2013年12月8日日曜日

誰のため



 前の選挙で、「ブレーキ役になります」という意味合いの言葉を耳にしました。
はじめて耳にしたときは少し驚いたというか、『こういうことをアピールする政党もあるんだな』と感じたものです。
選挙は、自分たちの政党に投票して欲しいものだと思います。そのため選挙中は、自分たちの政党の”よさ”を国民に訴えるものだと思います。
そうなると、その政党が国民に訴える”よさ”は「他の政党のブレーキ役になること」であると聞こえたものです。
しかも報道などで見聞きした限り、随分と強く訴えていたような気がします。
そうなると、その政党単独では存在感がないというか、存在意義が薄いと自ら認めていると感じた人がいたかもしれません。

他の政党のブレーキ役として存在意義があると自ら強く訴えているのですから、”他の政党”がなければ、政党の”よい点”もなくなってしまうということです。
他の政党にぶらさがっているという印象を持つ人もいるかもしれません。
ただあの選挙のときは、補完勢力といわれることを嫌がっていた政党もあったような気がします。
そんななかで堂々と長いものにまかれるのですから、それはそれで潔いと感じた人もいたのかもしれません。

ここでは何度か書いていますが、個人的に消費税の軽減税率は国民にとって”よい”制度ではないと思います。国にとっても”よい”制度ではないと思います。

消費税は誰であれ、同じものを同じ値段で買えば、同じお金の税金を納める制度だと思います。
そうなると、食料品など品物によって税率を低くすることは、お金を少ししかもっていないだけでなく、お金持ちも低い税率で買い物をすることになると思います。
それでは”低所得者のため”とはいいきれないと思います。低所得者のためにもなると思いますが、それは”ほんの少しだけ”だと思います

それにしても所得に関わらず国民の負担を軽くすることになると思います。
それは国民にとって”いいこと”のような印象を受けます。
しかし、それは国に入る税金が少なくなることでもあると思います。
軽減税率を導入することは、この先の国民の負担を重くする可能性を抱き込んでいると思います。

企業の事務処理が増えるとか、会計処理がわずらわしくなるなどということは、国民全体からすると、それはそれほど大きなこととはいえないかもしれません。
それよりも、消費税全体の税率が上がりやすくなることが、国民全体にとって大きな点だと思います。

軽減税率を導入することで税収が思ったほど増えないとなると、どうしてもさらなる増税をしなければならないという話になると思います。
そうなったとき、すでに軽減税率を導入していることで、さらなる増税に反対しにくくなると思います。
また国民は『軽減税率を導入したのだから仕方ないな』という観念をもちやすいと思います。

しかし消費税は、誰でも同じものを同じ価格で買えば同じ額の税金を納めるものです。
そうなると一部の品物の税率が低くても、全体の税率があがってしまうほうが、国民の税負担は重くなるような気がします。

それに軽減税率は低所得者対策としては不十分だと思います。しかし軽減税率を導入していることで、十分な対策が施されないことにもなりかねないと思います。
では、軽減税率を導入しながら、べつの低所得者対策が施されるとなると、低所得者対策としての軽減税率は意味が非常に薄いと思います。

それでも軽減税率が必要だという声を耳にします。なにかを買う場合、出来るだけ安いものを買おうとする人が多いと思います。そうなると、売り手としては、自分たちが売っているものは、税金が掛からなかったり、税金が安かったりして欲しいと考えるものだと思います。自分たちが売っているものが、消費税増税で売れなくなることを防ぎたいと考えるものだと思います。
そのため、自分たちが売っているものには、軽減税率の対称にするべきだと訴えることもあると思います。

しかし軽減税率は国民みんなの税負担を重くする可能性がある制度だと思います。そんななかで、自分たちが売っている物だけでも税率を低くするべきだというのは、自分たちの業界のため、自分たちの会社のため、自分たちを支援している業界のため、自分たちに金を出す会社のため、ひいては”自分のため”だと感じられることもあると思います。あくまでも自分のためであり、みんなのためではないと感じることがあると思います。それでも大抵は、自分のためなどとはおくびにもださず、さも国民みんなのためであるかのような言い方をしているように感じられることもあると思います。