2014年5月6日火曜日

似非


[外形は本物と似ているが実はそうではない意]

「えせ」という言葉を国語辞典で引くとそのように書かれていました。

 

 消費税の逆進性と軽減税率について何回か書いています。

 消費税は、売られているものに税金をかける制度だと思います。原則的に買い物をするとき、税金を一緒に払う制度だと思います。

 子供でも、高齢者でも、お金持ちでも、貧しい人でも、同じものを買えば同じ金額の税金を納めることになると思います。

 

 お金持ちも、貧しい人も、生活していくために必要なものがあります。お金をたくさんもっている人は、生活必需品を買っても、まだお金が残ると思います。

お金を少ししか持っていない人は、生活必需品を買うとお金の残りが少なくなると思います。お金が無くなってしまう人もいると思います。お金が足りなくなってしまう人もいると思います。

消費税は、お金を少ししか持っていない人、お金が入ってこない人、そのような人ほど税金の負担が重いと思います。それを逆進性というのだと思います。

そこで生活必需品は消費税の税率を下げるという考えがあります。それを軽減税率というのだと思います。

 

その考え方はとても安易だと思います。

消費税という税制度は、老若男女同じものを買えば、同じ金額の税金が徴収されるのだと思います。

生活必需品の税率を低くしても、お金持ちも貧しい人も同じものを買えば同じ税金を納めることになります。

軽減税率は低所得者の税負担を軽くするものの、その効果はそれほど大きくないと思います。

それに軽減税率では、逆進性を解消する効果は小さいと思います。

 

消費税は逆進性をすっかりなくすことは出来ない税制度だと思います。

それは逆進性があることを前提として導入するべき制度だといえるかもしれません。

軽減税率があろうがなかろうが、収入のない子供も、高齢者も、大金もちも、貧しい人も、同じものを買えば同じ税金を納める制度が消費税だと思います。

それだけに、安定して税金を集める仕組みだと思います。

生活必需品に消費税がかかっているから、景気の良し悪しの影響を受けにくいのだと思います。

逆進性をよしとしないのならば、消費税という税制度を導入するべきではないと思います。

生活必需品には税金をかけずに、お金持ちばかりが買う贅沢品にだけ税金をかける制度にするべきだと思います。

 

消費税を導入するからには逆進性があることを前提とし、そういう税制度であるがゆえに、低所得者の税負担を軽減するには有効な手段を講じるべきだと思います。

軽減税率は効果が小さいと思います。

また軽減税率は発想が安易で、それゆえに実行すると混乱があるのだと思います。

しかし軽減税率は、一度導入してしまうと後でなくすことが難しい制度だと思います。

日本人は「他人がやっている」ということを、自分もやる正当な理由であるかのようにいう傾向がありますが、軽減税率については先行して導入している国を反面教師としたほうがいいような気がします。

効果が低く、混乱の原因になり、税率を上がりやすくするものの、今さら失くしたくても失くせない、そういう見方もあるような気がします。

 

 軽減税率導入による混乱やいさかいには、対象品目によるものが多いと聞きます。

 売る側としては、自分たちの売り物にかかる税金は安くしてほしいものだと思います。

 しかし軽減税率は安易な発想に基づく制度だということもあって、対象とする品目を明確に線引きすることは出来ないと思います。

 明確に線引き出来ないとなると、自分たちにとって都合がいいように線を引きたがるものだと思います。

 売る側には大きい企業もあれば、大きい業界もあると思います。またいろいろな“力”を持っている企業や業界があると思います。そういうところは、自分たちが売るものは、税金が安くなるように働きかけるものだと思います。

 税金の制度を決めるのは政治家だと思います。自分の都合のいい制度になって欲しい場合、制度を決める人に働きかけることもあるものだと思います。

 

日本では軽減税率について耳にする機会が随分少なくなった感があります。

なにか理由があるのかもしれません。

 

政治家は制度を決める役割を担っているのですから、軽減税率についても発言しないわけにはいかないと思います。

時々消費税の軽減税率を導入するべきだという発言を耳にします。しかし近ごろはその根拠が語られていないような印象を受けます。

なぜ軽減税率を導入するべきなのか、誰にとってどのような利点があるのか、それは語られず、ただ導入するべきだと言うばかりの感があります。

 

しかし軽減税率を導入するべきだというのであれば、その根拠を示さなければならないと思います。

『自分のお金のため』とか『自分の票のため』ならば、そういうしかないと思います。

 根拠を語らずに、軽減税率を導入するべきだというだけでは、『自分のお金のため』とか『自分の票のため』だと思われてもしかたないような気がします。