2013年12月13日金曜日

木から降りたわけ



 少し前、インターネットで最古の投げやりが発見されたという記事を目にしました。28万年近く前の石器が、投げやりの先端に使われていたものだとわかったそうです。
つまり、28万年前には、人類は投げる武器を使っていたということになります。

投げる武器は、道具の発達について大きな意味があると考えられます。
遠くにいる獲物を捕らえることに役立ちますし、獰猛な野生動物と間合いをとりながら狩りをすることが出来ます。つまり手で持って突き刺す槍より、発達した武器だといえるような気がします。
人類は手で持って使う武器から、投げる武器を使うようになったことで、狩りの成果を高めることが出来たのだろうと思います。
そして弓矢など飛ばす武器を生み出したと考えられます。

その記事を読んで、ふと思いついたことがあります。その内容とは直接関わらないことですし、単なる思い付きで学術的な根拠はなにもない空想なのですが、記事を読んだことが発想のきっかけになったようです。
人類は二足歩行をするようになり、それから手で持つ道具を使うようになり、それから投げる道具を使うようになったと、考えられます。
その順番を逆にしてみたらどうだろう、ふとそう思いました。

赤ん坊はものを手でつかんでいるより、投げることが多いような気がします。僕には子供がいませんし、乳幼児と暮らしたことはありませんので、あくまでも勝手な印象です。
ただ、人間の動作として、手でなにかを持っているよりも、投げることのほうが簡単でやりやすいような気がします。

『人類の祖先のサルが前足を手として使うようになったのは、投げるという動作からではないだろうか』
そんなことが浮かんできました。サルが木の上で暮らしながら、別のサルと諍いなることがあったと思います。雌の取り合いやえさの取り合いや、縄張り争い、リーダー争いなどです。

その時、木の実などを投げて攻撃をするサルが現れたかもしれません。すると相手のサルも同じことで反撃してきたかもしれません。
しかし木の上では、投げる木の実の数に限りがあります。そこでサルは一旦地面に降りて、石や短い枝などを拾って再び木にのぼり、そこでそれらをぶつけ合うようになったかもしれません。
石や木の枝は、木の実より強い打撃を与えることが出来たかもしれません。

しかし、石や枝を投げても当たらなければ何にもなりません。そこでサルは、少し長めの枝を地面で拾って、再び木にのぼったかもしれません。投げるよりも、手でもった長い枝を相手に打ち付けたほうが当たりやすかったのかもしれません。
そうすると相手のサルも、木から降りて長い枝を拾ってくるようになるかもしれませ<ん。
木の上で、枝を使った打ち合いになったかもしれません。

しかし、木の上では体制が不安定で、なかなか効果的な打撃が与えられなかったかもしれません。
お互いのサルが長い枝を拾うため地上に降りたとき、そこで打ち合いが始まったかもしれません。
あるいは、不安定な木の上でチャンバラをやっているうちに木から落ちたサルがいたかもしれません。相手のサルは、それを追撃したため地上で打ちあいが始まったかもしれません。

武器になる枝は地面に落ちているのですし、相手のサルと戦うにしても地上のほうがやりやすいということになるかもしれません。
木の上にいるより、いつでも戦えるように地上で暮すようになり、木の実を採るなど、必要なときだけ木登りをするようになったのかもしれません。

まず武器を使うことを身に着けてから木から降りたため、地上で動物に襲われそうになっても、戦う術があったのかもしれません。
身を守るために戦い方を高めようとしたかもしれません。
そのためには、より効果的に武器を使うことが必要だったのかもしれません。
そのためには、より複雑に両手を使うことが必要だったのかもしれません。
そのためには、二足歩行することが必要だったのかもしれません。

つまり人類の祖先は、まず投げる武器を手にし、次に手でにぎって使う武器を手にし、その武器を使うために木から降り、二足歩行をはじめたという順番です。
今までの考えと逆方向です。これはすべて僕の勝手な想像です。
それでも、人類の祖先は二足歩行を始めたことで手が器用になったばかりではなく、元々前足が器用だったため木から下りて二足歩行をはじめた、その可能性はあり得るような気がします。
ただこの想像では、人類がはじめて使った道具は、同種と争うための武器ということになります。