2015年5月30日土曜日

手段が目的化すると

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2015年5月 30日「手段が目的化すると」

概要

 大阪市長は、『大阪都構想を実現する』という“目的”のために、住民投票という“手段”を使ったのだと思います。それが反対する人に『大阪都構想の実現を阻止する』ための手段になったのだと思います。
 しかし大阪都構想は本来“目的”ではなく“手段”だったと思います。二重行政を解消するための“手段”です。それがかなり早い段階から、大阪都構想は“目的”になっていた感があります。
あくまでも個人的な印象なのですが、二重行政を解消することが“目的”ならば、大阪都構想は有効な“手段”ではないような気がします。実行する以前に、実行するかどうかを決める段階で、時間や手間やお金を費やしたのですから、早い時点で別の手段を講じていたほうが、目的達成に対して戦略的だったと思います。
大阪府知事として強い発信力を発揮し、二重行政の無駄を全国的に知らしめることで、大阪市にも変革の必要性を感じさせ、一つ一つ取り組んでいったほうが効果的だったような感があります。
自治体の首長は大統領制と同じように選挙で選ばれます。そのためか、首長のなかには、他とはちょっと変わったことをしたがる心理が窺える人がいます。 
大阪都構想にも、そんな心理が関わっていると感じます。他の人がやらないこと、大胆なこと、それをやりたいという心理です。また大都市として、東京に張り合おういう心理もあるような気がします。
それに人間は反対されることで持論に固執する傾向があると思います。大阪都構想も打ち出して早々から、多くの反対意見があったと思います。それに反撥し『何としても実現させる』と、よく言えば意気込み、悪く言えばムキなったような印象があります。しかし、そのようなことは自覚できないことも多いと思います。
 ただ大阪市民の多くは、何となくそれを感じ取っていたような気がします。