2015年5月9日土曜日

世論調査が与えた議席

エムズ日記は電子書籍で販売しています。
全文はそちらで。


2015年5月 9日「世論調査が与えた議席」


概要
 今回の英国の選挙では、世論調査が間違っていたわけでないと思います。選挙前に世論調査の結果が報じられ、その影響などが論じられたことで、有権者――とりわけ誰に投票するか決めかねていた有権者――の意識が変わったのだと思います。それによって選挙結果が、世論調査とは違うものになったのだと思うのです。
 選挙前の世論調査では、史上まれに見る激戦だという結果が報じられ、保守党と労働党の二大政党のどちらも過半数を獲得することが出来ず、宙吊り議会なるだろうと論じられていました。そしてスコットランド民族党が第3勢力になることは確実視されていました。それらは連立の枠組みによる政治混乱を予感させたと思います。実際、そうなるのではないかという趣旨の論説が多かったようです。
多くの有権者には、これからの英国には難題が山積していているという認識があったと感じます。それが与党を決める段階で政争が起こるようでは、それらの問題を捌いていくことは出来ないのではないか、また回復してきた経済も、政治の混乱によって停滞するのではないか、そのような漠とした不安を感じたのではないかと思います。そこで有権者の心理は、安定した政権を望んだのではないかと思います。
またイングランドに暮らす人たちのなかには、スコットランドが独立すると、経済的な損失が小さくないと考えている人が少なくないと聞きます。スコットランド民族党が躍進し、労働党との連立政権となると、政権内と議会で何かともめるのではないかという印象を抱いた有権者が少なくなかったのではないかと思います。
そのようなことから、保守党が単独で過半数の議席を確保することが、今回の選挙では最も安定した政権になるだろう、そう考えられたのだと思われます。
選挙前の世論調査と論説が、投票に影響を及ぼしたと思います。