2013年12月7日土曜日

数字が持つ力を



 数字には説得力があると感じます。
数値を示されると、それは正確な情報であり動かしがたい現実だという印象を受けるような気がします。
しかし、数字が実態を表していないことも珍しいことではないと思います。多くの人は、それを頭では理解していながら、気持ちは数字のもつ説得力に引かれていると感じます。
人間は数字が持つ説得力という”力”に、どうしても逆らえないものなのかもしれません。

『選挙のときは、まさかこんな法案が成立するとは思わなかった』
『選挙のときにこんな公約はしていなかった』
『選挙のときは経済政策に力を注ぐといっていたはずだ』
そう思っている人は大勢いるような印象を受けます。

前回の選挙の公約など、政治家のなかにも有権者のなかにも覚えていない人が少なくないような気がします。
参院選の公約は、環太平洋経済連携協定に関する話題で取りざたされることもありますが、衆院選のとき、その件についてどのような公約をしていたか、多くの人は忘れているような感があります。

しかしその件にしろ、安全保障に関する法案にしろ、今の与党に圧倒的な多数の議席を与えるということは、こうなることは予想できたという声も耳にします。
それなのに、選挙という形で多くの支持を示したのだから仕方ないという声も聞きます。

『選挙で圧勝させようとして一票を投じたわけじゃない。ただ結果がそうなっただけだ』
『与党に好き放題にやらせるために投票したわけじゃない』
『選挙結果は、何をしてもいいというお墨付きではない』
そう思っている人は大勢いるような気がします。

今の与党に票を投じた人のなかには、圧勝させたかったわけではないという人がいると思います。
また、他に入れる政党がなかったからという、消去法のような消極的選択をした人もいると思います。
それに、小選挙区制という選挙制度が圧倒的多数派政党を生み出す一因だと思います。
それは、厳密に民意を反映しているとはいえないという考え方もできると思います。

しかし圧倒的多数の議席を持つ与党は、そのような声など聞き流していればいいと思っていると感じることがあります。
『まだ国会をやらないの?』
夏の終わりごろからそのように言われていたような気がします。
『こんな短い審議で採決しちゃうの?』
今そう感じている人も少なくないと思います。
『どうせ与党が圧倒的多数なんだから、いくらでも好きなように採決できるって踏んでいるんだ。だから国会なんて時間も労力もかけることはないって思っているんだ。そうとしか見られない』

これからしばらくの間、国政選挙はないとみられています。
では、選挙がなければ国民は、圧倒的与党に反対する意思を示すことが出来ないのかということになるかもしれません。しかし、そういうわけではないと思います。
民主主義において色々なやり方があると思います。
ただ何事も、出来るだけ効果的なやり方を使うべきだと思います。

数字には説得力と言う”力”があると思います。
”力”があることを使うと、効果的な場合が多いと思います。
支持率が下がることも厭わないといいつつも、現実にそうなるとその影響は小さくないと思います。
人間の心理は、数字から受ける影響を払いのけることは難しいものだと思います。
それは政治家も有権者も違いはないと思います。

支持率などアンケート調査にすぎないと思いつつ、多くの人が心理的に影響を受けているように見られます。
そうなると、支持率が下がることは、政権に対する大きな影響になることもあると思います。
支持率が多少でも下がると、それが呼び水になることもあるかもしれません。多少下がったことがどのような影響になるか、完全に予測することは難しいと思います。
「多少支持率が下がっても構わない」その程度では済まないことも起こり得ると思います。

しかも支持率調査には「支持政党なし」という選択肢があります。
選挙では支持する政党がないために投票しない人が大勢いると、それが結果に影響を及ぼすこともあります。
選挙は、あくまでも”投票した人のなか”で、多数を得た候補者が当選します。
しかし「支持政党なし」の選択肢がある支持率調査では、たとえ野党の支持率が高まらなくても、与党の支持率が下がることもあると思います。

何事も、数字に表われることは効果的だと思います。それを見据えたやり方を選んだほうがいいような気がします。
何事も、最も効果的なやり方を使ったほうがいいような気がします。