2014年10月21日火曜日

意地を張り向きになる。多くの場合それは自分を苦しめる

  傲慢と硬直した思考は身を滅ぼすと思います。
 どちらも冷静な状況分析の妨げになると思うからです。
 冷静に状況を分析できないと、現状の認識にずれや間違いが生じると思います。
 それは自分を苦しめることになると思います。

 今の社会には、インターネットが非常に広く普及していると思います。
 また今の日本には、人口減少という難しい問題を抱えていると思います。
 世帯数も減少し、過疎化や高齢化が深刻になっている地域があると思います。

 他の国で軽減税率が導入された時、そのような問題は抱えていなかったと思います。
 つまり、今の日本とは社会が大きく違っていたと思います。
 今の日本とは大きく違った社会で考えられた軽減税率を、今の日本に導入しても国民のためにはならないと思います。
 新聞業界のためにもならないと思います。出版業界のためにもならないと思います。政治家のためにもならないと思います。

『消費税があがる前に、たっぷり買い込んでおいたから、しばらく買い物は少なくて済むよ』
 買い込んでいたものを使いきってしまえば、増税されていても買わざるを得ないと思います。
 増税前の駆け込み需要の反動は、必ずなくなるということです。
 そしてそれは、長い期間はかからないものだと思います。
 
 現在、増税による反動減は終わっていると思います。
『値段が高いから、買い物は控えよう』
 今の消費の冷え込みは、そういうものだと思います。
 消費税の増税は物価を上げる一因ですが、最近の物価上昇は主に円安など他の要因が大きいと思います。
 
日本は長い間、物価が下がり続けることで景気が落ち込んでいたと思います。いわゆるデフレ不況です。
その不況から脱するには、物価が上がらなければならないと思います。
物価があがることは、景気を回復させる要素のひとつといえるような気がします。

しかし物価が上がったのなら、給料も上がらなければ買い物を控える人が多くなると思います。
みんなが買い物をしなければ、景気はよくならないと思います。
給料が上がることは、景気を回復させる重要な要素だと思います。
今の日本はそれが出来ていないのだと思います。

『軽減税率は一種の経済対策の側面もある』
 公明党の山口那津男代表が、テレビ番組でそういう趣旨の発言をしたそうです。
 軽減税率は、増税の幅が小さくなるのですから、確かに消費の落ち込みを抑える効果があると思います。
 ただその効果は小さいと思います。
 
軽減税率は生活必需品が対象になるからです。
生活必需品は、税金がかかっているからといって買わないわけにはいかないとお思います。
それだけに増税前に買いだめされるのですが、それを使いきった後は、また買わなければならないと思います。
軽減税率が導入されても、されなくても、買わなければならないものは買われると思います。

軽減税率の是非については、今まで長く論じられてきたと思います。
個人的に、その間『一種の経済対策になる』という意見は見聞きしていません。それは効果がいかに小さいかを表しているような気がします。
それをここにきて持ちだしているとなると、『軽減税率は国民のためになる』それを論理的に主張できなくなっているからだとも感じられます。
つまり軽減税率に反対する意見に対して、論理的に反論できないということです。

また山口代表は、『低所得者対策は軽減税率しかない』とも言っているようです。
しかし軽減税率は、所得に応じた仕組みではないと思います。
逆進性もそうですが、納税者の所得差から生じる問題は、所得に応じた制度で対応するべきだと思います。
お金持ちも、貧しいひとも、同じものを買えば、同じ税金を納める軽減税率は、低所得者対策としては効果が低いと思います。

また山口代表は『軽減税率は国民の8割が賛成しているのだから、その声に応えるべきである』という趣旨の発言をしているそうです。
税金が軽くなるのですから、賛成か反対かと聞かれたら、国民の多くが賛成すると思います。
ただ消費税を軽くする分、他の税金を重くすることになります。
消費税は老若男女に関わらず、広く浅く税金を集める制度だと思います。それを軽くして、別の税を重くするということは、人によってはむしろ税負担が重くなると思います。
おそらく、現役世代の税負担が重くなると思います。

 国民の多くが賛成しているのは、そのようなことを知らなかったり、考えていなかったりしていることが理由の一つだと思います。
 そして知られたり考えられたりしないのは、そのようなことが語られてこなかったことが理由の一つだと思います。
 言論機関や政治家が語らないのだと思います。
 それは言論機関や政治家が、国民をたぶらかしているといえると思います。

 政治家や新聞業界が、このような反対意見をどこかで見聞きすると、意地になり向きになって、軽減税率を是が比でも導入させようと躍起になるような気がします。
 しかし反対意見に対して論理的に反論することは出来ず、反対意見などなかったかのように、ひたすら建て前を繰り返すしかないような気がします。
 
 何事も、意地になって向きになると、結局は自分を苦しめることが多いと思います。

 何事も、真摯に向き合ったほうが、自分にためになることが多いと思います。