2014年10月4日土曜日

ロボット三原則第一条

人間の脳は高度で、複雑で、繊細なものだと思います。
 自動車事故が起きる瞬間、脳は様々な情報を瞬時に処理しているような気がします。
 しかし人間はそれを“思考”として認識していないと感じます。考えたことを言語に変換するには、数秒なり数十秒なり、いくらかの時間が必要だと思います。
 脳はその時間をかけずに、行動を起こすことがあると思うのです。

脳は情報を集め、それを基にして考え、判断し、行動する指令を全身に発しているような気がします。
それらを言語で言い表す時間をかけていないと感じることがあるのです。
ただ、得られた情報が少なすぎたり、葛藤がある状況だったりして、脳が判断することが出来ず、身体が動かす指令を伝えられないこともあるような気がします。
事故が起きる瞬間、体が硬直してしまうようなこともあると思います。

 それに人間の身体は、体調や環境などによって活動が違ってくると思います。脳もそうだと思います。
 脳が持っている能力を、高い次元で発揮することもあれば、疲労している時など、脳が活発に活動せずに、持っている能力を発揮しきれないこともあると思います。
 瞬時に判断しなければならないと認識していながら、それが出来ずに何も行動を起こせないこともあると思います。
 その反対に、得られる情報が少なくても、瞬時に判断し、体を動かす指令を発することもあると思います。
 
 どちらにせよ一瞬のことであり、判断までの思考経路を言語に変換して認識していないと思います。
 しかし後に振り返ってみて、脳が何を考え、どのような判断を下したのか、思い起こすことが出来ることもあるような気がします。
 ただそれも、自分が作り出した記憶である可能性もあると思います。
『あのとき、自分の脳は一瞬で考え、判断したのだろう』それ自体、後から記憶を作っている可能性もあると思います。
 そしてそれを自覚していないことが多いと思います。
 また、創作した記憶なのか、正しい記憶なのか、科学的に証明することは難しいと思います。

 実際に起きた交通事故で、脳がどのような情報を得ていて、どのような経路で思考し、どのように判断を下し、どの程度行動に反映されたのか、科学的に確かめることは相当に難しいと思います。
 ただ近い将来、その脳の働きを機械が代行するようになるかもしれません。
 自動運転車の開発が進んでいると聞きます。

自動運転車に組み込まれる高性能センサーやコンピューターは、人間の脳と違って機能や処理能力が詳しくわかっているものだと思います。
 それを駆使して、どのような判断を下すのか、は人間が設定することになると思います。

 人間ならば、考えている暇もなく、交通事故は起きてしまうことが多いと思います。 
 自動運転車は高性能なセンサーとコンピューターによって、事故が起きる瞬時に判断を下し、走行に反映させられるかもしれません。
 そうなると、自動運転車の搭乗者を守るか、歩行者を守るか、そんな状況でどのような判断を下すのか、人間が設定しなければならないような気がします。

 ところで少し前に、ロボットに関する実験について取り上げたことがあります。
 ロボットが、危機に陥った人間を救ってから、命ぜられた仕事をすることが出来るかという実験だったと思います。
 危険に直面する人間が一人だった場合、ロボットはその人を助けてから、仕事をこなしたそうです。
 しかし人間が二人になると、ロボットは正しい行動が出来なかったそうです。
 交通事故のように突発的に発生する事態に、機械が瞬時に判断を下し、行動することは、まだ難しいかもしれません。

 そうなると、事故が起きそうな瞬間に自動運転が解除され、人間の判断にゆだねられるようになるかもしれません。
 しかし事故が起きそうな瞬間に、人間に操作を任されたのでは『たまったものではない』と感じるような気がします。

ただ自動運転やロボットは、技術の進化の速度がとても速い分野だと思います。
上に書いたロボットの実験に関する記事では、軍事用に開発が進められているロボットは、倫理的な判断が出来るようになっているということが書いてあったと思います。
 確か病院や学校などを、ロボット兵士が認識できるということだったと思います。
 
『もし敵側の学校に、敵の兵士が潜伏し、迫撃砲でこちら側の病院を攻撃してきたら』
『敵側の学校にいる子供たちを犠牲にしなければ、迫撃砲の攻撃を止められない。それを止めなければ、こちら側の病院で多数の犠牲者がでる』
“そのような状況に直面した時、ロボット兵士はどのような判断を下すのだろうか”
 そうではなく、これは人間がつきつけられている問いだと思います。
“どのような判断を下すように、人間が設定するのだろうか”

 SF小説に描かれるロボット三原則の第一条は、「ロボットは人間を傷つけてはならない」です。
 現実では、世界最高水準のロボット技術が、人間を殺すために用いられようとしているようです。