2013年12月23日月曜日

まるいショートケーキ



 数年前まで「ショートケーキ」とは、小さいケーキ全般をさしているのだと思っていました。
基本形は丸いケーキを放射状に切った形、つまり三角柱の一面が丸みを帯びた形状ですが、モンブランなど一つずつ作られた丸いものや、ミルフィーユのような四角柱に切られたものなど、とにかく手のひらに収まるような大きさのケーキはすべて「ショートケーキ」と呼ぶのだと思っていたのです。

つまり、ザッハトルテもミルクレープもチーズケーキも、小さいものはみんな「ショートケーキ」の括りに属するという認識です。
それは「ショート」という言葉を、「短い」という意味の英語だと捉えていたためです。
小さいケーキに対して「短い」という言葉をあてるのは、違和感がなくはなかったのですが、「少し」を英語では「リトル」というのですから、小さいケーキを「ショートケーキ」ということもあるのかなと思っていたのです。

それが数年前、どうやらそうではないらしいと気付きました。
三角に切っていない丸い大きなケーキを「ショートケーキ」という言葉で表現しているものを目しました。
洋菓子店の店頭や、ケーキに関するウェブサイトで見たのです。
『あれ? 小さく切っていないのにショートケーキなの?』
『「ショートケーキ」は「小さいケーキ」ではないのかな?』
そう思いましたので、いくつかの洋菓子店のサイトを見てみました。

すると、小さいケーキは「カットケーキ」や「プチガトー」、大きな丸いケーキは「ホールケーキ」や「アントルメ」と書かれているサイトがありました。
また多くの場合「ショートケーキ」は、スポンジケーキで生クリームやホイップクリームをはさみ、上面にも生クリームが盛られており、その上にイチゴがのっている”小さなケーキ”を指していました。つまり、モンブランやザッハトルテは、「ショートケーキ」には属さないということです。
ただ上に書いたように、丸い大きなケーキを「ショートケーキ」を書かれているサイトもありました。大きさに関わらず、スポンジケーキ、イチゴ、生クリームかホイップクリーム、これらを使ったケーキを「ショートケーキ」という言葉で表されているのです。

それは数年前のことで、ここでも書いたかもしれません。ただ記憶が定かではありませんので、今回あらためてインターネットで調べてみました。
まず「ショートケーキ」で検索しました。検索結果の一番目は画像集でしたので、二番目の自由書き込み式百科事典を見てみました。

それによると、「ショートケーキ」という言葉に『小さい』という意味合いはないそうです。
また、アメリカには「ショートケイク」、フランスには「ショートケーキ」と呼ばれる食べ物があるそうですが、それぞれに違うものですし、日本の「ショートケーキ」とも同じものではないようです。

日本のショートケーキは、アメリカのものを元にしているようです。今回はこのサイト一つしか見ていませんが、今の日本で一般的になっている「ショートケーキ」は、あくまでも『日本のショートケーキ』ということになるようです。

「ショート」の意味合いは、『さくさくする』とか『もろい』『砕けやすい』などとのことです。アメリカのショートケイクは、そのような食感のお菓子を使っているそうです。
それをスポンジケーキに変えて作ったものが、日本では「ショートケーキ」として定着したようです。

『さくさく』ではなくなったのに、それをあらわす「ショート」という言葉が残っているのですから、面白いと思います。

つぎに「プチガトー」と「アントルメ」で検索してみました。辞書サイトで「プチガトー」を引くと、ケーキや菓子の小さいものを指すフランス語で、今の日本では、洋菓子店で売られている一人用のケーキに用いられることが一般的になっている言葉だそうです。

「アントルメ」を調べると、「西洋料理の正式な献立のひとつで、ロースト料理の後に供される甘い料理であり、デザートの一種。一般的には、食後の甘い菓子などで、プディングやパンケーキ、調理した果物など」とあります。
僕は西洋料理についてよく知らないのですが、どうやら「大きいケーキ」とか「まるいケーキ」という意味ではなさそうです。
食後、大きなケーキを食卓において、切り分けて食べるため、切っていない大きなケーキを「アントルメ」と呼ぶのかもしれません。

今回はインターネットで検索して、それぞれ一つのサイトしかみていませんが、それだけでもケーキに対しても、言葉についても、奥深さを感じました。