2014年10月16日木曜日

主張を主導するもの

 大雑把な言い方をすれば性格や感情ということになりますが、人間性は思考を主導しているような気がします。
 また、人間関係や利害関係などの社会性も、個人の物事の考え方を引っ張っているような気がします。

個人の性格、腹立たしさや悔しさなど強い感情、それが思考に方向を与えることが多いと感じるのです。
また、誰とどのように付き合っているのか、誰とどのように繋がっているのか、どんな集団に加わっていて、どんな組織を構成しているのか、それらも意見や主張を導いていることがあるような気がします
それに、自分にとって何が得になるのか、どうすれば自分の利益になるのか、それらが意見や主張の基になっていると思います。

“自分の利害が、主張や意見の基になっている”
“自分が属する組織や勤める企業の利害が、意見や主張の基になっている”
自覚していないこともあると思いますが、自分でもわかっている場合が多いような気がします。
“自分の性格が、意見や主張に強く反映している”
自覚していない人が多いような気がしますが、本当はわかっているものの、それを打ち消すような考え方をしていることもあると思います。
“自分の感情から、意見や主張を発した”
 自覚していることあれば、自覚していないときもあると思います。ただ本当はわかっているものの、それを打ち消すような考え方をしていることもあると思います。

僕自身、自分の意見が絶対に正しいと、傲慢になったり、うぬぼれたりしないように心掛けているのですが、なかなかそうはいかないものだと感じています。
頭では、色々な意見を聞いて、それを冷静に検討しているつもりでも、やはりどうしても人間性や社会性に引かれていると感じます。
そしてそんな持論に固執していると感じます。
こうして書くと自覚しているかのようですが、実際はその自覚の何倍、あるいは何十倍も、意見や主張に“個人の要素”が強く関わっているのだろうと思います。
 また持論に対して意固地になっているのだろうと思います。
自分は自分が思っている以上に、自分に甘いものだと思います。

ただそれは僕だけではないような気がします。マスコミや有識者の言動からも、感じられるときがあります。
8%に消費税の税率を上げた後の数字の落ち込みをみて、「10%への増税は先送りするべきだ」という声が強い時があった気がします。
それは数字や経済状況を鑑みた意見だと思いますが、個人的な印象では、腹立たしさ、悔しさ、対抗意識、そのような感情がその意見を主導していたようにも感じられました。

「増税は先送りするべき」「増税を実施するべき」、どちらにも“もっとも”な理由や分析や予測があると思います。後者には「増税せざるを得ない」という主張も含まれると思います。
“先送り”と“実施”のどちらにも“もっともな”理由や分析や予測があるのですから、それを秤にかけることになると思います。
 ただその秤は持論の方の皿に、人間性や社会性などのおもりが、常に乗っているものだと思います。
 
 先日インターネットで、消費税の増税に関して、とても冷静だと感じられる分析をしている記事を目にしました。
 その記事では、最後に「増税は先送りするべき」と主張していました。
 個人的に違和感がありました。
 分析内容はむしろ「増税を実施するべき」、あるいは「増税せざるを得ない」という主張の根拠としてそぐわしいと感じたのです。
 分析は冷静なのですが、主張は人間性や社会性に引っ張られているような印象を受けました。
 またあくまでも個人的な印象ですが、マスコミや有識者の「増税は先送りするべき」という意見は、以前より弱まっている感があります。
 
 今、この国には増税を受け入れる雰囲気がとても薄いと思います。
 そのような雰囲気で増税すると、落ち込みは大きいと思います。
「増税をせざるを得ない」だとしても、増税するならば、それを受け入れ、どう乗り切るか、どう対応するかという雰囲気があった方が、影響は小さくて済むような気がします。

経済の雰囲気を良くするには、掛け声だけでは難しいと思います。そうなるような手を打つ必要があると思います。
ただ、増税を受け止めよう、乗り切ろう、備えよう、そういう雰囲気つくりには、マスコミや有権者の掛け声でもある程度の効果があるような気がします。
その雰囲気つくりは、年末からはじめたのでは、遅いかもしれないような気がします。

マスコミや有識者のなかには、「増税を先送りしたほうがいい」と強く考えている人もいると思います。
ただ、一時そう主張したものの、今では「増税やむなし」と考えている人もいると思います。
後者のなかには、一度「先送りするべき」という論調で語っているため、「増税やむなし。出来るだけ早期に受け入れる雰囲気をつくるべし」とは“言えない”、または“言いにくい”、あるいは“言いたくない”、という人がいるのかもしれません。

それと、所属する組織や、勤めている会社や、付き合いのある人との関係から、「増税やむなし。出来るだけ早期に受け入れる雰囲気をつくるべし」とは“言えない”、または“言いにくい”、あるいは“言いたくない”、という人がいるのかもしれません。