2014年5月26日月曜日

印象に媚びた先

 民衆が動くこと、その力が強くなっていること、民衆が動いたらなかなか収まらないこと、それは世界的な傾向のように感じます。人間社会の傾向といえるかもしれません。
 ただ今にはじまったことではないと思います。ずっと昔から、数え切れないほど起きてきたことだと思います。
 それなのに近年の傾向だと感じられるのは、このところ大規模なデモや暴動を目にすることが増えているからだと思います。

現代社会は、政治的な信条も、他論を否定する意識も、強まる風潮があるような気がします。
また権利や利害に対する意識も高まっていると思います。自分がそれらを得られていないと知れば、不満を覚えるものだと思いますし、得られているならば手放したくないと思うものだと感じます。
歴史の中にある民衆の動きも、現在進行しているそれも、権利と利害による場合が多いように見られます。

独裁者が国民の権利を奪っているために、民衆が“集団の力”を振るうことがあると思います。
一人あるいは一握りの政治家が、利益をむさぼっていると感じた民衆が、それに反発して行動を起こすこともあると思います。
政治家が選挙で票を得るために地方に媚びる政策をしたため、今まで得られていた利益がなくなることに反撥して都市部の民衆が行動を起こすこともあると思います。
都市部で既得権益を抱え込んでいる者がいるため、地方が貧しいままなのだと考えて地方の民衆が動くこともあると思います。

 ただ何事も効果的なやり方があると思います。
 要求があるときは、それを通すためのやり方があると思います。
 そのやり方は何通りかあると思いますが、やはりその中から最も効果的と思しきやりかたを選ぶべきだと思います。
 しかし、どのやり方が最も効果的かという判断が分かれることもあると思います。
 そして、その正解は結果論で語るしかない場合が多いと思います。
 
 それにしても要求を通すには、それを明確にしたほうがいいと思います。
「私たちの暮しをよくしてよ」と要求されたら、「わかりました。努力します」という答えになると思います。
 それで要求が通ったと思う人もいるでしょうが、そんな言葉では納得できないという人もいると思います。後者の方がずっと多いと思います。
 
ただ、具体的な要求をしたとしても、すべてが通ることなどない場合が多いと思います。
また騒ぎが始まってから“具体的な要求”をひねり出したのでは、“とってつけた”と感じられることがありますし、“端から無理だ”と思われることもあるように見えます。
それに「まず改革をするべきだ」という要求は、「私たちの暮しをよくしてよ」と同じくらい具体性がないと思います。
 
 そしてもう一つ世界的な傾向だと感じていることがあります。
“強さ”を見せる政治家の支持が高くなる傾向があるような気がします。
“自国の正当性を強く主張する。自国の利益になることを強く主張する。強さは武力に通じ、それを用いたり強めたりする。自国を最優先する観念を強く表す”
それらは外国に対する強い姿勢になって表れるものだと思います。
それを支持される傾向が、世界で見られるような気がするのです。

政治家や国民が“自国を最優先する”のはあたり前かもしれません。ただ外国に対して強い姿勢にでることが“効果的なやりかた”とは限らないと思います。
民衆の要求は常に具体性がないものかもしれません。
国の政治に対する要求も、外国に対する要求も、外国に対する姿勢もそうかもしれません。

現代社会では、情報のなかに民衆がいるといえるかもしれません。
そして民衆は“漠とした印象”として自国を最優先し、対立する事柄がある他国に反感を持っているのかもしれません。
なかには論理的な主張もあると思います。それは思考されるかもしれませんが、“漠とした印象”にも影響するものだと思います。そして対立意識や嫌悪感を高めることもあると思います。
それを自覚していない場合もあると思います。
他国に対立意識や嫌悪感が高まると、“強さ”を見せる政治家の支持が高まりやすいような気がします。
そして政治家はさらに“強さ”を見せて、人気を高めようとすることがあると思います。

 しかしそれはあらゆる危険性を孕んでいると思います。 
民衆は“強く出る”ことの影響や、先々のことなど見据えているわけではなく、“漠とした印象”に引かれていることもあると思います。
今の世界には“強さ”見せて支持率があったものの、身動きが出来ない状況になっている政治家がいるかもしれません。

 経済の影響は思いのほか大きく、しかし引き下がるように見えたのでは支持率が下がってしまうと思われ、そこで新興国に寄りそうことでゆさぶりをかけているものの、一筋縄でいく相手ではないし、複雑化したこの世界は対立に線引きすることは出来ないと見られます。経済が落ち込むようなことになれば、自国民の反撥が高まるような気がします。大国のリーダーは、はじめから袋小路に向かっていたのかもしれません。