2014年10月14日火曜日

雰囲気

今の日本経済に漂っている雰囲気は、あまりよくないと感じている人が多いような気がします。
多くの人が抱いている日本経済に対する印象は、一年前と比べると随分と変わっていると感じます。
ただあのころは、国民の中に『盛り上げよう』という意識があったように思います。自覚されないことも多いと思いますが、心の中で積極的にイメージを良くしていた人が多かったように感じます。

“いいイメージを持つように意識していた”そういう人もいたと思います。それで国全体の雰囲気が良くなれば、景気にいい影響を及ぼすものです。また、“いいイメージ”に浸っていると心地いいものです。
 しかし何事もイメージが先行すると、実態が追いつかなくなることがあると思います。夢から覚めるように、空気が冷えていくこともあると思います。
 
 いいイメージを維持していくこは難しいものだとおもいます。その難しいことをするのが、首相の名をもじった経済政策の要だったと思います。
 しかし首相は気をよくして、やりたいことを進めたように見られます。
それが経済対策から、国民と政治家とマスコミの意識を離れさせることになり、それが経済政策の“いいイメージ”を霧散させることに繋がった感があります。
 しかも、ここぞとばかりに急いで手を付けた”やりたいこと”のなかには、まとめられずにいることもあるように見えます。

現在の雰囲気で、消費税の税率が引き上げられたら、日本経済は非常に大きく落ち込む可能性が高いと思います。
 増税前の駆け込み需要さえあまり盛り上がらず、増税後の消費の落ち込みが相当に大きくなりそうな気がします。

 しかしここで先送りすると、このさき増税することが非常に難しくなると思います。今の日本の社会や政治や財政や経済を考えると、消費税の引き上げは、ここでやらなければ政治的にも経済的にも当分の間できないのではないかと思われます。
 そしてそれは、日本の外でも良く見えていると感じます。
 むしろ、日本の中いる人より良く見えていると感じます。
 それによって危機感を高めている人がいると感じます。

「今、日本が増税出来なければ、ずっと先まで増税できないだろう。しかしそれでは日本の財政が危機的状況に陥りかねない」
 日本国債の信用が大きく落ち込む可能性があると思います。
「しかも増税出来ないということは、日本の経済が思いのほか弱くなっていることを表している。首相は経済政策に失敗した」
 日本企業の株価が大きく落ち込む可能性があると思います。
「それは、日本経済を落ち込ませるだけでは済まないかもしれない」
 かつてほどではないにしても、依然日本の経済規模は大きいと思います。それが世界に与える影響もおのずと大きいと思います。
「世界的金融危機の引き鉄になるかもしれない」
そう懸念している人もいると感じます。
その懸念は強まっていると感じます。

「増税すれば日本の景気を冷え込ませるだろう。しかしそうしなければ世界的金融危機を起こしかねない」
「世界的金融危機がおこるくらいなら、日本に一人負けしてもらったほうが遙かに“まし”だ」
「そのほうが日本にとっても“まし”なはずだ。世界中を巻き込んでしまうより、少しは立ち直りやすいだろう」

今の日本に、消費税の税率引きあげを先送りする選択肢など、はじめからなかったと思います。
あるとすれば、リーマンショックのような世界的に大きな経済状況や、東日本大震災のような巨大災害があった場合のみだと思います。
端からないにも関わらず、“増税先送り”の選択肢を提示したことは、権力大好き人間による大失敗だったような気がします。

この大失敗が非常に大きく深刻なのは、増税に対応する雰囲気が作れないことにあると感じます。
『日本の消費税を上げることは避けられない』それは多くの人が認識していると思います。
 避けられないことであるならば、いかにして受け止めるということに意識を向けるべきだと思います。
 しかし、“増税先送り”の選択肢が提示されていることで、『今回は増税しないかもしれない』という思いがあると思います。
また『増税は先送りするべきだ』という考えも強くあると思います。
 そのため、増税に備える、増税に対応する、その意識が高まりにくいと感じます。

 増税前に、少しでも日本経済の雰囲気を良くする必要があると思います。そのためには、雰囲気がよくなるようなことをする必要があると思います。
 バブルが崩壊した直後も、リーマンショックが起こった時も、『雰囲気が悪くなり過ぎている』と感じらえました。
 しかし、なんとかして雰囲気を盛り上げようとしても、掛け声だけでは誰も乗ってこなかったような気がします。
 雰囲気を良くするには、そうなる事柄が必要だと思います。

 また、増税を乗り切る、増税を受け止める、そういう空気感を作る必要があると思います。
 それは早いに越したことはないと思います。

「私が決断しました」その後で、増税を受け止める空気を作ろうとしても間に合うだろうか、不安に感じます。