したなら、国費つまり税金をそのお金として使うことも出来得ると思います。
 
それが出来なければ、つまり国民から税金を使う理解が得られなければ、新聞を必要としている人がお金を負担するしかないと思います。
つまり新聞購読者ということです。高い値段で売り、高い値段で買う、そうしなければならないということです。
 
 その二通りのどちらか、あるいは両方が出来なければ、軽減税率の対象になろうがなるまいが、新聞はそう遠くない将来になくなると思います。
“新聞を維持していくには、どうすればいいのか”

新聞業界は、言論機関として、報道機関として、人間として、真摯に向き合うべきだと思います。