2014年5月25日日曜日

なにを求めるか

 歴史を紐解くと、民衆が政治を変えることが何度となく起きているように思います。
記憶に新しい出来事でも、数十年前に起きたことは歴史といえるかもしれません。
そして近年、民衆によって政治が変わることが度々起きているような気がします。
現在、その事態の最中の国があると思います。

 民衆が大きな動きを起こすことは、歴史上いく度もあるものの、近年増えていると感じます。
 そして民衆による“集団の力”が強くなっているような気がします。
 影響が大きく、また広くなっていると感じるのです。
 そしてその影響は長引くようになっているようにも感じます。
 それは、なかなか収まりつかず事態は混迷するばかりといえるかもしれません。

 民衆の行動について何度か書いているような気がしますが、情報伝達技術の発展が一因だと思います。
 多くの人が同調して行動を起こすには、情報伝達が重要な役割を果たすと思います。
それに情報が氾濫することで、持論に固執する傾向が強まっていると感じます。それが対立意識を強めることにもつながっていると感じます。
持論に固執し、主張を強め、対立意識が強まり、集団が同調しやすい、情報の発展は社会をそのように変えたのかもしれません。
そしてそれによって、民衆の動きは大きくなりやすいような気がします。

そして時にその動きが、選挙によって選ばれた政治家を“集団による力”によって引きずり下ろすことにもなると思います。
選挙の結果である政治を“力づく”でひっくり返し、また選挙を行うような事態が起きているかもしれません。
選挙の結果である政治を“力づく”でひっくり返したものの、また選挙をやれば同じことになるとみて、選挙を行わない事態が起きているかもしれません。
それは選挙を否定しているといえるかもしれません。
民衆による“集団の力”は強くなり、その影響が大きくなっている表れかもしれません。
混乱が深まり長期化するのも、その表れの一つかもしれません。

また、民衆が動く理由は、常に“反撥”であると感じることあります。
それは現状を否定する意識といえるかもしれません。
そんな意識を共有する巨大な集団は、現状を壊すという方向に力が働くと思います。

しかし多くの場合、民衆には集団秩序や組織性が低いような気がします。そうなると、要求に具体性がない場合が多いと感じます。
現状を否定しそれを壊す、それが目的になっていると感じるのです。
その目的は集団の行動を起こしやすいものの、漠然としているというか、その先を具体的に描いていないように見えます。
それが混乱を大きくし、長引かせる理由になっていると感じることがあります。

昔、民衆が蜂起するとき、リーダーがいる場合があったと思います。
集団はリーダーがいると、自然に組織的な構造になるものだと思います。またリーダーが集団を組織にする場合もあると思います。
そして、リーダーや組織上層部によって要求が明確になり、集団の動きが戦略性をもつことがあると思います。

しかし組織内での権力抗争などが起こることもありますし、必ずしも統制が取れていたわけでもないと思います。
リーダーさえいえば、すべてよくなるわけではないと思います。
また現代社会は、民衆を率いる人物を受け入れない風潮が生まれやすいと思います。
しかしリーダーの存在は、このところの民衆には見られないことだと思います。
それは民衆の要求に具体性がなく、先を見据えていない理由の一つだと感じます。

ただそれは昔にも見られたことだと思います。具体的な要求はなく、民衆が勢いにまかせて動くことがあると思います。
そして“手におえない”状況になることがあると思います。
ただ現在は、昔より格段に“手におえない”と思います。
また昔より格段に“収まりがつかない”と思います。

近年は、社会的な繋がりが広く複雑になっていると思います。対立において、完全勝利という形にはなりにくいような気がします。
誰かが完全に勝利して争いが終わる、そんなことはあり得ない場合がほとんどだといえるかもしれません。

しかも争いが続くほど、損失ばかりが積もっていくと感じます。それでも人は争いを続けていると感じます。
完全勝利がない争いを終わらせるには、妥協や譲歩するしかないと思います。
しかし現在は、一切の妥協を拒否する風潮があると感じます。
権利と利害に対する意識の高まり、持論への固執、他者に対する攻撃性の高まりなどが理由なのかもしれません。
また民衆には“集団の力”があるため、妥協するべきだという声すらあげられないこともあるような気がします。

そして、妥協するにしても、譲歩するにしても、双方の要求や訴えが明確でなければならないと思います。
“今の政治はだめだ”それだけでは、妥協しようがないと思います。
民衆の要求は情緒的な場合も多いと思います。それが妥協を拒むことがあると思います。

そして争いや混乱が続くように見られます。